目次
人的資本経営とは、企業が持つ人材を「資本」としてとらえ、その価値を最大限に引き出し、中長期的な企業価値向上につなげる経営の考え方です。
働き方改革の推進により、投資家に加え就活生や従業員など幅広いステークホルダーから、人的資本に関する透明性の高い情報開示が求められています。
人的資本の情報開示が不十分な場合、企業の信頼性低下を招き、投資家や顧客からの評価が下がるとともに、人材の確保・定着にも悪影響を招きかねません。
そこで、本記事では、人的資本経営を効果的に推進し、情報開示の質を高める方法の一つであるコーチングに焦点を当て、人的資本経営との関係やメリット、組織の成長を促進するポイントなどを紹介します。
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人的資本経営とコーチングの関係性
人的資本経営とコーチングはともに「人材を最大限に活かすことを目的」としており、密接な関係があるといえます。
コーチングとは、コーチとの対話を通じて個人の自己理解を深め、自らの問題解決能力や目標達成能力を高めるプロセスです。
人的資本経営では、スキルの向上に加え、従業員の主体的な思考力と行動力の育成を重視します。
このためコーチングは、従業員が主体的に自分のキャリアやスキルを伸ばし、組織全体の目標達成に貢献できるよう支援する手法として注目されています。
当サイトでは、コーチングを導入した企業の取り組みを記事にしているのでぜひチェックしてみてください。
国内外のコーチング導入企業7選!取り組み内容や組織力の引き出し方などを紹介
この記事では、Google、Microsoft、IBM、Netflixなどのトップ企業がなぜコーチングを事業戦略に組み込んでいるのかということ、そしてコーチングがどのように組織の力を最大限に引き出し、業績を向上させているかを解説しています。
記事掲載日:記事掲載日:2023年5月16日
コーチングと密接な関係にある人的資本経営を理解するためには、「人的資本開示」についての理解は必須です。ここからは、人的資本経営と関係の深い「人的資本開示」について紹介します。
人的資本経営と人的資本開示
人的資本経営を効果的に推進するためには、従業員のスキルや能力・経験・エンゲージメントを適切に管理し、経営資源として最大限活用することが求められます。
その一環として重要視されるのが「人的資本開示」です。
人的資本開示とは何か?
人的資本開示とは、組織の人的資源に関する情報を公開し、従業員のスキルや経験、働き方が組織のパフォーマンスや持続可能性に与える影響を、内外のステークホルダーに説明する活動です。
本開示には、下記のようなさまざまな要素が含まれており、人的資本経営と密接に関係しています。
【人的資本開示に含まれている要素】
・従業員のスキルと知識
・組織の研修と育成プログラム
・人材の採用と離職率・従業員の満足度とモチベーション
・組織のカルチャーと倫理規範 など
主な関係性を下記に挙げてみました。
【人的資本経営と人的資本開示の主な関係性】
人的資本経営の成果を可視化 | 人的資本経営の取り組みによって得られた成果を具体的な数値で示し、有効性を客観的に評価する |
---|---|
投資家からの信頼獲得 | 人的資本に関する情報を開示することで、投資家に対して企業の長期的な成長性や持続可能性を示し、信頼を獲得できる |
ステークホルダーとの関係を深める | 従業員や顧客、地域社会など、企業に関わるさまざまな人たちに対して、企業が人材を大切にしている取り組みを伝え、信頼関係やつながりを強める |
改善点の発見 | 開示された情報に基づいて、自社の人的資本に関する課題や改善点を特定し、より効果的な人材戦略を策定できる |
企業の財務報告だけでなく、非財務情報の開示が重要視される背景には「ステークホルダーの関心が、組織の中長期的な持続可能性にシフトしている」という変化があります。
PwCコンサルティングが行った調査によれば、欧米を中心にこのトレンドが広がり、人的資本開示や人的資本経営の重要性が急速に高まっています。
人的資本は組織の競争力と成長の源泉であり、投資と管理についての透明性の高い情報提供は、ステークホルダーの信頼獲得や組織のリスクを管理し、価値を最大化するために不可欠です。
なお、内閣官房の非財務情報可視化研究会から「人的資本可視化指針」というガイドラインが公表されています。
人的資本開示を成功に導くためのコーチング
