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近年、ウェルビーイングへの関心が高まっており、企業において職場環境の改善や生産性向上につなげるための施策として注目されています。ウェルビーイングを向上させる方法の1つにコーチングがありますが、その関係性や具体的な効果については、十分に理解されていないのが現状です。
本記事では、コーチングとウェルビーイングの関係性をテーマに、コーチングの効果やクライアント企業に導入する方法、実施のポイントまで詳しく解説します。記事の最後には、コーチングの効果を高めるために活用できるウェルビーイング診断ツールも紹介しています。コーチングを通じて、クライアントのウェルビーイングを高めたいコーチや対人支援者の方は、ぜひ最後までご覧ください。
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ウェルビーイングとは、個人が「心理的・社会的・身体的に満たされた状態」を指した言葉で、人生において幸福感で満たされていることを意味します。では、コーチングとウェルビーイングはどのように関わっているのでしょうか。
ここでは、コーチングの概要と役割を確認しながら、ウェルビーイングとの関係性を見ていきましょう。
コーチングとは?定義と役割
コーチングとは、コーチが質問やフィードバックを投げかけることで、クライアント自身が自分の言葉から考えや解決策を見つけるためのサポート(対話)を指します。
コーチング国際コーチング連盟(ICF)は、コーチングを以下のように定義しています。
コーチングとは、思考を刺激し続ける創造的なプロセスを通して、クライアントが自身の可能性を公私において最大化させるように、コーチとクライアントのパートナー関係を築くことです。
コーチングの本質とは「クライアントの自己認識を高めること」です。自分自身の価値観や強み、目的などを深く理解することで、クライアントは自分らしい生き方や働き方を見出せます。
コーチングを繰り返し、クライアントの自己認識が高まると、自分の価値観、強み、弱みを理解し自分にあった生き方や目標設定が可能です。自分の価値観に基づいた行動は、健康的な生活や適切なストレス管理、人間関係の改善などにつながり、ウェルビーイングの向上に寄与します。つまりコーチングは、クライアントのウェルビーイングを高めるための有効な取り組みです。
実際に多くの企業でもコーチングを導入し、従業員の成長やエンゲージメントの向上などにつなげています。企業がコーチングを取り入れる意義や導入企業の事例は、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
成功企業が実践!コーチングの秘密とその組織への圧倒的影響
コーチングの真髄を解明!世界のトップ企業が取り入れるコーチングの秘密と、組織への劇的な影響を具体例とともに紹介。
記事掲載日:2023年8月28日
コーチングで深まる自己認識とは「自分を客観的に理解する力」
コーチングで深まる自己認識について詳しく見ていきましょう。
自己認識(セルフアウェアネス)とは、「自分自身を客観的に理解する力」です。組織心理学者のターシャ・ユーリックは、自己認識には「内面的自己認識」と「外面的自己認識」の2つがあると提唱しています。
・内面的自己認識:自分の思考や性格、価値観、情熱、他者への影響力などを明確に理解していること
・外面的自己認識:自分の内面的自己認識を、他者がどのように評価しているのか、見ているのかを理解していること
参考:DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|「リーダーに不可欠な『自己認識力』を高める3つの視点」
内面的自己認識と外面的自己認識のバランスを取れている人は、日常における幸福度が高まるといえます。
例えば、自己認識が高い人は自分への過度な期待や思い込みの偏りが少なく、実際の自分とのギャップが小さいため、予測どおりの結果や成果につながりやすくなります。また、自分の言動のとらえられ方を把握しているため、円滑なコミュニケーションと良好な人間関係の構築が可能です。結果として、日常で受けるストレスが減り、幸福度や満足感(ウェルビーイング)が高まると考えられます。
このように、コーチングではコーチの問いかけやフィードバックを通じて、クライアントの自己認識を深めることが可能です。
コーチングはウェルビーイングの向上につながる
コーチングを通じてクライアントの自己認識が深まることで、価値観に基づいた意思決定ができるようになると、ストレスの軽減や生産的な行動などにつながり、結果的にウェルビーイングの向上が期待できます。
また、ワイカト大学人文社会科学部心理学部のアンナ・サットン氏は論文にて「本当の自分を表現し、意図的な選択をおこない、それに対して責任を持つという行為は、現在では一般的にオーセンティシティ(真正性)と呼ばれ、幸福感と人生への関与感を与える」と述べました。
コーチングは、クライアントが自身の価値観や強み、望みなどに気づき、それに沿った目標設定や行動を促すことにつながるため、オーセンティシティを高めます。
