WELLBEING MAGAZINE

【課題別】従業員エンゲージメント向上の成功事例7選!7つの施策も徹底解説

コラム

記事掲載日:2024年4月30日 
最終更新日:2024年7月26日

従業員エンゲージメントとは、所属している会社に対する従業員の「貢献意欲」や「信頼・理解」のことです。従業員のエンゲージメントが高いと、企業の生産性が31%上がるというデータもあり、企業と個人の双方にとって良好な状態といえます。

しかし、従業員と会社が同じ方向を目指して進むことは、簡単ではありません。そこで本記事では、従業員エンゲージメント向上に取り組み、成果につながっている事例を課題別にまとめました。

ぜひ自社の状況や目指すゴールに照らし合わせながら、読み進めてください。今すぐ事例を知りたい方は、課題別!従業員エンゲージメント向上の7つの事例からご覧いただけます。

当サイトでは、事例内容の施策と併せてエンゲージメントの上位概念にあたるウェルビーイングが可視化できるサービスを提供しています。利用は無料なので、従業員の現状把握や施策の妥当性の判断材料として関心のある方は、下記のボタンからご活用ください。

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従業員エンゲージメントとは

従業員エンゲージメントとは、従業員が自身の仕事や職場に対して情熱を持ち、積極的に貢献しようとする姿勢のことです。従業員エンゲージメントが高い状態だと、仕事の生産性や創造性が向上し、業績にも好影響があることがわかっています。

よく似た表現に「ウェルビーイング」が挙げられますが、同じではありません。エンゲージメントはウェルビーイングの一部であり、連動しているといわれています。

エンゲージメントとウェルビーイングの違いは下記のとおりです。

【エンゲージメントとウェルビーイングの違い】

エンゲージメント ウェルビーイング
・会社・職場・組織に限定された概念
・自らの組織に貢献しようと仕事に没頭している状態
・仕事に限定せず、
人間として心も身体も幸せな状態

心も体も満足度が高いウェルビーイング状態だと、仕事に対する意欲や集中力が高まり仕事でのエンゲージメントも高まる、と考えられます。

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どのように変化したかがわかりやすい

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課題別!従業員エンゲージメント向上の7つの事例

ここで、従業員エンゲージメント向上に取り組んでいる企業の事例を、課題別に7つ紹介します。

  1. ビジョンの浸透:株式会社ハンナ
  2. 人事評価の適正化:株式会社丸井グループ
  3. 仕事と家庭の両立:明治安田生命保険相互会社
  4. キャリアパスの明確化:旭化成株式会社
  5. 人材育成環境の整備:SONYグループ株式会社
  6. ワークライフバランスの改善:独立行政法人労働者健康安全機構 山口労災病院
  7. 7.健康制度の整備:株式会社ツムラ

自社が抱える課題に近い事例を見ることで、効果的な解決策へのヒント発見が期待できます。最後までご一読ください。

事例1.ビジョンの浸透:株式会社ハンナ

出典:株式会社ハンナ

株式会社ハンナは、一般貨物運送事業を展開しています。

株式会社ハンナでは、経営戦略に対する一部社員の不合意・賃金体系変更時の意思疎通不足による社員の不満・経営陣と社員の対立など複数の問題が生じていました。一時期は多数の社員離職などの課題を抱えていましたが、独自の取り組みにより改善できました。

下記に、課題に対しての取り組み内容と成果をまとめています。

【取り組み内容と詳細】

取り組み 取り組みの詳細
経営層による定期面談の実施 ・企業理念共有のため入社後に複数回、経営層による直接面談を実施
人事管理の改善 ・人事連絡会を3ヵ月に一度実施
・各事業所のドライバーに関する情報共有や人材配置、育成につながる取り組みを実施
採用方針の見直し ・自社の経営方針や価値観に合致する人材を採用することに重点を置いた

【成果】
・粘り強い社員との対話により、企業として大切にする考え方が社員に浸透し、働きがいが向上した
・「社員を大切にする会社」という評判が広まり、多くの応募者からの関心を集め、応募が増加。2023年4月〜6月の間に30〜40名の応募があり、11名を新たに採用

