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コーチングの可視化は、クライアントの成長や変化を具体的なデータや指標で示すために重要です。しかしコーチングの支援成果は目に見えにくいため、その妥当性の判断は難しいのが現状です。
そこで、コーチングを可視化できるツールを使うと、妥当性の判断をはじめ、クライアントが気づいていない点や大事にしたい点などを客観的に把握するのに役立ちます。
本記事では、コーチングを可視化できるツールの紹介や可視化するメリット、効果的なコーチングへの活用方法などをお伝えします。ぜひ最後までご覧ください。
なお株式会社メタメンターでは、コーチングを可視化できるツール「ウェルビーイング診断」を提供しています。個人・法人問わず無料で利用できるので、下記から気軽にお試しください。
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ウェルビーイング診断はこちらコーチングにおける可視化とは?
コーチングにおける可視化とは、クライアントの進捗や変化をできるだけ言語化・ビジュアル化・文字化して表現することです。
可視化により、クライアントは自身の成長を具体的に理解でき、コーチングの効果を実感しやすくなります。またコーチ側も、客観的指標をもとに次回以降の支援プランを効果的に立案できる点がメリットです。
ここでコーチングについておさらいをすると、国際コーチング連盟によるコーチングの定義は下記のとおりです。
思考を刺激し続ける創造的なプロセスを通して、クライアントが自身の可能性を公私において最大化させるように、コーチとクライアントのパートナー関係を築くこと
出典:ICF Japan Chapter | 一般社団法人国際コーチング連盟 日本支部
さまざまな流派があるなかで、理論的背景に基づくコーチングについてはGROWモデルという体系化されたプロセスがあります。
【GROWモデルのプロセス】
G | Goal | 目標 | 達成したい目標は何か |
---|---|---|---|
R | Reality | 現状 | 現状はどうなっているのか |
Resource | 資源 | 使える資源(ヒト・モノ・カネ)は何か | |
O | Options | 選択 | どのような選択肢があるか |
W | Wil | 意志 | 本当に達成したい目標か |
可視化したデータを活用することで、より効果的に現状からゴールのギャップを埋める関わりができます。
GROWモデルの具体的な活用例やコーチの概要については、下記の記事で解説していますので、関心のある方はご一読ください。
どうやるの?コーチングのスキルやプロセス
この記事では、コーチングのスキルやプロセスについてGROWモデルなどの具体的な手法を用いて解説しています。
記事掲載日:2023年4月18日
コーチングの3つの課題と解決策としての可視化
コーチングの課題として考えられる要素は、大きく下記の3つです。
当サイトでは、これらの課題を解決に近づける手段としてコーチングの可視化があると考え、解決策とセットで紹介します。
課題1.複雑性
コーチングは「特定の質問・方法で進めていけば、価値観や信条などクライアントの深層にたどり着ける」というものではありません。
言い換えると、表面的な事実だけでなく「人間関係や心身の状態などの要因も考慮しなければ、本質に到達できない」という複雑性を含んでいるといえます。また1度うまく行ったとしても、2回目以降も同じように成功するとは限らないのがコーチングです。
【コーチングで扱う領域のイメージ図】
クライアントが求めていない場合でなければ、図のように目に見える表面上の事実ではなく、クライアント自身の感情や価値観など深層部へのフォーカスが大切です。
【可視化による解決策】
複雑性を持つコーチングだからこそ、「コーチングの可視化」でブラックボックスからのスタートではなく、クライアント理解の補助線になる。
課題2.長期化
前述したように複雑性が高いため、クライアントの深層にたどり着くには時間がかかることも少なくありません。また、深層にたどり着いたとしても、「次はどのようにしていきたいか」という点にも目を向けることが必要です。
今まで築いてきた価値観や信条を捨てなければ次に進めない場合、いっそうの時間が必要となり、長期化も見据えた考慮が求められます。
【可視化することによる解決案】
ゼロからクライアントを把握しようとすると時間を要すが、コーチングを可視化できれば、クライアント理解のショートカットができる
課題3.恒常性
人には、現在の状態や習慣を維持しようとする「恒常性」という力が働きます。例えば、新しい挑戦や変化に直面したとき、この恒常性が働き、元の状態に戻ろうとします。その方が安心だし、リスクが低いからです。
そのため、変わろうとするには大きなエネルギーを使うと同時に、「何を変えて何を変えないのか」という深い自己理解も進める必要があります。
【可視化による対策案】
クライアントの現状やありたい姿をできるだけ可視化することで、クライアントの恒常性を抑制し、変化を後押しできる。
コーチングを可視化するツール12選!