PwCコンサルティングの調査によれば、「従業員1人当たりの育成時間や女性管理職比率が、企業価値の向上に寄与する」ことが判明しました。
この調査結果は、これらの要素が「投資家や顧客による企業の価値判断の重要な軸になっている」ことを示しています。
参考:グローバル企業300社への独自調査で見えた「人的資本」が企業価値向上に与えるインパクトと人的資本開示の急速な拡大 | PwC Japanグループ
そのような現状のなか、人的資本の強化を支援する有力なアプローチとして注目されているのが、コーチングです。コーチングによる一人ひとりの課題や状況に応じた支援を通じて、女性管理職の登用を促進し、企業の多様性向上につながります。
またコーチングにより従業員の幸福度が向上したことを定量化して情報開示すれば、ステークホルダーからの企業評価も向上します。
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コーチング施策の前後での従業員の変化が定量的に把握できるため、情報開示のベースデータとしても活用できます。
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人的資本経営にコーチングを取り入れる4つのメリット
本章では、人的資本経営にコーチングを取り入れる4つのメリットを紹介します。
メリットがどのように組織の成長と発展につながるのか、みていきましょう。
メリット1.従業員エンゲージメントの向上
コーチングを通じて期待できることの一つが「従業員エンゲージメント」の向上です。
エンゲージメントが高い従業員は、自発的に会社の目標達成に尽力し、長期的な視点で会社の成長に貢献します。
目標設定・進捗管理・フィードバックにより、従業員は自己の成長を実感でき、仕事への意欲や責任感を高めることにつながります。
従業員のエンゲージメント向上は、企業の人的資本が適切に活用されている証となるため、投資家や顧客へ高い企業価値をアピールできる点もメリットの一つです。
さらに継続的なコーチングで高いエンゲージメントを維持できれば、組織全体の生産性向上や目標達成への確実性が高まり、持続的な成長を実現する基盤となり得ます。
従業員エンゲージメントの詳細や向上・測定する方法について知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
従業員エンゲージメントとは?向上施策や導入事例・測定方法を解説
従業員エンゲージメントとは、従業員が持つ貢献意欲や愛着のことです。本記事では、従業員エンゲージメントの概要や向上施策、導入事例や測定方法まで詳しく解説します。
記事掲載日:記事掲載日:2024年9月25日
メリット2.コミュニケーションと信頼関係の強化
コーチングの対話を通じて相互理解を深め、信頼関係を構築することで、従業員は「自身のスキルや知識が評価されている」と感じ、組織に対する信頼感が高まります。
安心して意見交換ができると、新たなアイデアを生み出すきっかけにもつながります。またコーチングによりコミュニケーションが活性化し、従業員と組織の間に信頼関係が築かれると、情報の共有や意思決定の透明性が高まる点もメリットです。
従業員間の信頼関係が組織全体の信頼性向上につながり、投資家や顧客との関係性の強化が見込めます。
組織内のコミュニケーションを高め、コーチング文化を根付かせるステップについては下記の記事で解説しています。組織内にコーチングを浸透させたい方は、ぜひチェックしてください。
コーチングカルチャーとは?5つのメリットや浸透までのステップなど総まとめ
コーチングカルチャーとは、組織内でコーチングが取り入れられ、価値観や態度、行動がコーチングの原則にしたがっている状態です。本記事では、導入メリットや浸透するポイントなどを解説します。
記事掲載日:記事掲載日:2024年7月30日
メリット3.組織の透明性向上
コーチングの過程で得られる気付きや知見を活用することで、企業は自らの強みや課題を客観的に評価できます。
客観的な評価により、人的資本の管理状況を透明性の高い形で外部に開示することが可能です。
組織の弱点やリスクを早期に認識し、適切な対策を講じる基盤が整う点もメリットの一つです。
メリット4. 人的資本の価値最大化
コーチングにより従業員の自己理解が促進し、自分の強みや課題を深く理解できると、組織の目標達成に向けてより貢献できるようになり、人的資本の価値最大化につながります。