本事例から、企業文化や価値観に共感する人材の採用、経営層による積極的なコミュニケーションが、従業員エンゲージメント向上に関係したといえるでしょう。

事例2.人事評価の適正化:株式会社丸井グループ

出典:株式会社丸井グループ

株式会社丸井グループは、ファッションビルの丸井やクレジットカード事業をおこなうエポスカードなどを傘下に持つ持株会社です。

従業員エンゲージメント向上とWell-being経営を目的として、多様な働き方改革や企業文化の変革を進めています。課題に挙げられているのは、従業員のワークエンゲージメントの向上・残業時間の削減・年次有給休暇の取得促進などです。

課題に対しての取り組み内容と成果は下記のとおりです。

【取り組み内容と詳細】

取り組み 取り組みの詳細
職種変更異動と人事評価制度の刷新 ・多様なキャリアパスを提供し、人事評価制度を見直し
企業理念の制定と対話文化の促進 ・2005年以降、企業理念を明確にし、対話文化を促進
働き方改革 ・年間残業時間を40時間程度に削減
多様性の推進と手挙げ文化(※)の醸成 ・昇進昇格やプログラムへの参加を自発的に手挙げでおこなう文化を醸成

(※)社員が自ら手を挙げてチャンスを得る制度や文化のこと

【成果】
・企業文化の変革を通じて創造性の高い仕事を提供し、従業員の没頭度合いが促進され、新たなビジネスやサービスの創出に成功した
・「評価制度の刷新や手挙げ文化の推進により、従業員エンゲージメントが向上。特に評価制度の変更により、個人の姿勢やチームパフォーマンスが評価され、Well-being指標が大きく改善した
独自に作成したWell-beingに関する指標に基づき、長期的な測定と分析をおこない、具体的な改善策を講じている

丸井グループは、従業員一人ひとりの「しあわせ」をともに創る企業文化を構築し、経営目的としてのWell-beingのさらなる実現を目指しています。

事例3.仕事と家庭の両立:明治安田生命保険相互会社

出典:明治安田生命保険相互会社

明治安田生命保険相互会社は、三菱グループの大手生命保険企業です。

育児や自己啓発を支援する特別休暇を設けていたものの、疾病治療と仕事の両立や女性の健康支援など、より一層の従業員サポートが求められていました。

課題に対しての取り組み内容と成果は下記のとおりです。

【取り組み内容と詳細】

取り組み 取り組みの詳細
ワーク・ライフ・マネジメントの推進 ・仕事と私生活のバランスを取れるよう、育児や自己啓発のための特別休暇制度を整備
・疾病治療や女性の健康支援に関する施策を展開
治療サポート休暇の導入 ・重大な疾病治療、不妊治療、更年期に対応するため、積立年次有給休暇を利用する新たな休暇制度を設けた
ピア・サポート・ボンドの創設 ・治療経験者同士が支援し合うネットワークを作り、治療と仕事の両立をサポート
女性の健康支援策の拡充 ・女性従業員の健康課題に対応するため、がん検診やHPVワクチンの費用補助、婦人科外来の設置などをおこなった

【成果】
・治療サポート休暇を含む特別休暇制度が従業員により広く認知され、利用が増した
・特に女性の健康支援策の充実により、がん検診の受診率が前年比で倍増し、女性従業員の健康意識が高まった
・ピア・サポート・ボンドを通じて、治療経験がある従業員が相互にサポートし合う文化が育ち、治療中の従業員の不安が軽減された

従業員の仕事と生活の調和をサポートすることで、エンゲージメントと生産性の向上を実現し、職場の理解と支援の風土が醸成された好例といえるでしょう。

事例4.キャリアパスの明確化:旭化成株式会社

出典:旭化成株式会社

旭化成株式会社は、総合化学メーカーです。

人と組織の活力向上と成長を実現するために、キャリアパスの不明確化と従業員意識調査の有効な活用が課題でした。加えて、以前から実施されていた従業員意識調査は、設問数が多く目的が不明瞭で、結果の活用が経営報告以上に進まないなどの問題もありました。