ここからは、コーチングを可視化するツールを紹介します。
近年メンタルヘルスの問題は深刻化しており、企業でも従業員のウェルビーイングに注目しているところが増えています。
また従業員のウェルビーイングは、生産性や離職率にも影響があるといわれており、働く人を対象としたコーチングの際には、個人特性だけでなく「ウェルビーイング」の状態も可視化できるツールを活用するのがおすすめです。
【コーチングを可視化するツール】
ツール名 | 概要 | 価格帯 | 所要時間 |
---|---|---|---|
MBTI | 性格タイプを16種類に分類し、自己理解と対人関係の改善を目的とする | 無料〜低価格 | 約30〜45分 |
エニアグラム | 人々を9つの性格タイプに分類し、自己理解と成⻑を促進する | 無料〜低価格 | 約30〜60分 |
Big Five | 性格を5つの主要な次元(外向性・神経症傾向・誠実性・協調性・開放性)で 評価する | 無料〜低価格 | 約15〜20分 |
CliftonStrengths | 個人の強みを特定し、最大限に活用する | 低価格〜中価格 | 約30〜45分 |
EQ | 感情知能(Emotional Intelligence)を評価し、自己理解や対人スキルの向上を目的とする | 中価格〜高価格 | 約30〜45分 |
ウェルビーイング診断 | 個人のウェルビーイングを測 定する |
無料 | 約5分 |
ソーシャルスタイル診断 | 個人の行動パターンやコミュニケー ションスタイルを4つの主要なタイプに分類する | 無料〜低価格 | 約20〜30分 |
DiSC | 行動スタイルを評価し、対人関係を改善する | 低価格〜中価格 | 約20〜30分 |
FFS診断(Five Factors & Stress) | 5つの主要な性格因子(「凝縮性」「受容性」「弁別性」「拡散性」「保全性」)に分類する | 中価格〜高価格 | 約30〜40分 |
Hogan Assessment (企業幹部向け) |
リーダーシップや職業的成功を予測するための高度な評価ツール | 中価格〜高価格 | 約20〜30分 |
Leadership Circle Profile (企業幹部向け) |
リーダーの行動や内面の信念 を評価し、リーダーシップの効果性を分析する360度フィードバックツール | 中価格〜高価格 | 約20〜30分 |
カオナビ、360 などの360度評価 |
従業員のパフォーマンスや行動をあらゆる角度(上司、同僚、部下など)から評価する | 低価格〜高価格 | 約20〜30分 |
Wevoxやリンクアンドモチベーションなどのエンゲージメントサーベイ | 従業員の仕事に対する満足度、意欲、組織への忠誠心などを測定する | 低価格〜中価格 | 約15〜20分 |
数が多くて選ぶのに迷った方に向けて、次の章で個人・法人問わず使える便利な可視化ツールを紹介しています。
なお6月24日、株式会社メタメンター代表である小泉が『成長するためのコーチが見つかる「コーチ探せる」』のイベント「コーチのための可視化ツールまとめ 〜クライアント変化を可視化し継続率アップへ〜」に登壇しました。
セミナーでは、コーチのための可視化ツールの紹介や継続的なコーチングへの解説もおこなっており、内容はアーカイブでご覧いただけます。クライアントの自己認識の深め方にも触れているので、コーチ活動に役立てたい方は、ぜひ下記からご確認ください。
コーチのための可視化ツールまとめ
アーカイブ配信はこちら個人・法人問わず利用できるウェルビーイング診断がおすすめ
株式会社メタメンターが提供している「ウェルビーイング診断」は、個人・法人問わずおすすめできる診断ツールです。
ウェルビーイングを3つの側面から可視化できるので、現状の把握はもちろん、変化もわかりやすく支援の妥当性の判断にも利用できます。
ウェルビーイング診断は、行動分析学・臨床心理学の研究をおこなっている早稲田大学 大月教授が監修しており、「心理的・社会的・身体的」の側面から総合的なウェルビーイングを指数化できるのが特徴です。
実際には下図のような画面でウェルビーイングが表現され、可視化できます。
【学術的背景に基づいて指標を見える化】
学術的背景と市場調査により、ウェルビーイングに影響を与える25の要素を可視化しています。
【クライアントの変化を見える化】
セッションの前後で診断を受けることで、コーチングによるクライアントの変化を視覚的に把握しやすくなります。