中長期的な視点を持ったコーチングは、個人の成長支援に加え、自律的な思考力の育成や多角的な視点の獲得につながるため、環境変化に強い組織への変革も可能です。
コーチングによる支援は、組織にとって不可欠な人材育成につながり、組織の持続的な成長を支えます。
さらに人的資本を企業の強みとして活用することで、他社との差別化を図れる点もメリットです。
人的資本経営にコーチングを導入する際の4つのポイント
人的資本経営に、コーチングを導入する際のポイントを4つ紹介します。
ポイントを押さえることで、人的資本経営の成果をさらに高めるヒントにもつながりますので、ぜひご覧ください。
ポイント1. 目的と成果目標を明確化する
コーチングを通じて解決すべき課題や期待する成果を、下表のように具体的に設定します。
【明確化すべき項目の例】
なぜコーチングを導入するのか | 組織の課題(人材育成・生産性向上・離職率低下など)を明確にし、コーチング導入の目的を具体的に設定する |
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誰を対象とするのか | 全従業員・特定の階層・部門など、対象を絞り込む |
どのような成果を期待するのか | 従業員のスキルアップ、目標達成率向上など、具体的な数値目標を設定する |
目的や目標を設定する際は、コーチング導入だけで考えるのではなく、自社のビジネスモデルや経営戦略と、人材育成の方向性を一致させることがポイントです。
ポイント2. コーチの選定と育成をする
コーチングの効果を高めるためには、適切なコーチの選定が一つのポイントです。
外部のプロコーチを起用するか、社内で内部コーチを育成するかどうかは、企業のリソースや目標に応じて選択しましょう。外部コーチと内部コーチの主な特徴は、下記のとおりです。
【外部コーチと内部コーチの主な特徴】
外部コーチ | ・国際コーチング連盟(ICF)などの厳格な審査基準をクリアした認定資格を持つ専門家であるため、一定の品質が保証される ・組織内部の人間関係や政治的要因に影響されにくく、客観性が高い |
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内部コーチ | ・会社のビジョン・価値観戦略などを深く理解しているため、組織の状況に即したコーチングができる ・外部コーチに比べてコスト負担が少なく、長期的なプログラムでも活用しやすい管理職やリーダーを対象に、コーチングスキル研修を実施して育成を図ると良い |
外部コーチは、「経営層や幹部または組織全体に新しい視点をもたらしたい」場合に適しています。
一方で内部コーチは、現場密着型の支援や組織内で継続的なフォローを必要とする場面に適しており、費用を抑えて組織文化を重視したコーチングをおこないたい場合に効果的です。
外部コーチと内部コーチを組み合わせて活用することで、それぞれの強みを補完し、効果的なコーチング体制が構築できます。
ポイント3. 組織全体の支援体制を構築する
コーチングの導入は、効果の持続と拡大のため組織の文化として根付かせる必要があるため、支援体制の構築が求められます。
それにはまず、経営層がコーチングの重要性を理解し積極的に発信することが大切です。
コーチングのメリットを従業員に伝え、参加を促進するための社内キャンペーンや説明会を実施し、社内全体での浸透を後押ししましょう。
その際、コーチングの効果が可視化できると、更なる予算確保や従業員からの支援が得られやすくなります。
当サイトでは、経営者がコーチングを受ける効果について解説した記事を出しているので、気になるものがあればチェックしてみてください。
経営者がコーチングを受けるメリットとは?効果やコーチの選び方などを解説
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記事掲載日:記事掲載日:2024年7月8日
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記事掲載日:記事掲載日:2024年10月13日
ポイント4. コーチングセッションを管理する
コーチングを導入する際は「自社の人材管理システムとの連携」が理想ですが、日本国内では総合的なシステムを提供できる企業は少ないのが現状です。
そこで「クライアント管理やコーチングセッションの記録をデジタルで一元管理できる仕組みを備えたコーチング提供会社」への依頼をおすすめします。