つまり、コーチングを通じて自己認識が深まり、オーセンティシティが高まることで、ウェルビーイングの向上させることが可能です。また仕事においても、オーセンティシティの向上は、従業員エンゲージメントを高め、離職率の低下につながると発表されています。
参考:Living the good life: A meta-analysis of authenticity, well-being and engagement – ScienceDirect
経営の観点からも、ウェルビーイングの向上はエンゲージメントや生産性の向上効果などが期待できるため、企業から注目を集めています。ウェルビーイング経営の詳細は、以下の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。
ウェルビーイング経営で会社が変わる!3つのメリットや成功事例を紹介
ウェルビーイングを会社に導入すると、生産性向上だけでなく離職率低下も期待できます。本記事では、ウェルビーイング経営の3つのメリット成功事例、ポイントなどを解説します。
記事掲載日:2024年4月7日
次の章では、ウェルビーイングを高めるコーチングの具体的な効果について解説します。
ウェルビーイングを高めるコーチングの効果
ウェルビーイングの向上とコーチングの効果について詳しく見ていきましょう。
2022年に発表された下記のICFの調査によると、10,841名の回答者がコーチングによる複数のポジティブな効果を実感したことが示されています。
【コーチングが与えた効果】
出典:2022 ICF Global Consumer Awareness Study 1
上記のグラフのうち、上位の効果は下記のとおりでした。
・コミュニケーションスキルが向上 (42%)
・自尊心や自信が向上(41%)
・ワークライフバランスが改善 (38%)
・生産性が向上 (38%)
コーチングによる効果はさまざまあります。ここでは上記のデータをふまえてウェルビーイング向上につながる効果を4つピックアップし、紹介します。
特にコーチや対人支援者の方は、これから紹介する効果について知ることは、クライアントへの影響やコーチングの効果を把握・測定するためにも役立ちますので、ぜひご確認ください。
効果1. コミュニケーション能力が高まる
コーチングは、クライアントのコミュニケーション能力を向上させます。自己認識が高まることで、クライアントは周囲の意見を尊重しながらも、自分の考えを適切に伝えられるようになると考えられるためです。
例えば友人関係で悩むクライアントが、コーチングを通じて自分の意見を主張するだけでなく、相手の立場で考えられるように変化したことで、良好な友人関係を築けます。
周りとスムーズにコミュニケーションを取ることで、仕事やプライベートでのストレスが軽減され、ウェルビーイング向上への貢献が可能です。
効果2. 自己効力感を高め、目標達成・自己実現につながる
コーチングはクライアントの自己効力感を高め、目標達成や自己実現につながります。
自己効力感とは、「自分はできる」と自分の行動に対して信頼することです。コーチは、クライアントが自身の強みやスキルを再確認するためのサポートをおこなうため、自己効力感を高められます。
例えば、長年起業に踏み出せずにいるクライアントがコーチングを受けたとしましょう。自分の客観的な強みや可能性、行動を止めていた思考のクセに気づくことで、自己効力感が高まります。その結果、クライアントは起業に向けての明確な目標を立て、行動に移せるようになるはずです。
自己効力感の向上は、叶えたい夢や目標への挑戦意欲を高め、目標達成のための行動を促進するといった自己実現につながるため、ウェルビーイングの向上が期待できます。
効果3. ワークライフバランスの改善につながる
コーチングは、クライアントの自己認識を深め、ワークライフバランスの改善に貢献します。自己認識が高まることで、仕事やプライベートにおける課題やストレスの原因を把握し、適切に対処できるようになるためです。
例えば、仕事と家庭の両立に悩んでいるクライアントがコーチングを受けることで、自分の価値観と優先順位を明確にし、時間管理の方法を効果的に見直せます。その結果、仕事とプライベートの両方で充実した時間を過ごせるようになり、ウェルビーイングの向上が可能です。
効果4. 生産性が向上する
コーチングでクライアントの自己認識を深めることは、行動の生産性向上にもつながります。クライアントは自身の強みや弱点を認識し、目標達成のために自己改善へ取り組めるようになるためです。
また、コーチングを通じてコミュニケーション能力も高まるため、円滑な人間関係が構築でき、仕事においてもスムーズにすすみ、目標達成が見込まれます。
例えば、Webデザインの仕事をしているクライアントがコーチングを受けることで、自分の強みを活かしたデザインや営業スタイルを見出し、生産性と売り上げの向上につながると考えられるでしょう。
実際に人が幸せな状態で仕事をした場合、生産性は31%アップ、売り上げが37%アップ、創造性は3倍になることが論文でも発表されています。
【従業員の幸福が仕事にもたらす効果】
参考:The Benefits of Frequent Positive Affect: Does Happiness Lead to Success?
