WELLBEING MAGAZINE

リーダーシップにおけるコーチング力の磨き方:部下を引き立てるための最新戦略とテクニック

コラム

記事掲載日:2023年8月2日 
最終更新日:2024年5月9日

コーチング力の定義とその重要性

コーチング力とは、他者の潜在能力を引き出し、自己認識を高め自己成長を支援する能力のことを指します。これはリーダーが持つべき重要な資質であり、部下のパフォーマンスを最大化し、組織の目標達成に寄与するために不可欠なスキルです。

コーチング力が高いリーダーは、部下の能力を信頼し、彼らが自分自身の解決策を見つけることができるという信念を持っています。彼らは問題解決のためのアイデアを押し付けるのではなく、質問やフィードバックを通じて部下自身が自分の答えを見つけるのを助けます。

また、コーチング力は従業員のモチベーションを高め、彼らが自己効力感を持つのを助けます。これは従業員が自分自身の能力を信じ、困難を乗り越える自信を持つことを意味します。この結果、従業員はより生産的になり、組織全体のパフォーマンスは向上します。

コーチング力を持つリーダーの特徴

コーチング力を持つリーダーは、部下の成長と組織の成長を最優先に考えます。彼らは以下のような特徴を持っています。

  • 傾聴・質問スキル: 彼らは部下の意見やアイデアを尊重し、アクティブリスニングを通じて部下の意見を理解しようとします。また、部下の視点が広がるような質問をする能力も高いです。
  • フィードバックの提供: 彼らは部下のパフォーマンスを評価し、効果的なフィードバックを提供します。これには課題だけでなく、部下の成功や進歩を認識することも含まれます。
  • 目標設定: コーチング力のあるリーダーは、部下と共に明確で達成可能な目標を設定します。これにより部下は自己効力感を持ち、自分の成長を確認することができます。
  • エンパワーメント: 彼らは部下が自分の仕事に対して責任と権限を持つことを奨励します。これにより部下は自己効力感を感じ、よりエンゲージメントを持って仕事に取り組むことができます。

これらの特性を持つリーダーは、部下の成長と組織全体の成長を推進します。部下は自分自身の能力と成長を信じ、より高いパフォーマンスを達成することができます。その結果、組織全体の競争力が向上し、持続可能な成長が可能になります。

コーチング力を鍛えるための心得とテクニック

コーチング力を持つリーダーになるためには、具体的なスキルやテクニックを習得し、それを日々のコミュニケーションに活用することが必要です。以下に、リーダーがコーチング力を高めるための重要な心得とテクニックについて紹介します。

コミュニケーションスキルの向上法

まずは基本的なコミュニケーションスキルの向上が求められます。具体的には、アクティブリスニング(能動的な聴き方)を身につけることが大切です。部下の話を深く理解し、感じたことや思ったことを的確に捉えることで、部下が抱えている問題や悩みを見抜き、解決に導くことができます。

次に、適切な質問をする技術も重要です。これは、部下の思考を深め、自己認識を促すためのスキルです。オープンクエスチョンを用いることで、部下自身が自分の問題解決の答えを見つけられるように導きます。

フィードバックの効果的な与え方

フィードバックは、部下の行動やパフォーマンスについて適切かつ建設的な評価を提供するための重要なスキルです。フィードバックは、部下が自分の行動について客観的な視点を持つことを助け、改善点を見つける手助けをします。

しかし、フィードバックは正しく行われなければ、反発を引き起こすこともあります。そのため、フィードバックを与える際は以下のポイントを心掛けることが有効です。

  • 具体的であること:抽象的なフィードバックよりも具体的なフィードバックの方が理解しやすいです。
  • 行動に焦点を当てること:人格や能力ではなく、具体的な行動や結果について話すことが重要です。
  • ポジティブな視点を持つこと:問題点だけでなく、良い点も強調することで、部下のモチベーションを維持します。

