WELLBEING MAGAZINE

コーチングカルチャーとは?5つのメリットや浸透までのステップなど総まとめ

コーチング

記事掲載日:2024年7月30日 
最終更新日:2024年11月12日

コーチングとは、クライアントの自己認識を深める対話型の手法です。

ビジネス界では、1999年に日産自動車社長に就任したカルロス・ゴーン氏が自ら「私は日産のコーチである」と宣言し、社内にコーチング的なマネジメントを広めたと言われています。 しかし、多くの企業では依然としてコーチングカルチャー が十分に浸透していないため、社員の成長機会の不足やモチベーションの低下などの問題が少なくありません。

そこで本記事では、まだ日本ではなじみの薄い「コーチングカルチャー」について概念や導入メリット、組織内に浸透させるポイントなどを解説します。コーチングカルチャーが生産性に好影響を与える解説もしていますので、ぜひ最後までご覧ください。

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コーチングカルチャーとは?

コーチングカルチャーとは、組織や企業において、コーチングが日常的なコミュニケーションやマネジメント手法として取り入れられている文化です。

コーチングカルチャーはコーチングを実施するだけでなく、組織全体が「傾聴と信頼関係の構築」「目標設定と行動計画」など、コーチングの原則に基づいて運営される状態を意味します。

ちなみにコーチングの原則はさまざまありますが、ICFコア・コンピテンシーは、ICFによって定義されたスキルとアプローチについての理解を深めるための考え方です。

以下の4つのカテゴリーと、8つのコンピテンシー(ハイパフォーマーに共通して見られる行動特性)から成り立っています。

【4つのカテゴリー】

出典:ICF Japan

【8つのコンピテンシー】
・倫理に基づいた行動をしていることを示している
・コーチングマインドを体現している
・合意の確立と維持
・信頼と安全を育む
・今ここに在り続ける
・積極的傾聴
・気づきを引き起こす
・クライアントの成長を促進する

コーチングカルチャーの実現には、トップ層のコミットメントが必須です。「ここの部署だけコーチングを導入する」などの一部の導入だと、文化の形成にはつながりません。トップが、組織の戦略計画の一部としてコーチングを組み込むことが重要です。

コーチングカルチャーの構築には時間を要しますが、組織・従業員・顧客にポジティブな変革をもたらすことが期待できます。コーチングとよく似た支援手法がいくつかありますので、ここではコーチングと「カウンセリング」との違いを挙げてみました。

【コーチングとカウンセリングの違い】

コーチング カウンセリング
目的 個人の目標達成・明確化・向上 個人の問題解決・心理的治療
対象者 目的意識・意欲を持つ個人 悩みや問題を抱える個人

出典:ビジネスにおけるコーチングの役割|経営戦略研究第10号

なお、コーチングとメンタリングの違いについては下記で解説しているので、併せてご覧ください。

「コーチングとメンタリングの違いとは?」:それぞれの特性と効果を探る

この記事では、コーチングとメンタリングの違いを目的、焦点、そしてアプローチなどの観点から考察し、それぞれの長所を活かすことで、リーダーとしての人材育成スキルを向上させる要素に言及しています。

記事掲載日:20233年5月18日

そもそもコーチングとは何か

国際コーチング連盟によると、コーチングの定義は次のとおりです。

思考を刺激し続ける創造的なプロセスを通して、クライアントが自身の可能性を公私において最大化させるように、コーチとクライアントのパートナー関係を築くこと

出典:ICF Japan Chapter | 一般社団法人国際コーチング連盟 日本支部

コーチングは一人ひとりの強みや目標に合わせて個人の成長を手伝う、人材育成に不可欠な要素です。

コーチングによってもたらされる効果は、次のとおりです。

【コーチングによってもたらされる効果】
・自己認識が深まり強みと弱みを理解できる
・チームのなかで自分の強みを活かす役割を選択でき、自分の能力を最大限に発揮できる
・個人の成長とチームの協力関係が強化されると、結果として組織全体の適応力と生産性が向上する
・困難に対する新しい視点や効果的なコミュニケーションスキル・自信の向上