課題に対しての取り組み内容と成果を下記にまとめました。

【取り組み内容と詳細】

取り組み 取り組みの詳細
人事部門およびマネージャーへの継続的教育 ・職場支援者としての人事担当者およびマネージャー向けに組織開発や職場支援のための研修を実施
活力と成長アセスメント(KSA)の導入 ・従業員からのフィードバックをもとにした新たな意識調査。目的は「人と組織の活力向上と成長」の実現
結果のフィードバックと職場対話の実施 ・調査結果をもとに各職場でフィードバックをおこない、職場対話を通して改善アクションを計画・実施

【成果】
・キャリア自律支援、自律的学習支援、DE&I 推進(社員それぞれの多様性を受け入れ、多様な人材が活躍できる組織作りの取り組み)など総合的に施策展開をおこなっている
・KSAを通じた取組みにより、年々職場対話実施率や取り組み実施率が向上した
・特に、職場対話や取り組みの実施が従業員の活力(前向きさ、ワークエンゲージメント)に肯定的な影響を与えることが統計的に確認された

取り組みを通じて、旭化成は従業員と組織の成長と活力向上に向けた実現可能な手法を確立し、持続可能な組織開発に貢献しています。

事例5.人材育成環境の整備:SONYグループ株式会社

出典:SONYグループ株式会社

SONYグループ株式会社は、総合電機メーカーです。

社員の多様な能力開発とキャリア形成を支援することにより、組織全体のエンゲージメント向上と事業の成長を図ることを目指しています。この目的の下、個々の社員が自身の「人間力」「仕事力」「キャリア」を継続的に高めるための環境整備が課題でした。

課題に対しての取り組み内容と成果は下記のとおりです。

【取り組み内容と詳細】

取り組み 取り組みの詳細
研修制度の強化 ・業務に必要な知識や能力を身につけるための「業務研修」と、自発的な能力開発のための「自己啓発研修」を実施
・選択研修・社内技術イベント・リーダー育成プログラムなどを通じて、社員の能力開発を支援
チューター制度 ・新入社員には1年間、配属先の先輩社員がチューターとしてキャリアスタートをサポート
グローバル研修 ・海外赴任者向けの語学力向上や異文化理解、国際ビジネスコミュニケーションスキル向上のための研修を実施
技術者育成 ・ソニーのエンジニアが社内講師として約300科目の最新技術とノウハウを提供する基幹技術研修を実施

【成果】
・各種研修プログラムを通じて、社員の自己成長と能力開発を促進し、業務遂行能力の向上に寄与している
・チューター制度や新人テーマ研修などを通じて、社員のキャリアスタートをサポートし、長期的なキャリア形成に貢献している
・海外赴任者向け研修やSony University(グローバルリーダー育成プログラム)などを通じて、国際舞台で活躍できる人材を育成している
・技術者育成プログラムやSony Technology Exchange Fair(技術交換会)などを通じて、技術革新への取り組みを支援し、新たな価値創造を促している

ソニーグループは社員のエンゲージメント向上とともに、技術革新と事業成長を支える人材を育成し続けています。

事例6.ワークライフバランスの改善:独立行政法人労働者健康安全機構 山口労災病院

出典:独立行政法人労働者健康安全機構 山口労災病院

山口労災病院は、勤労者の万々の健康増進を図ることを使命とした労災病院です。

主に急性期(※)病院の看護師は、患者の高齢化と特有のケアの必要性に直面していました。看護師の離職率の問題に加え、夜勤を含む勤務形態の負担が看護師のエンゲージメント低下と質の高いケア提供の妨げになっていたのが課題でした。

(※)病気になって間もない時期や、病状が安定せず集中的な医療介入を要する時期

下記は、課題に対しての取り組み内容と成果です。

【取り組み内容と詳細】

取り組み 取り組みの詳細
看護体制の変更 ・セル看護提供方式(※)への変更を通じて、看護師をより必要な場所に配置した
勤務形態の見直し ・逆循環勤務から正循環勤務への変更
・夜勤後の休息確保
・土日祝の連続休暇の実現
・夜勤間のインターバル延長を含む勤務間インターバル時間の確保を実施
多様な勤務パターンの提供 ・スタッフのライフイベントに応じた勤務パターン選択制の導入

