WELLBEING MAGAZINE

ワークエンゲージメントとは?構成する2つの要素や高め方など全まとめ

ウェルビーイング

記事掲載日:2024年10月29日 
最終更新日:2024年10月25日

ワークエンゲージメントとは、従業員が仕事に対して積極的で高いモチベーションを持って活き活きと取り組む心理状態のことです。

ワークエンゲージメントが高まると、従業員のモチベーションや業務への集中力が向上するため、企業の生産性の向上や離職率の低下など幅広い効果が期待できます。

本記事では、ワークエンゲージメントの基本的な概念や企業に与える影響、ワークエンゲージメントを向上する方法などを解説します。測定方法についても解説しているので、人材育成や組織の活性化・成長に関心のある方はぜひ最後までご覧ください。

ワークエンゲージメント向上に役立つツールとして、株式会社メタメンターでは「ウェルビーイング診断」を提供しています。従業員の「心理的・社会的・身体的」3つの側面を網羅的に診断し、定量的に可視化できるため、施策の前後での変化を把握するのに役立ちます。

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ワークエンゲージメントとは?

ワークエンゲージメントとは、仕事に積極的に関わり、高いモチベーションと活力を持って取り組む心理状態のことです。

厚生労働省では下記のように定義しています。

ワークエンゲージメントは、仕事にやりがい(誇り)を感じ、熱心に取り組み、仕事から活力を得ている状態を指し、個人と仕事との関係に着目しています。

出典:ワークエンゲージメントとは|厚生労働省

ワークエンゲージメントは、オランダのユトレヒト大学のシャウフェリ教授らによって確立された、仕事に対するポジティブな態度や心理状態を表す概念として広く知られています。

ただ仕事に没頭するだけでは、健康問題や燃え尽き症候群になるおそれもあるため、本人の心身が健康であることが前提です。

仕事が好きというだけでなく、「仕事に熱中している」「仕事に生きがいを感じている」「仕事を通して成長したい」といった、より深いレベルの仕事への関与を示します。

【ワークエンゲージメントイメージ図】


出典:ワークエンゲージメントとは|厚生労働省

ワークエンゲージメントが高い状態では、従業員は仕事に積極的に取り組むため、組織全体の生産性向上にもつながると考えられています。

ワークエンゲージメントと関連する概念

ワークエンゲージメントに関連する概念は、主に下記の5つです。

  1. ウェルビーイング
  2. 従業員エンゲージメント
  3. 従業員満足度
  4. ワーカーホリズム
  5. バーンアウト

それぞれの特徴とワークエンゲージメントとの違いを下表にまとめてみました。

用語 特徴 ワークエンゲージメントとの違い

1.ウェルビーイング

・「心理的」「社会的」「身体的」の3つが満たされた状態
・ワークエンゲージメントの上位概念の位置付け
・従業員のウェルビーイング向上とワークエンゲージメントも向上は相関関係が成り立つ
参考:ワーク・エンゲイジメントと心理的 well-being の関連性についての 研究|日本科学技術振興機構(JST)
・ワークエンゲージメント:仕事への熱意と没頭
・ウェルビーイング:個人の総合的な幸福と健康

2.従業員エンゲージメント

・所属している組織の方向性を理解し、貢献意欲を表す指標 ・ワークエンゲージメント:「個人」と「仕事」に着目
・従業員エンゲージメント:「個人」と「組織」に着目

3.従業員満足度(ES)

・職場における従業員の満足の度合いを示す指標

・従業員満足度の向上は、顧客満足度の増加につながる傾向がある

・ワークエンゲージメント:会社に対して「能動的」
・従業員満足度:会社に対して「受動的」
・主に働く環境の良し悪しに関する評価に焦点

4.ワーカーホリズム

・仕事中毒とも言われる
・仕事に過度にのめり込み、他の生活のバランスを欠いてしまう状態
・仕事に対する過度の責任感やプレッシャーから生じることが多い
・ワークエンゲージメント:仕事に対し充実感を持ちながら取り組む状態
・ワーカーホリズム:仕事に過度に没頭し、心身に悪影響を与える状態

5.バーンアウト
(燃え尽き症候群)

・過度な仕事の負荷やストレスにより、心身が疲弊しきってしまう状態
・仕事に対する意欲や関心を徐々に失っていく
・モチベーションの低下や体調不良を引き起こし、企業全体の生産性にも悪影響を与える
・ワークエンゲージメント:仕事に対して前向きで、活力や充実感を持って取り組む状態
・バーンアウト:仕事に対するストレスや過労によって、精神的・身体的に疲れ果て、意欲を失った状態
・ワークエンゲージメントの対極にあたる概念

「ウェルビーイング」や「従業員エンゲージメント」の向上は、従業員の満足度や企業の生産性向上にもつながります。具体的な施策や事例などについてさらに深く知りたい方は、詳細を下記の記事でご覧ください。

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なぜワークエンゲージメントが注目されるのか?