さらに、企業が「社員の能力向上などの成長に対して意欲的な企業」である姿勢も示せるため、企業のブランドイメージ向上にも効果的です。

組織がコーチングに投資している理由として、下記のような調査結果があります。

【組織内におけるコーチング利用の目的】
・リーダーシップ開発58%
・人材開発51%
・従業員の成長やパフォーマンス向上49%

参考:Building Strong Coaching Cultures for the Future

例えば、スポーツのコーチが選手の技術向上をサポートするように、ビジネスにおいてもコーチは従業員のスキルアップやキャリア成長を支援する伴走者といえます。

コーチングとの関係が深いと言われているのが、「心理的・身体的・社会的に満たされた状態」であるウェルビーイングです。

下記の記事は、コーチングとウェルビーイングの接点について触れたセミナーのレポートです。「コーチングがもたらすウェルビーイングの向上」など支援に活かせる内容を紹介していますので、ぜひご覧ください。

【セミナーレポート】心理的ウェルビーイング向上のための支援:ACTとコーチング入門

2024年5月14日、「心理的ウェルビーイング向上のための支援: ACTとコーチング入門」が開催されました。ACTのエクササイズやコーチングとウェルビーイングの関係などについて解説しています。

記事掲載日:2024年7月2日

コーチングカルチャーの6つの特徴

コーチングカルチャーの特徴には大きく6つあります。

  1. オープンなコミュニケーション
  2. 継続的なフィードバック
  3. 個々の成長を重視
  4. リーダーシップの育成
  5. チームの連携強化
  6. 問題解決能力の向上

特徴や期待できる効果を表にまとめてみました。

【コーチングカルチャーの主な特徴と概要・効果】

オープンなコミュニケーション ・従業員が自由に意見を述べることが奨励される
・透明性が高まり、信頼関係が築かれる
継続的なフィードバック ・定期的なフィードバックに時間を費やす
・従業員は自分の成長を実感し、目標達成に向けた具体的なアクションが取れる
個々の成長を重視 ・​​従業員の強みや可能性を最大限に引き出すことを重視
・全員が自分の役割に対して高いモチベーションを持ち続けられる
リーダーシップの育成 ・​​リーダーシップスキルの向上をサポート
・リーダーはコーチングを通じて、チームを効果的に導く方法を学ぶ
チームの連携強化 ・チームメンバーが互いに支援し合う環境が整えられる
・これにより、協力しながら効率的に目標の達成が目指せる
問題解決能力の向上
  • 従業員が自ら考え、行動する力が身につく
  • 組織全体の意思決定プロセスが迅速になる
  • 組織の柔軟性と迅速な対応力の向上でき競争優位性の確保につながる
  • 顧客フィードバックの迅速な分析と改善策の実行ができる

コーチングカルチャーが浸透することで、組織全体のパフォーマンス向上や従業員のエンゲージメントの高まりなどにもつながります。従業員エンゲージメントとは、従業員が自社のビジョンや目標に共感し、積極的に業務に取り組む姿勢です。

従業員のエンゲージメントの詳細については、次の章で解説します。なお、従業員エンゲージメントの重要性については下記の記事で解説しているので、併せてご覧ください。

なぜ従業員エンゲージメントは重要なのか?目的と具体的な施策を紹介

従業員エンゲージメントの目的とその重要性を明らかにし、人事担当者や経営者が実践できる具体的な施策を紹介します。組織の活性化に繋がるヒントが満載。今すぐ施策を始めましょう。

記事掲載日:2024年5月11日

コーチングカルチャーを組織に導入する5つのメリット

コーチングカルチャーを組織に導入する主なメリットは下記の5つです。

  1. 生産性の向上
  2. チームワークの強化
  3. 従業員の満足度向上
  4. エンゲージメント向上
  5. 心理的柔軟性のスキル向上

ひとつずつ見ていきましょう。

メリット1.生産性の向上

組織全体の生産性向上は、コーチングカルチャー導入のメリットのひとつです。

アメリカの心理学者リュボミルスキー、ソニアらの研究では、コーチングにより、従業員が幸せな状態(ウェルビーイングな状態)で仕事をした場合「生産性31%アップ・売り上げ37%アップ・創造性が3倍になる」と発表されました。

出典:The Benefits of Frequent Positive Affect: Does Happiness Lead to Success?