【統合的なウェルビーイングを指数化】
ウェルビーイングを心理的側面から測定するツールは多くありますが、ウェルビーイング診断は、「心理的・社会的・身体的」の側面から網羅的に診断できます。
主観的幸福感はもちろん、SNSや多様なデバイスの発達などで変化が目まぐるしい現代社会を考慮し3側面から指数化しているため、今の時代に生きる人にあった効果的な支援が可能です。5分ほどで終わるため、診断を受けるクライアントの負担も大きくありません。
無料で誰でも気軽に診断できるウェルビーイングは、下記のボタンからお試しください。
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ウェルビーイング診断はこちらまた次の動画で、大月教授がウェルビーイング診断の活用方法について詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
【立場別】コーチングを可視化するメリット
コーチングを可視化するメリットは大きく次の4つです。
「クライアント」と「対人支援者」の2つの立場から、コーチングを可視化するメリットを解説します。
【クライアント】メリット1.自分を客観視できる
クライアントは、コーチングの可視化で自分の現状や目標をより客観的に理解できます。
例えば、グラフやチャートを使用して進捗を視覚的に示すことで、クライアントは自分の成長を実感できます。具体的なデータや図表を使って目標達成の道筋を示すと、クライアントの信頼感と理解をより深められるきっかけになる点もメリットです。
【クライアント】メリット2.変化を実感しやすい
クライアントが自分の変化を実感しやすくなる点も、コーチングを可視化するメリットです。
コーチングを可視化することで、具体的な数値やグラフを用いて定期的に進捗を確認できるため、自分の努力がどのように結果に結びついているかがわかります。
自分の成長を具体的に感じられると、コーチングに対するモチベーションの向上にもつながります。
【対人支援者】メリット3.クライアントのウェルビーイングが定量化できる
ここからは、対人支援者から見たコーチングを可視化するメリットを解説します。
コーチングの可視化で、クライアントのウェルビーイング(心理的・身体的・社会的な満足度)を定量的に把握することが可能です。
定量化されたデータを定期的な診断結果として活用すれば、クライアントの変化を追跡でき、継続的にコーチングプランを提案できます。
【対人支援者】メリット4.コーチングに必然性と再現性を持たせられる
コーチングが可視化できると、コーチングプロセスに「必然性」と「再現性」を持たせることが可能です。
必然性とは、顧客に「可視化には価値がある」と求めてもらえることを指します。必然性を高めてコーチングの妥当性を判断してもらうためには、下記のような要素に応えることが大切です。
【必然性を高める要素】
・どの課題に貢献するのか
・なぜ今すべきなのか
・(企業の場合)組織が今後直面する環境変化への対応に貢献するのか
・リスクと対応策は何か
・なぜあなたに依頼するのか
続いて「再現性」を解説します。ここでいう「再現性」とは、あるクライアントでウェルビーイングが高まった手法を、他のクライアントにも応用できることです。
診断結果をもとにした数値化されたアプローチは、「異なるクライアントに対しても一定の効果を発揮できる」再現性が期待できます。
再現性を持たせて一貫性のある成果を提供できると、クライアントの満足度も高まり、リピート率や紹介率の向上につながる可能性も大きいです。さらに、コーチとしての信頼性向上も期待できます。
コーチングの可視化で「必然性」と「再現性」を確保し、法人へのコーチングビジネスの機会を広げるきっかけにしていきましょう。
可視化したデータの効果的な3つの活用方法
ここからは、株式会社メタメンターが提供する「ウェルビーイング診断」を例に、コーチングを可視化したデータを活用した効果的な手法を3つ紹介します。
ひとつずつ見ていきましょう。
方法1.クライアント理解のツールとして
ウェルビーイング診断の効果的な方法として、クライアント理解の活用が挙げられます。
コーチングセッションの初期段階でクライアントに診断を受けてもらうことによって、コーチとクライアントは現状を正確に把握でき、目標設定の基礎としての活用も可能です。