ワークエンゲージメントが注目されている背景のなかに「人手不足」と「働きがいの低下」が挙げられます。

厚生労働省が2019年に発表した「令和元年版労働経済の分析」によると、人手不足は特に中小企業で顕著である点が指摘されています。

出典:労働経済の分析|厚生労働省

また同じく「労働経済の分析」のなかで、多くの労使が働きやすさの損失だけではなく、「働きがい」の低下も実感している点が注目すべき要素です。

そこで、より多くの人が「働きがい」を実感できる企業の人材マネジメントを推進する施策が厚生労働省から打ち出されました。施策のなかに、「ワークエンゲージメント」の概念が引用されています。

【課題解消に向けた施策】

ワークエンゲージメントの活用による「働きがい」の分析 「働きがい」という抽象的な概念を、ワークエンゲージメントの視点から客観的にとらえ、国内の「働きがい」の現状を分析する
「働きがい」の向上による
アウトカムの分析
働く人々の健康促進や従業員の定着、生産性向上など、「働きがい」向上がもたらす可能性のある成果を検討する
雇用管理・人材育成の方法に関する分析 フィードバックやキャリア展望、労使のコミュニケーション、若年層のロールモデルの有無など、「働きがい」を向上させる効果的な管理・育成方法を詳細に分析する

参考:第3章「働きがい」を持って働くことのできる環境の実現に向けて|厚生労働省

つまり、政府や企業は従業員が「働きがい」を感じられるような人材マネジメントの方策を推進しており、その中核にあるのがワークエンゲージメントです。

ワークエンゲージメントは、「働きがい」を客観的にとらえ、向上させるための有効な手段として期待されています。

ワークエンゲージメントを構成するの3つの要素

ワークエンゲージメントを構成する3つの要素は次のとおりです。

  1. 活力
  2. 熱意
  3. 没頭

詳しく見ていきましょう。

要素1.活力

活力は、仕事に対して高いエネルギーと精神的な回復力を持ち、意欲的に取り組む姿を指します。

仕事で困難な状況に直面しても、目標に向かって意欲的に行動し続ける力などが活力の一例です。活力のある従業員は、長時間の労働やストレスフルな環境でもモチベーションを維持し、安定したパフォーマンスを発揮しやすい傾向があります。

【活力】
・困難な状況でも、目標に向かって努力を続けられる
・高いエネルギーと精神的な回復力で、仕事に前向きに取り組む

要素2.熱意

熱意は、仕事に対して強い誇りや意義を感じ、情熱を持って取り組むことです。

熱意ある従業員はただ仕事をこなすだけでなく、「組織や社会への貢献」という使命感を持って仕事にやり甲斐や価値を見出しています。そのため、たとえ困難な状況でもやり甲斐や達成感を感じられる点が特徴です。

【熱意】
・仕事に強い意義を感じ、誇りをもって取り組む
・組織や社会への貢献意識を持ち、情熱をもって行動する
・自分の仕事に価値を見出し、達成感を感じながら取り組む

要素3.没頭

没頭は、仕事に深く集中し、時間を忘れるほど専念している状態を表します。

「フロー体験」とも呼ばれ、高い集中力を発揮し優れたパフォーマンスを生み出すことが可能です。従業員は積極的に仕事に関わり、組織に貢献する意欲が高まります。

ただし没頭しすぎると、ワーカーホリックになりやすく、バーンアウトのリスクもあるという点を押さえておきましょう。

【没頭】
・仕事に没頭し、高いパフォーマンスを発揮できる状態(フロー体験)
・仕事に深く関わり、積極的に貢献しようとする姿勢を示す
・注意点としてただの「没頭」だけではワーカーホリックになり、いずれバーンアウトしかねない