個々の従業員が自身の強みを最大限に発揮できるようになると、企業のパフォーマンスや成長に大きな影響を与え、強固な組織を築くことも可能です。

メリット2.チームワークの強化

コーチングカルチャーの導入は、チームメンバー間のコミュニケーションを促進し、チームワークの強化が期待できます。

関西学院大学経営戦略研究所が発表した「ビジネスにおけるコーチングの役割※」の論文内で、傾聴・価値観・協業がキーワードとして挙げられているように、メンバーが互いの話を注意深く聞いていく過程で、理解が深まり、信頼関係が築かれます

傾聴を通じてメンバーは自分の意見が尊重されていると感じるため、積極的に意見を共有することが可能です。その結果チーム内のコミュニケーションが円滑になり、協力しやすい環境が整うサイクルにつながります。

メリット3.従業員の満足度向上

コーチングカルチャーは、従業員の職務満足度を向上させる重要な要素です。コーチングにより、従業員自身が重視する成長やキャリアが明確になるだけでなく、周囲からの支援を受けることで、仕事への満足度が高まります。

また、定期的なコーチングセッションを通じて、従業員は自分の意見や考えを表現する機会が増え、自信を持って業務に取り組める環境が整います。

加えて、離職率の低下にもつながっている点が企業にとってもメリットです。

メリット4.エンゲージメントの向上

コーチングは、従業員のエンゲージメントを高めるための有効な手段です。エンゲージメントが高い従業員は、仕事に対して積極的に取り組み、自分の役割に対して強い責任感を持つ傾向が多いことがわかっています。

このことから、コーチングカルチャーにより、従業員エンゲージメントを高める指標の「働きやすさ」や「働きがい」がより高まる、といえます。

また、従業員の目標と組織の目標やパーパスを一致させることで、従業員のモチベーションが高まる事例も少なくありません。

下記の記事では、従業員エンゲージメントと企業運営への効果について解説しているので、併せてチェックしてみてください。

従業員エンゲージメントが企業の成長を支える!その効果を徹底解説

従業員エンゲージメントの効果と向上策を経営者・人事向けに解説。社員のモチベーションと企業成果の関連性、実践的な施策を紹介。組織活性化のヒントを提供します。成功事例も参考に、今すぐ行動を。

記事掲載日:2024年5月26日

メリット5.心理的柔軟性のスキル向上

コーチングカルチャーが浸透すると、従業員の心理的柔軟性を向上させる効果も期待できます。

心理的柔軟性とは、意識ある人間として、全面的に、不必要な防衛がない状態で、「今この瞬間」と、それが何と言われるかということではなく、あるがままのものとして接触しながら、自らが選んだ価値のために,行動を維持または変化させていくこと

出典:アクセプタンス & コミットメント・セラピー (ACT)から見たマインドフルネス|国立研究開発法人科学技術振興機構

心理的柔軟性の要素である「コミット」「気づく」「オープン」をコーチングに組み合わせると、変化に強い組織を作り上げる手助けとなり、おすすめです。

【心理的柔軟性の3要素】

またコーチングを通じて、従業員は自己認識を深め、自分にとって大切なものは何かを明確にできます。

自分の価値観が明確になれば、職場で生じるストレスを否定するのではなく、「今、ストレスを感じている」という事実を受け入れ、「自分の価値観に沿った行動の選択」が期待できます。