部下の成長を促す戦略

部下の成長を促すための戦略として、エンパワーメント(権限委譲)があります。部下に自信と権限を与えることで、自主性と責任感を高めます。これは、部下が自分の能力と役割を十分に発揮するために必要なスキルです。

部下に任務を任せるだけでなく、必要なリソースや情報を提供し、適切なサポートを提供することが重要です。また、ミスを恐れずに新しいことに挑戦させ、学習の機会を増やすことも大切です。

これらの心得とテクニックを日々の業務に取り入れることで、リーダーとしてのコーチング力を高め、部下一人ひとりの成長と組織全体の発展に寄与することができます。次の章では、具体的な企業の事例を通じて、これらのテクニックがどのように実践されているのかを見ていきましょう。

成功事例:コーチング力を活かした企業とその成果

コーチングは、個々の能力を最大限に引き出し、組織全体のパフォーマンスを向上させるための重要な手法です。以下に、コーチング力を活用して顕著な成果を上げた二つの企業の事例を紹介します。

コーチング力活用事例

ここでは大手食品メーカーを取り上げます。この企業では、中期経営計画の目標達成のために、1on1ミーティングを通じた人材育成を強力に推進しています。コーチングスキルを習得した上司による1on1ミーティングで、上司と部下の信頼関係が深まり、部下の育成が促進されたという成果が報告されています。

具体的には、上司がコーチになり、部下との定期的な面談・1on1ミーティングを通じて、社員の自主性や能力を高めるといった成果が得られています。これにより、社員の成績アップや、上司の指導力が高まるなどの成果を上げています。

また、ネット通販で急成長を遂げている部品メーカーについても取り上げていきます。同社では、経営幹部が40代と若く、マネジメントの経験が浅い人もいます。経験不足を補い、部下とのコミュニケーションの質を向上させる手段としてエグゼクティブコーチングが取り入れられました。

エグゼクティブコーチングは経営トップの意思決定の質を向上させ、行動力やリーダーシップを高めることを目的としたコーチングです。導入の結果、経営目標やそのために乗り越えるべき課題を整理できて、行動に活かせるようになったという結果が得られたそうです。

これらの事例から、コーチング力を活用することで、企業は社員の自主性や能力を引き出し、組織全体のパフォーマンスを向上させることが可能であることがわかります。

出典:PHP人材開発「ビジネスコーチングの導入事例を紹介! 成功例や失敗例、改善策も解説

コーチング力を高めるための継続的なアプローチ

コーチング力を高めるためには、自己改善のための評価法と教育・トレーニングプログラムが重要です。これらのアプローチを継続的に行うことで、自身のコーチング力を向上させることができます。

自己改善のためのコーチング力評価法

自己改善のためには、まず自身のコーチング力を評価することが重要です。コーチング力を評価するためには、自己評価だけでなく、他者からのフィードバックも必要です。他者からのフィードバックを得るためには、コーチングセッション後にクライアントからフィードバックを求めることが有効です。また、クライアントに同意を得た上で録画したセッションをメンターにフィードバックしてもらうスーパービジョンも効果的です。

コーチング力向上のための教育・トレーニングプログラム

コーチング力を向上させるためには、教育とトレーニングが必要です。教育プログラムでは、コーチングの基本的なスキルや理論を学びます。また、トレーニングプログラムでは、実際のコーチングセッションを通じて、学んだスキルや理論を実践します。

国際コーチング連盟のコア・コンピテンシーにも継続学習が謳われており、コーチングにおいては学び続けることに価値を置いています。継続学習にはコーチングスクールによる勉強会や国際コーチング連盟が主催するイベントなどがあります。

このように継続的なアプローチにより、コーチング力を高めることが可能です。自己評価と他者からのフィードバックを通じて自己改善を行い、教育とトレーニングを通じて新たなスキルを習得し、それを実践することで、コーチング力を向上させることができます。