ワークエンゲージメント向上が企業に与える5つの好影響

本章では、ワークエンゲージメント向上が企業に与える良い影響を5つ紹介します。

  1. 生産性の向上
  2. 離職率の低下
  3. 従業員の健康改善
  4. 企業文化の向上
  5. 企業イメージの向上

ワークエンゲージメント向上が自社にもたらす好影響を理解し、企業全体の成長と成功に向けた取り組みのヒントを見つけましょう。

影響1.生産性の向上

ワークエンゲージメントが高い従業員は、仕事に対する意欲やエネルギーがあり集中力が高まるため、生産性の向上が期待できます。

心理学者のソーニャ・リュボミルスキー氏、ローラ・キング氏、エド・ディーナ氏らの論文では、従業員が幸せな状態で仕事をした場合、生産性31%アップ・売り上げ37%アップ・創造性が3倍になると発表されています。

【幸福な状態とパフォーマンスへの影響度】

参考:American Psychological Association 「The Benefits of Frequent Positive Affect: Does Happiness Lead to Success?」

ワークエンゲージメントの高い従業員は積極的に業務に取り組み、問題解決や創造的なアイデアを出すことに積極的です。目標達成に向けて一貫した努力を続けるため、全体的な業務効率も改善します。結果として企業はより高い成果を上げられるだけでなく、競争力の向上も期待できます。

影響2.離職率の低下

ワークエンゲージメントが高い従業員は、仕事に対する満足感や誇りを感じており、企業に長く留まりたいという意欲が強くなる傾向があります。

従業員が離職する意欲が低くなると、企業の離職率が低下し優秀な人材を長期間維持できるため、組織全体の安定性や生産性向上につながることも珍しくありません。

また、高い離職率は採用コストや教育コストの増加を引き起こすため、離職率の低減で企業の経済的な負担を減らす効果も期待できます。

離職率の低下を防ぐ鍵の一つに、「従業員の満足度向上」があります。離職率防止に成功した事例や、従業員満足度調査の具体的な方法について下記の記事で詳しく解説していますので、併せてチェックしてみてください。

従業員満足度と離職率の関係とは?

従業員満足度向上と離職防止の方法を経営者・人事向けに徹底解説。調査の進め方から効果的な施策まで、具体的なアクションプランを提供します。企業成長のカギを握る実践的な知識を得て、今すぐ行動に移しましょう。

記事掲載日:2024年6月3日

影響3.従業員の健康改善

ワークエンゲージメントが高い従業員は、仕事に対してポジティブな感情をもつため、ストレスや疲労の軽減が期待できます。心身の健康状態が改善され、病欠や過労などによる健康問題の減少につながるのも好影響の一つです。

企業にとっても健康な従業員が増えると、組織全体のパフォーマンスが向上し医療費の削減につながるため、従業員の健康改善は事業の成長に欠かせません。

また従業員の健康改善において、質の高い睡眠も大切な要素の一つです。自分に必要な睡眠時間を知るためのコツや質の良い睡眠をとるためのポイントなど、睡眠に対する正しい知識を知り、従業員の健康促進のヒントに活用してみるのもおすすめです。

先日、メタメンターでは「快眠が健康や生産性にどのように影響するか」をテーマに専門家をお招きしてセミナーを開催しました。心身の健康に欠かせない睡眠について、詳細な内容や実践方法をセミナーまとめ記事として当サイトに掲載しています。下記から、ぜひチェックしてみてください。

【ビジネスパーソン向け】健康とウェルビーイングを促す快眠術とは?

2024年8月6日、「ビジネスパーソン向け 健康とウェルビーイングを促す睡眠術とは?」が開催されました。ウェルビーイングを高める要素の一つである睡眠の改善を促す生活習慣上の工夫などについて解説しています。

記事掲載日:2024年9月25日

影響4.企業文化の向上

ワークエンゲージメントが高まると、従業員同士の協力やコミュニケーションが活発になり、よりポジティブで協力的な企業文化が醸成されます。

従業員は自発的に学び合い、互いにサポートすることが多くなり、チームワークが強化される点もメリットです。自発的で活発な文化が根付き、企業全体の風通しが良くなるため、今以上に従業員の積極的な仕事への取り組みが期待できます。

影響5.企業のブランド力強化

ワークエンゲージメントが高い企業は、従業員の満足度が高いためポジティブな印象を与え、企業のブランド力強化にもつながります。

例えば仕事にやり甲斐のある社員は、顧客対応にも熱心に取り組み、顧客の要望に対して的確で迅速な対応が可能です。積極的な対応は、顧客満足度や企業のイメージ向上につながります。

さらに顧客や取引先、求職者に対して、「魅力的な企業文化」や「働きやすい職場環境」をアピールできるため「企業の評判が向上すると優秀な人材を引きつける力も強まる」など、さまざまな相乗効果も期待できます。