心理的柔軟性を高めるエクササイズを下記の記事で紹介しているので、ぜひご覧ください。

ACTとは?目的や3つの要素・効果的な活用シーンや運用など総まとめ

ACTは、現代の認知行動療法の一つです。本記事ではACTの目的である心理的柔軟性を高める3つの要素や活用シーン・導入ステップなどを網羅的に解説します。

記事掲載日:2024年7月21日

コーチングカルチャーを構築する5ステップ

ここからは、組織内にコーチングカルチャーを構築するステップを5つに分けて解説します。

  1. 倫理と標準に基づいたプログラムを構築する
  2. リーダー陣へのコーチングの実施
  3. コーチングトレーニングの実施
  4. 継続的なフィ​​ードバックの実施
  5. 外部サポートの検討

詳しく見ていきましょう。

ステップ1.倫理と標準に基づいたプログラムを作成する

コーチングカルチャーを構築する第一歩として大切な点は、コーチングの実践が一貫して高い品質を保ち、組織全体で統一された基準にしたがっておこなわれることです。

せっかくコーチングを導入しても、コーチングの品質が均一に保たれていないとクライアントの混乱を招いたり、学びが妨げられたりして信頼性の低下を招きかねません。

また、コーチングが組織にもたらす具体的な成果やコーチング文化の定義、コーチングが業績向上にどう寄与するかの明確化も重要です。

そこで、倫理と標準に基づいたプログラムを作成する必要があります。後述の「コーチングカルチャー導入で成功した企業インテル」のように、ICF(国際コーチ連盟)の基準に基づいた認定プログラムの実施がおすすめです。

ステップ2.リーダー陣へのコーチングの実施

コーチングを組織全体に浸透させるためには、個別の取り組みではなく、組織の一体的な活動として推進することが重要です。

まず経営陣や職場を率いるリーダーは、自らコーチングスキルを学び、お手本となる環境を整え、日常の業務でコーチングの発展が求められます。

Human Capital Institute(HCI)と国際コーチ連盟(ICF)が366人を対象に調査をおこなったところ「38%の組織でコーチングを取り入れ、83%以上の組織で今後5年間でマネージャーやリーダーにコーチングスキルを取り入れる予定」との結果になりました。

参考:Building Strong Coaching Cultures for the Future

リーダー自身が成長し、コーチングスキルを身につけることで、組織全体のコミュニケーション向上が期待できます。

なかでもおすすめは「チームコーチング」です。

【チームコーチングとは】
チーム全体のパフォーマンスを向上を目的とした、複数人でおこなうコーチングの一形態

1on1のコーチングでは、どうしてもコストがかかってしまい、個人での活動になりかねません。しかしチームコーチングなら、複数人での取り組みによりチームが継続的に高いパフォーマンスを発揮できるため、発展の後押しとなり得ます。

下記の記事では、コーチング力を持つリーダーの特徴やコーチング力の鍛え方などを解説しているので、ぜひチェックしてみてください。

リーダーシップにおけるコーチング力の磨き方:部下を引き立てるための最新戦略とテクニック

部下の潜在能力を引き出すコーチング力は、現代リーダーに不可欠。具体例とデータを元にその心得とテクニックを探ります。

記事掲載日2023年8月2日

ステップ3.コーチングトレーニングの実施

コーチングカルチャーの導入には、従業員全員がコーチングの基本スキルを習得するためのトレーニングが必要です。

コーチングの成功に必要な要素は主に以下の3つです。

1.コーチングを受けた人の体験や、コーチングへの期待を踏まえて計画を立てる
2.安心して話せる環境を整えることで、コーチとコーチされる側が率直に意見を交わし、コーチングを実践できるようにする
3.個人の信念、考え方、価値観、そしてコーチングに対する意欲に注目する

まず、シニアリーダーがコーチングの基本スキルである傾聴・質問・フィードバックを覚えるところからスタートです。次に、学んだシニアリーダーが他のチームメンバーをコーチングできるように指導します。

こうして、コーチングスキルを持つ社員が増えると、組織全体にコーチングカルチャーの浸透が期待できます。例えば、週に一度のコーチングトレーニングやワークショップを実施し、継続的なスキル磨きをするのも、効果的でおすすめです。