(※)患者や看護師にとって利益にならない「ムダ」を省いて、ケアの受け手の価値を最大化する看護手法

【成果】
・正循環勤務の導入と夜勤に関連しない休みの増加により、スタッフの身体的負担が軽減され、連休の取得率が向上した
・看護師が専門性を発揮し、やりがいを感じる職場風土が醸成され、患者ケアの質の向上につながった
・正循環勤務への変更と効果的な休暇の取得により、スタッフのストレス指標が改善。特にワークエンゲージメントの向上が見られた

本事例では、看護師のエンゲージメント向上と職場環境の改善に向けて、勤務形態の見直しや休暇制度の改善など、従業員の健康とワークライフバランスを考慮した多面的な取り組みが効果を示しました。

看護師が仕事に誇りを持ち、患者ケアに専念できる環境が整ったことで、患者満足度の向上にも寄与しています。

事例7.健康制度の整備:株式会社ツムラ

出典:株式会社ツムラ

株式会社ツムラは、漢方製剤や生薬製剤などの製造販売をおこなっている企業です。

社内調査で、不調を感じるときでも我慢して仕事や家事をおこなう女性が8割に上ることがわかりました。さらに、通院休暇など無給の特別休暇制度があるものの、経済的な理由から年次有給休暇を優先して使用する従業員が多く、無給休暇の利用促進が課題でした。

課題に対しての取り組み内容と成果は下記のとおりです。

【取り組み内容と詳細】

取り組み 取り組みの詳細
社内制度の見直し ・特別休暇制度等の運用見直しを実施
・体調不良時に隠れ我慢せず休む選択肢を増やす
#OneMoreChoiceプロジェクトの推進 ・従業員からの声を受けて制度改善や環境づくりを進めるプロジェクトを推進
通院休暇の拡充 ・誰でも利用しやすいように通院休暇制度を拡充し、診断書提出不要として利用を促進
特別休暇制度の充実 ・骨髄ドナー休暇・罹災休暇・公民権行使のための休暇(裁判員休暇)など多様な特別休暇を設け、有給で提供

【成果】
・通院休暇制度の利用が拡大し、より多くの従業員が利用するようになった
・役員インタビューや#OneMoreChoiceプロジェクトを通じて、働き方改革に対する意識が社内に広がった
・特に婦人科健診では、子宮頸がん検診や乳がん検診について、希望する従業員全員が費用負担なく受診できるようにした

#OneMoreChoiceプロジェクトを通じて、従業員の声に基づく制度の見直しや新たな施策の導入により、体調不良時に無理をしない選択ができる環境が整備されてきています。

なお、下記の記事でもウェルビーイング経営に取り組んでいる会社の事例を紹介していますので、併せてご覧ください。

ウェルビーイング経営で会社が変わる!3つのメリットや成功事例を紹介

ウェルビーイングを会社に導入すると、生産性向上だけでなく離職率低下も期待できます。本記事では、ウェルビーイング経営の3つのメリット成功事例、ポイントなどを解説します。

記事掲載日:2024年4月7日

 従業員エンゲージメント向上のための7つの施策

従業員エンゲージメント向上のための施策は多くありますが、ここでは下記の7つを紹介します。

  1. 企業のビジョンの共有
  2. 能力評価制度の制定
  3. 多様な働き方の推進
  4. 明確なキャリアビジョンの提示
  5. 教育研修制度の見直し
  6. ワークライフバランスの改善
  7. 健康制度の見直し

「従業員からの視点」とそれに対する「効果的な施策例」に分けて解説します。

施策1.企業のビジョンの共有

1つ目の施策は、従業員とビジョンの共有を積極的におこなうことです。

ビジョンの共有をおこなうことで、従業員が企業の目指す方向や目標を理解し、一体感を持った能動的な仕事ぶりが期待できます。

【従業員から見た課題と効果的な施策例】

従業員の視点 効果的な施策例
・自分の仕事が会社全体の目標や未来にどうつながっているかわからない
・やりがいや所属感を感じられない
・MVV(ミッション・ビジョン・
バリュー)を明確に打ち出す
・勉強会や研修などでビジョンの理解を深めし、共有する