このように、コーチングは仕事においても生産性やパフォーマンスの向上につながり、ウェルビーイングを高めるといえます。
企業にコーチングを導入する3つの手順【コーチ向け】
クライアントが企業のケースを想定して、コーチングを導入する具体的な手順は以下です。
コーチングの導入手順を知ることで、コーチングを企業へ導入する際に必要な要素や流れのイメージをつかめます。
手順1. クライアント企業にコーチングの導入目的と目標をヒアリングする
効果的なコーチングを実施するために、まずはコーチングを導入する目的と目標をクライアント企業にヒアリングし、明確にしましょう。コーチングの方向性が定まり、クライアント企業にとって効果的かつ円滑な導入ができます。
クライアントの導入目的の例は、次のとおりです。
- メンバーのワークライフバランスの向上
- マネジメントの強化
- 生産性の向上 など
クライアント企業の現状をふまえて、コーチングの目的と目標を決定します。クライアント企業との信頼関係を構築することにもつながるため、丁寧なヒアリングが大切です。
手順2. クライアント企業に適したコーチング導入方法を提案する
クライアント企業の状況や目的に合わせて、最適なコーチングの導入方法を提案します。企業でコーチングを導入する主な方法として、以下の3つが挙げられます。
- 社内でコーチを実施する人材を育成する
- 外部からプロのコーチにコーチングを依頼する
- コーチングスキルを持つ人材を採用する
それぞれの方法には特徴があるため、クライアント企業の予算や目的に応じて最適な方法を提案し、選択してもらうことが大切です。
例えば社内の人材を育成する方法は、社内のコーチング文化を醸成できる一方、長期間の取り組みが必要となるため即効性には欠けます。一方、外部のプロのコーチに依頼する場合、即効性は高いですが一定のコストは発生します。こうした特徴をクライアントに説明してください。
手順3. クライアント企業に適したコーチングプログラムを設計する
クライアント企業のニーズや目的に合わせて、コーチングを実施する具体的な内容やスケジュールを設計します。コーチングプログラムの設計では、例えば次のような要素を考慮しましょう。
- 実施回数
- コーチング対象者
- 実施期間やタイミング
- コーチングで扱うテーマ
- フォローアップの方法 など
こうした要素を、クライアント企業と話し合いながら決定します。例えば、実施回数はクライアント企業の目的や予算に応じて決定したり、コーチング対象者は組織全体のニーズや個人の成長段階を考慮して選定したりします。
コーチとクライアント企業との間で、コーチングに対する共通の認識を持つことで、より効果的なコーチングの実施とスムーズな導入、信頼関係の構築につながるため重要です。
ウェルビーイング向上に効果的なコーチングをおこなうポイント
ウェルビーイング向上に効果的なコーチングをおこなうためには、以下の3つのポイントが重要です。
これから説明するポイントを実践することで、効果の出ないコーチングを防止し、クライアントのウェルビーイングの向上を実現できます。
ポイント1. クライアントの現状を客観的に把握する
コーチングをおこなう前に、まずはクライアントの現状の把握が重要です。現在の心身の状態やモチベーションなどを客観的に理解することで、適切なコーチングの方向性を見出せます。
とはいえ、「クライアントのウェルビーイングの現状は見えにくい」「客観的な把握が難しい」と感じるコーチの方もいらっしゃるでしょう。
そうした課題やお悩みを持つ方は、クライアントのウェルビーイングの現状把握に役立つ「ウェルビーイング診断ツール」の活用も一案です。
診断ツールの選び方については、下記の記事で紹介していますので、併せてご覧ください。
ウェルビーイング診断ツールおすすめ5選!選び方や有効的な活用方法も解説
ウェルビーイング診断は、簡単な質問に答えるだけでウェルビーイングの状態がわかるツールです。本記事では、おすすめの診断ツールや選び方・有効的な活用方法などを解説しています。
記事掲載日:2024年5月29日
ポイント2. 効果的なフィードバックをおこなう
コーチングでは、クライアントに新たな気づきや視点を与えるフィードバックも重要です。コーチングに求められるスキルはさまざまですが、効果的なフィードバックをおこなうには信頼関係に加えて、適切な傾聴と質問、承認などが求められます。
- 傾聴:クライアントの話に興味・関心を持って共感し、話しやすい態度で聴く
- 質問:クライアントの問題・課題の本質をとらえて、解決や気づきを引き出す質問をおこなう
- 承認:クライアントの言動や存在を認める言葉を伝える
こうした要素をふまえ、クライアントの自己認識を高めることがコーチの役割です。