ステップ4.継続的なフィ​​ードバックの実施

継続的なフィードバックは、コーチングカルチャーの定着に欠かせません。

組織は、トライアンドエラーの精神で新しいアプローチを試み、その過程で失敗から学ぶ風土を築きましょう。

例えば、プロジェクトの初期段階で試験的な方法を取り入れ、結果の分析・改善のサイクルを継続的に繰り返すことで、失敗を恐れずに挑戦する文化の構築に近づきます。

フィードバックをもとに、コーチングカルチャーがもたらす効果の測定結果や、コーチングを通じて得られた学びなどを共有し、社員が前向きにコーチングカルチャーの構築に取り組めるようにしましょう。

またコーチングを既存の人事制度に組み込み、昇進や報酬に反映される重要なスキルとして位置づける点も、コーチングカルチャーの構築には重要です。

ステップ5.外部サポートの検討

外部の専門家のサポートなど、社内外のリソースとの組合せも効果的です。

外部コーチを活用することで、組織内のコーチングスキルを強化し、客観的な視点からのアドバイスが受けられます。例えば、専門のコーチング会社と契約し、定期的なトレーニングやセッションを通して、コーチングカルチャーの定着を図るのも一つの手です。

また外部機関のリソースを活用し、最新のコーチング手法やツールを取り入れるメリットもあります。

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コーチングカルチャーを浸透させる4つのポイント

コーチングカルチャーを浸透・成功させるための、特に重要な4つのポイントについて解説します。

  1. 心理的安全性を確保する
  2. 成果の可視化
  3. パーパスの明確化
  4. 失敗から学ぶ文化の育成

ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

ポイント1.心理的安全性を確保する

「心理的安全性」は、コーチングカルチャーの基盤です。

心理的安全性とは、「psychological safety(サイコロジカル・セーフティ)」という心理学用語を日本語訳したもので、チームのなかでメンバーが誰に対しても恐怖や不安を感じることなく、安心して発言・行動できる状態のことを指します。

出典:心理的安全性とは?チームの生産性を最大化するうえで意識すべきこと|グロービス経営大学院

組織内で自由に意見やアイデアを共有できる環境を整えることで、従業員は自己表現の場を持ち、信頼関係が築かれます。心理的安全性が確保された環境では、従業員は自由に意見を述べたり、質問したり、失敗の共有ができるのです。

具体的な行動として、定期的なミーティングやセッションを設け、全員が発言できる機会を提供しましょう。また、リーダーは従業員の意見に積極的に耳を傾け、尊重する姿勢を示すことが大切です。

こうした環境整備とリーダーの積極的な姿勢により、組織全体が一体感を持ち、共通の目標に向かって協力する文化が醸成されます。

ポイント2.成果の可視化

コーチングの成果の可視化は従業員のモチベーションを高め、目標達成への意欲を引き出す期待が持てます。

人事 (HR)、学習開発 (L&D)、タレントマネジメント (TM)の専門家を含む合計 366人が参加した調査では、回答者の38%が「コーチングの影響を測定できない」点を、コーチングカルチャーの強化における課題として挙げています。

参考:Building Strong Coaching Cultures for the Future

コーチングの成果を定量的にも可視化できれば、社内での予算の獲得にも説得力を持たせられます。そこで、前述したように従業員の「心理的・社会的・身体的」に充実したウェルビーイングな状態を診断し、コーチングを可視化できる「ウェルビーイング診断」のようなツールを併用するのがおすすめです。

下記の記事では、コーチングの可視化について解説しているので併せてご覧ください。

コーチングの可視化って?課題解決につながる3つの理由やツールを紹介!