また、コーチ側は漠然としたブラックボックス状態からのスタートではなく、ウェルビーイング診断がクライアントを理解するための補助線となり、現状把握の時間短縮にもつながります。今後の支援のヒントが得られます。
方法2.自己認識を深める材料として
ウェルビーイング診断を用いたコーチングは、クライアントの「自己認識」を深めるのにも役立つ手法の一つです。自己認識とは、「自分自身を客観的に理解する力」をいいます。
自己認識に関しては、ワイカト大学人文社会科学部心理学部のアンナ・サットン氏も論文にて「自分自身に対する誠実さや、内面の価値観に従った行動は心理的幸福感に重要な影響を与える」と示しています。
参考:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S019188691930577X?via%3Dihub
可視化された診断結果を通じて、クライアントが自分自身の状態や感情の変化を客観的にとらえることができるため、自己理解の促進につながります。
さらに、期待できる効果は次のとおりです。
・クライアントにとって明確な行動指針となる
・目標達成に向けたモチベーションが高まる
下記の記事では、自己啓発の第一歩である自己認識についても触れています。併せてチェックしてみてください。
コーチングと自己啓発:自分自身を高める方法
この記事では、自己啓発のプロセスを促進するためのコーチングの重要性とその方法について解説します。自己認識の深化、学習と行動のサポート、反省と成長の助けとして、コーチングがどのように自己啓発に貢献するかについて説明します
記事掲載日:2023年5月26日
方法3.変化を後押しする材料として
ウェルビーイング診断でコーチングの可視化がおこなえると、コーチとクライアントの間で具体的な数値やデータをもとにしたコミュニケーションも可能です。
データをもとにしたコミュニケーションにより、クライアントは小さな進歩を実感できます。小さな進歩を積み重ねることで自己効力感が高まり、クライアントの恒常性、つまり「現状を維持しようとする心理的な抵抗」が抑制され変化の後押しにつながります。
「ウェルビーイング診断」をコーチングなどにご利用いただいた方からの声を集めました。
【補足】可視化と見える化の違い
可視化と見える化は、どちらも情報を理解しやすくするための手法ですが、そのアプローチや目的には違いがあります。
それぞれの定義や目的、活用事例を下表にまとめてみたので参考にご覧ください。
【可視化と見える化の違い】
可視化 | 見える化 | |
---|---|---|
定義 | 目に見えないデータや事象を、目に見える状態にする | 情報や物事の全体が誰にでもわかるようにする |
目的 | 複雑なデータを直感的に理解するため | 問題を共有し、改善するのに役立てるため |
活用事例 | ・顧客の目に見えない情報をデータ化してグラフや表、テキストなどに表す ・どのような形で目に見える情報にするかは、情報の性質や情報の用途によって異なる |
・企業活動で、業務の流れを映像・グラフ・図表・数値などによって誰にでもわかるように表す ・ホワイトボードにタスク進捗を示し、見たいという意思とは関係なく見えるようにする仕組み |
参考:実用日本語表現辞典
まとめ:コーチングを可視化し支援効果を最大化しよう
今回は、コーチングの可視化に関する重要性とその手法について解説してきました。
コーチングを可視化することで、クライアントの現状を客観的に把握し、効果的なフィードバックや継続的な改善が実現できます。
なお株式会社メタメンターが提供する「ウェルビーイング診断」は、より深いクライアント理解と支援を助け、コーチングの精度を高めるためのサポートツールです。心理的・身体的・社会的の3つの側面から、クライアントの健康状態を定量化します。
コーチングの効果を最大化するために、ぜひウェルビーイング診断を取り入れてみてください。個人も法人も無料で利用できる「ウェルビーイング診断」は下記のボタンから気軽に体験していただけます。
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ウェルビーイング診断はこちら記事監修
代表取締役社長 小泉 領雄南
2011年にGMOペイメントゲートウェイ入社。2016年にGMOフィナンシャルゲート執行役員に就任し、2020年に上場。2021年、早稲田MBA在学中にコーチングに出会い、翌年メタメンター設立。2023年に国際コーチング連盟日本支部運営委員に就任。