事業目的や存在意義を明確に打ち出し従業員が共感するほど、目標に向かって働いているという実感が持てるためエンゲージメントの高まりが期待できます。

なお、ビジョンを共有することで、社員の不満を解消した事例はこちらからご覧ください→株式会社ハンナ

施策2.能力評価制度の制定

施策の2つ目は、能力評価制度の制定です。人事評価制度の一つで、従業員の能力に焦点を当てて評価します。

【従業員から見た課題と効果的な施策例】

従業員の視点 効果的な施策例
・働き続けても収入が増えない
・成果を上げても賃金が上がらない
・能力評価制度の導入
・人事評価シートにおる客観性の高い人事考課制度など

評価制度を制定する際は、一生懸命おこなった取り組みが報われるような制度がおすすめです。

昇進昇格に積極的に手を挙げて参加できる企業文化を変革した事例はこちらからご覧ください。→株式会社丸井グループ

施策3.多様な働き方の推進

3つ目は多様な働き方の推進です。職場への満足度が高まり、生産性向上が見込めます。

【従業員から見た課題と効果的な施策例】

従業員の視点 効果的な施策例
・家庭の事情があり、フルタイムで働き続けることが難しくなった ・短時間正社員制度の導入
・勤務体制の多様化
・テレワークの導入

柔軟な労働環境を示すことで、従業員のライフステージの変化に合わせた働き方が可能となり、エンゲージメントが高まります。

仕事と家庭の両立で成果を上げた事例はこちらからご覧ください。→明治安田生命保険相互会社

施策4.明確なキャリアビジョンの提示

4つ目の施策は、明確なキャリアビジョンを従業員に提示することです。自分の進む道が見えることで、目標に向けた積極的な取り組みが促せます。

【従業員から見た課題と効果的な施策例】

従業員の視点 効果的な施策例
・若手とベテランが同じ業務・職責で働いていて、ステップアップが見込めない ・スキル向上のための研修の実施
・キャリアパス(異動や昇進のルート)の明示
・能力評価制度の導入

従業員にキャリアの道を示すことで、会社とともに成長する自分の姿がイメージしやすくなり、仕事へのモチベーション向上が期待できます。

キャリア自立支援や学習支援を積極的におこなっている企業の事例はこちらからご覧ください。→旭化成株式会社

施策5.教育研修制度の見直し

教育研修制度の見直しも、従業員エンゲージメント向上の施策として効果的です。教育研修制度を整えることで、従業員が新しい技術や手法が学べて成長できるだけでなく、見てもらっている「安心感」を与えられます。