コーチングを可視化すると、客観性のある効果的な支援につながります。本記事では、コーチングを可視化するメリットや可視化できるツールの紹介・効果的な活用手法などを解説します。

記事掲載日:2024年7月30日

ポイント3.パーパスの明確化

パーパスとは、組織の存在意義や使命のことです。全従業員へパーパスの理解を促進する活動を通して、従業員は日々の業務に意義を見出し、モチベーションの向上が期待できます。

パーパスを明文化し、社内コミュニケーションやトレーニングで繰り返し定着するまで共有するのがおすすめです。また、リーダーはパーパスに基づいた行動を示し、従業員がパーパスを実践するための環境整備に取り組みましょう。

下記の記事ではソニーグループのパーパスの好例が記載されていますので、参考にご覧ください。

ウェルビーイング経営で会社が変わる!3つのメリットや成功事例を紹介

ウェルビーイングを会社に導入すると、生産性向上だけでなく離職率低下も期待できます。本記事では、ウェルビーイング経営の3つのメリット成功事例、ポイントなどを解説します。

記事掲載日:2024年4月7日

ポイント4.失敗から学ぶ文化の育成

失敗から学ぶ文化の育成は、組織の成長にとって不可欠な要素です。

失敗を恐れずに挑戦する風土を築くことで、新しいアイデアや革新が生まれる風潮につながります。そのためにも失敗を受け入れ、学びの機会としてとらえる姿勢を奨励しましょう。

例えば、失敗事例を共有するミーティングを定期的に開催し、原因を分析して改善策を議論するのもおすすめです。また、リーダーは自らの失敗経験を共有したり、前向きにとらえる姿勢を示したりして、従業員がリスクを恐れずに挑戦できる文化の育成が求められます。

インテルに見るコーチングカルチャーの成功事例

出典:インテル株式会社

インテル株式会社は、世界半導体企業で2023年の売上高1位を達成したアメリカの企業で、コーチングカルチャーの導入に成功した企業です。

コーチング・プログラムへの投資対効果は、営業利益で年間約10億ドルにものぼることが報告されています。具体的にはリーダーの昇進率が以前の2.7倍・コーチング受講者のビジネス目標の達成率は91%に上昇し、企業の利益に与える影響は多大です。

【インテルの取り組みの一例】

実施内容 詳細
国際コーチ連盟(ICF)の倫理規定と標準に基づいたコーチングプログラムを導入 信頼性と質の高いコーチングを実現
リーダーシップの変革を通じてイノベーションを重んじる文化を育成 リーダーがロールモデルとなるようなアプローチを採用
女性リーダーシップ・アカデミーや親への復帰プログラムなど、特定のニーズに応じたコーチングプログラムを提供 女性や少数民族のうえ級管理職の数を増やす目標をサポート
マネージャーやリーダーがICF認定コーチとペアを組み、スキルを向上 トレーニングを受けて他者を指導する認定を取得し、コーチング受講者からコーチへと昇格

コーチングの効果を測定し、データをもとにした継続的な改善で、より効果的なコーチングカルチャーを構築している好例といえます。

参考:インテルに学ぶ、卓越したコーチング・カルチャーへの6つのヒント|国際コーチング連盟

まとめ:コーチングカルチャーを導入して組織の成長を促進しよう

今回は、組織の成功を目指すリーダーや管理職、対人支援者にとって重要な概念であるコーチングカルチャーについて解説してきました。

組織にコーチングカルチャーを導入することで、次のようなメリットがあります。

  • 生産性の向上
  • チームワークの強化
  • 従業員の満足度向上
  • エンゲージメント向上
  • 心理的柔軟性のスキル向上

コーチングカルチャーの浸透に、コーチング効果の可視化は必要です。コーチング効果を可視化することで、コーチングの重要性や価値が広く認識されやすくなります。

コーチングの効果を可視化するには、株式会社メタメンターの「ウェルビーイング診断」がおすすめです。従業員やクライアントの心身状態の現状把握や、施策の妥当性の判断材料としても活用できます。

なるべくコストを抑えてコーチングの質を高めたい方は、無料でできる「ウェルビーイング診断」を、下記のボタンからぜひお試しください。


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記事監修

代表取締役社長 小泉 領雄南

2011年にGMOペイメントゲートウェイ入社。2016年にGMOフィナンシャルゲート執行役員に就任し、2020年に上場。2021年、早稲田MBA在学中にコーチングに出会い、翌年メタメンター設立。2023年に国際コーチング連盟日本支部運営委員に就任。

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