一方でコーチ側は、企業のニーズに応えるためのツールとして株式会社メタメンターが提供する「MetaMentor CRM 」の活用がおすすめです。
「MetaMentor CRM 」は、日本初のコーチングCRMで、従業員一人ひとりの基本情報やコーチングセッションの記録を一元管理することで、効果の測定や、目標値・分析などが可視化できるシステムです。
また、企業内のコーチングにおすすめなのが、「チーム管理機能」です。クライアント情報・カルテ・共有ノートをチームで共有し、機密情報の保護とチーム内の効率的な情報共有を両立できるチームオプションです。
チームオプションである「チーム管理機能」の主な特徴は下記のとおりです。
・権限に応じてデータファイルを共有し、チーム内の情報共有を効率化できる
・守秘義務やプライバシーの保護に考慮し、システム的にはSSL/TLS証明書による暗号化通信とゼロトラストアーキテクチャを採用
・ユーザーパスワードはハッシュ化され、HIPAA準拠のクラウドサービスでデータを安全に管理
このようにコーチングに関する情報を安全に効率よく管理できるため、企業側が求める記録管理や分析の要求に応えるツールとして信頼性が高いだけでなく、コーチング提供の品質向上にもつながります。
ウェルビーイングを数値化して施策の妥当性に活用できる「ウェルビーイング診断」も搭載された「MetaMentor CRM 」は、無料で登録していただけます。下記のバナーをクリックのうえ、お気軽にチェックしてみてください。
人的資本開示とコーチングの未来
今後、人的資本開示はより詳細で包括的なものへと進化すると予想されます。
そのため企業は、ステークホルダーや求職者に対して、組織の人的資本の価値をより明確に伝える必要性が高まるとも考えられます。
例えば、具体的なスキル、知識、経験だけでなく、従業員のエンゲージメント、幸福度、キャリア目標など、従業員の全体像を描く情報などの開示です。
詳細な情報を効果的に収集・分析し、透明性の高い開示を実現するためには、AIを上手に活用するのがおすすめです。
AIは、大量のデータから従業員の傾向やニーズを抽出し、客観的な指標を提供する能力に優れています。
さらに、AIを活用したコーチングは、従業員一人ひとりのニーズに合わせたサポートを提供し、エンゲージメントやパフォーマンス向上の寄与に期待が持てます。
国際コーチング連盟(ICF)は、AIを活用したコーチングシステムのガイドラインを策定しており、AIコーチングの質と信頼性を確保するためのフレームワークとして有用です。
このガイドラインでは、倫理的な設計・効果的なコミュニケーション・学習促進など、AIコーチングに求められる要件が詳細に示されています。
詳しい内容は、下記からチェックしてみてください。
【海外レポートまとめ】AIコーチングとは?ICFが定めたガイドラインを紹介
コーチングにAIを活用したい方必見!ICF(国際コーチング連盟)が定めた、AIを活用したコーチングの質と信頼性を確保するための画期的なガイドラインを紹介します。
記事掲載日:記事掲載日:2024年410月29日
まとめ:人的資本経営にコーチングを導入して透明性と信頼を高めよう
人的資本経営において、コーチングは従業員の能力開発やエンゲージメント向上を促進し、企業の透明性と信頼性を高める手段として役立ちます。
特に、従業員の幸福度を数値化して情報を開示することで、投資家や顧客への信頼性を向上させるだけでなく、採用活動や従業員満足度にも良い影響を与えます。また、AIや診断ツールを活用したコーチングは、人的資本開示の質を高め、組織全体の成長を後押しします。
コーチングの効果を可視化するなら、株式会社メタメンターが提供する「ウェルビーイング診断」がおすすめです。
ウェルビーイング診断は、心理的・社会的・身体的な要素を統合的に評価し、従業員のウェルビーイングを数値化します。コーチングが従業員のパフォーマンスや幸福度にどのように影響を与えているかを定量的に示すことで、経営層やステークホルダーに対して取り組みの有効性を説得力を持って示すことが可能です。
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記事監修
代表取締役社長 小泉 領雄南
2011年にGMOペイメントゲートウェイ入社。2016年にGMOフィナンシャルゲート執行役員に就任し、2020年に上場。2021年、早稲田MBA在学中にコーチングに出会い、翌年メタメンター設立。2023年に国際コーチング連盟日本支部運営委員に就任。