【従業員から見た課題と効果的な施策例】

従業員の視点 効果的な施策例
・自分の成長が感じられない
・新卒者育成の余裕がない
・キャリアパスに応じた教育研修
・メンター制度の導入や1on1の実施

研修だけではなくメンター制度や1on1の実施を取り入れ一人ひとりと粘り強く継続的に話していく真摯な姿勢が、従業員エンゲージメントの向上につながります。

新人から管理職まで必須研修や選択研修などで能力開発支援をしている事例はこちらからご覧ください。→SONYグループ株式会社

施策6.ワークライフバランスの改善

施策の6つ目は、ワークライフバランスの改善です。従業員のストレスを軽減することで、総合的な幸福度向上にもつながります。

【従業員から見た課題と効果的な施策例】

従業員の視点 効果的な施策例
・家に帰ったら食事をして寝るだけ
・家族との時間がとれない
・適切な残業管理
・ストレスチェックの実施

企業側は残業や休日出勤などでプライベートな時間を確保し、従業員の休息も考慮するのがポイントです。

夜勤明けに関連しない休暇の増加などで、効果的な休暇取得に取り組んでいる企業の事例はこちらをご覧ください。→独立行政法人労働者健康安全機構 山口労災病院

施策7.健康制度を整える

7つ目は健康制度を整える施策です。大切な従業員の健康を促進し、病気や怪我の予防を支援します。

【従業員から見た課題と効果的な施策例】

従業員の視点 効果的な施策例
・健康診断に行けていない
・運動不足が続いている
・人間ドックや健康診断の実施
・休暇制度の導入
・予防接種の実施

従業員が健康な状態でこその、エンゲージメント向上といえます。

体調不良時に無理をしない選択肢が整備されている事例は、こちらをご覧ください。→株式会社ツムラ

従業員エンゲージメントを向上する3つのメリット

従業員エンゲージメントが向上すると大きく下記のようなメリットが期待できます。

  1. 従業員の意欲向上
  2. 業績・生産性の向上
  3. 離職率低下

メリットを知ることで、より目的を絞った効果的な施策が立てやすくなるのでぜひご覧ください。

メリット1.従業員の意欲向上

従業員エンゲージメントを向上するメリットに、従業員の意欲向上があります。

エンゲージメントが高い従業員の状態の一例は下記のとおりです。

【エンゲージメントが高い従業員の特徴】
・仕事に対する情熱と所有感を持ちやすい
・自分の責任を積極的に果たそうとする
・仕事の成功に個人的な価値を見出し、新しいアイデアを生み出す
・自発的にスキルを磨く

従業員の意欲が向上とともに、職場全体のモチベーションも高まり、魅力的な職場づくりにつながります。

メリット2.業績・生産性の向上

2つ目のメリットは、従業員エンゲージメントが向上すると会社の業績や生産性向上が期待できることです。

心理学者のソーニャ・リュボミルスキー氏、ローラ・キング氏、エド・ディーナ氏らの論文では、従業員が幸せな状態で仕事をした場合、生産性31%アップ・売り上げ37%アップ・創造性が3倍になると発表されています。

【従業員の幸福が仕事にもたらす効果】

※参考:The Benefits of Frequent Positive Affect: Does Happiness Lead to Success?

従業員の熱意ある取り組みは、顧客の期待を上回る価値を提供することにつながり、業績や生産性の向上が期待できます。

メリット3.離職率の低下

エンゲージメントの高い職場環境は、離職率が低く、従業員が仕事に対して満足してやりがいを感じているのが特徴です。

離職率が低いと、採用や教育にかかるコスト削減やチームの結束強化が期待でき、業績向上や、会社の安定した成長につながります。

下記の記事では、従業員エンゲージメントの指標や測定方法、エンゲージメントが大切な理由などを詳しく解説しています。併せてご覧ください。

従業員のエンゲージメント指標とは?業績向上につながる4つの要素も解説

従業員エンゲージメント指標とは、企業へ貢献する思いを数値化したものです。本記事では、指標が大切な理由や役立つサービスなどを解説しています

記事掲載日:2024年4月7日

まとめ:魅力ある職場づくりで従業員エンゲージメントを上げよう

従業員エンゲージメントを向上するには、「魅力ある職場づくり」が欠かせません。

そのためには、紹介した事例を参考に下記のような取り組みがおすすめです。

・自社にとっての従業員エンゲージメントを定める
・現状を把握する
・課題に合った施策を実行・改善を繰り返す

企業の規模に関係なく、従業員のエンゲージメントの向上はウェルビーイングを高めることにもつながります。魅力ある職場をつくり、企業も人も幸せな姿を目指しましょう。

なお、当サイトで提供しているウェルビーイングを可視化できるサービスと、自社に合った施策を組み合わせることで、効果の妥当性を確認しながら施策を進められるので、さらに効果的な従業員エンゲージメント向上が見込めます。

当サイトでは、ウェルビーイングを可視化できる診断ツールを用意しています。利用は無料ですので、現状把握や施策の効果検証にお役立てください。

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記事監修

代表取締役社長 小泉 領雄南

2011年にGMOペイメントゲートウェイ入社。2016年にGMOフィナンシャルゲート執行役員に就任し、2020年に上場。2021年、早稲田MBA在学中にコーチングに出会い、翌年メタメンター設立。2023年に国際コーチング連盟日本支部運営委員に就任。