しかし、クライアントがコーチのフィードバックを「否定されている」「責められている」と感じた場合、信頼関係を損なうリスクや、コーチに本音を言いづらくなったり、モチベーションを低下させたりして効果が出ないリスクもあります。
また、コーチの主観による一方的な指示や結論を伝えることにならないよう、クライアントの意見や感情を尊重し、クライアント自身が解決策を見出せるよう、気づきを引き出す対話を心がけます。
コーチはクライアントのゴールを頭に入れ、質問の意図や目的を伝えながら建設的なフィードバックをおこないましょう。
ポイント3. クライアントの変化を記録する
コーチングの効果が出るまで時間がかかるため、長期的なコーチングの実施が必要です。そのため、毎回のコーチングの様子を記録することも欠かせません。クライアントの変化を記録することで、効果を客観的に評価し、最適なPDCAサイクルを回せます。
記録するクライアントの様子とは、次のようなものです。
- コーチング時のクライアントの状態
- 目標達成の進捗や状況
- モチベーション
- ウェルビーイングの変化 など
コーチング開始時と3ヵ月後、6ヵ月後の変化を記録し、定期的に比較することで、コーチングの効果を可視化できます。またコーチングの費用対効果をクライアントに証明できるため、クライアントへの説明や営業にも役立ちます。
なお、コーチングの効果を測定し、評価するためには、ROI(投資対効果)の計測が不可欠です。ROIについては下記で詳しく解説していますので、効果的なコーチングの実施のために、ぜひご覧ください。
コーチングの効果測定実践と学術的観点:ROI確認の理論と実際
コーチングの効果を定量化しROIを確認する方法を、具体的な企業事例と学術研究を交えて解説。リーダーシップ開発のための新たな視点を提供。
記事掲載日:2023年8月4日
また、ROIの把握やコーチングの変化を記録したり、効果を示したりするには専用ツールの導入がおすすめです。診断ツールについては次の章で解説します。
効果的なコーチングには診断ツールの活用がおすすめ
コーチングの効果や変化は客観的に証明しにくいため「クライアントへの説明が難しい」と悩むコーチの方も多いのではないでしょうか。また一人ひとりの現状を正確に把握し、記録するのはハードルが高いものです。
そこで、コーチングの効果を示せる専用のツールの活用がおすすめです。例えば、メタメンターの「ウェルビーイング診断」が挙げられます。
【ウェルビーイング診断結果画面】
ウェルビーイング診断は、クライアントのウェルビーイングの状態を心理・社会・身体の3つの側面から上記のように数字とグラフで可視化します。早稲田大学 人間科学学術院 人間科学部の大月教授が監修し、ポジティブ心理学や臨床心理学、内閣府のWell-beingダッシュボードなどの知見をベースに開発された信頼性の高いツールです。
毎回の診断結果は記録でき、診断自体は約5分と短いため、多くのクライアントにも対応可能です。コーチングの信頼性を高め、コーチングの法人契約の獲得につながります。
メタメンターのウェルビーイング診断の特徴は、以下の動画からも確認できますので、参考にしてください。
コーチとしての活動の幅を広げるために、ウェルビーイング診断を活用してみてはいかがでしょうか。下記より無料で試せますので、ぜひご利用ください。
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ウェルビーイング診断はこちら効果的なコーチングでウェルビーイングを高めよう
コーチングを通じて自己認識を深めることは、クライアントのウェルビーイング向上につながります。コーチングには、コミュニケーション能力の向上や自己実現の促進など多くの効果が期待できます。
効果的なコーチングには、クライアントの現状を客観的に把握し、変化の記録が欠かせません。しかし、コーチングの効果は測定が難しく、見えにくいという課題があります。そこで、専門ツールの活用がおすすめです。
メタメンターでは、コーチングの効果測定に役立つ「ウェルビーイング診断」を提供しており、ウェルビーイングの向上効果の測定や記録を簡単に行えます。
コーチングをおこなうコーチや対人支援者の方は、ぜひウェルビーイング診断ツールを活用し、効果的なコーチングを実践してみてはいかがでしょうか。仕組みや診断結果の精度が気になる方は、下記よりぜひお試しください。
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ウェルビーイング診断はこちら記事監修
代表取締役社長 小泉 領雄南
2011年にGMOペイメントゲートウェイ入社。2016年にGMOフィナンシャルゲート執行役員に就任し、2020年に上場。2021年、早稲田MBA在学中にコーチングに出会い、翌年メタメンター設立。2023年に国際コーチング連盟日本支部運営委員に就任。