ワークエンゲージメントを高める2つの要素

ここでは、ワークエンゲージメントを高める要素の、「仕事の資源」と「個人の資源」を順番に紹介します。

はじめに紹介する「仕事の資源」とは、 仕事を通じて得られるポジティブな要素を指します。主な例と期待される効果を下表にまとめました。

【仕事の資源の例と期待される効果】

仕事の資源の例 期待される効果
上司によるコーチング ・ストレス軽減
・組織への所属感向上
・仕事へのモチベーション向上 など
仕事のコントロール ・自律性向上
・責任感の醸成
・仕事への満足度向上 など
スキルの活用 ・自己効力感向上
・成長の実感
・仕事への貢献感向上 など
正当な評価 ・モチベーションの向上
・パフォーマンスの向上
・ストレス軽減
・満足度向上 など
キャリア開発の機会 ・成長意欲の向上
・組織への貢献意識の向上
・離職率の低下 など

次に「個人の資源」とは、自己効力感、自尊感情など、個人が生まれながらに持っている・または経験を通して獲得したポジティブな特性のことです。個人の資源の例と効果を表にまとめました。

【個人の資源の例と期待される効果】

個人の資源の例 期待される効果
自己効力感 ・困難な課題への挑戦
・目標達成
・ストレス耐性の向上
楽観性 ・ストレス耐性
・問題解決能力
・目標達成
自尊感情 ・自信
・ポジティブ思考
・人との良好な関係構築
回復力 ・逆境からの立ち直りや乗り越える力
・精神的な安定
希望 ・目標に向かって粘り強く取り組む

下図は、厚生労働省が「仕事と個人の資源がどのように仕事のストレスを減らし、ワークエンゲージメントを高めるか」を示した「仕事の要求度-資源モデル(JD-Rモデル)」を図解にしたものです。

出典:第2-(3)-8図 仕事の要求度-資源モデル(JD-Rモデル)|とワーク・エンゲイジメントについて|厚生労働省

この図からわかることは、「仕事の資源」と「個人の資源」は相互関連にあるという点です。

仕事の要求度が高くて個人の資源が不足すると、従業員はストレスを感じ、ワークエンゲージメントが低下します。反対に資源が豊富であれば、高い要求度でもワークエンゲージメントを維持できる可能性がある、といえます。

なお自己効力感の向上には、組織文化にコーチングを取り入れる「社内コーチング」もおすすめです。近年のグローバル化や市場の変化に迅速に対応するため、組織の柔軟性と創造性を高める手段として、多くの企業がコーチングカルチャーの導入に取り組んでいます。

従業員の満足度向上やコーチングを通した職場環境の改善に関心のある方は、下記の記事もチェックしてみてください。

【人事必見】従業員満足を高めるコーチング術

従業員満足度をコーチングで向上させる方法を経営者・人事向けに解説。モチベーションと職場環境改善の手法からコーチング文化の構築まで、具体的な実践ポイントを紹介します。今すぐコーチングを始めて、従業員の満足と成長を促進しましょう。

記事掲載日:2024年9月17日

また従業員の自己効力感の可視化には、ツールの活用が便利です。可視化によって従業員の現状を客観的に把握し、改善すべき点や強みを明確にすることができます。

株式会社メタメンターでは、個人はもちろん、法人も無料で使用でき、定期的な従業員の状態を可視化できるツール「ウェルビーイング診断」を提供しています。まずは、下記からお気軽に試してみてください。

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実践!ワークエンゲージメントを向上する4つの方法

前章で紹介した資源を最大限に活用するため、職場で実践する具体的な取り組みを4つ紹介します。

  1. コミュニケーションの促進
  2. 自主性と裁量を尊重する環境づくり
  3. 目標達成を共有する仕組みづくり
  4. 適切なフィードバック

まずは、自社で取り組みやすい方法から始めてみましょう。

方法1.コミュニケーションの促進

一つ目の方法は、コミュニケーションの促進です。

上司と部下・同僚など従業員間のコミュニケーションが促進されると、情報共有が円滑になり、チームワークが向上します。加えて多様な意見が生まれやすくなるため、より良いアイデアが生まれるきっかけとなります。

下記のような方法でコミュニケーションを促進してみましょう。

【コミュニケーション促進の主な方法】

・定期的なミーティングの開催
・1 on 1ミーティングの実施などで上司と部下の壁を取り払い、気軽に意見交換できるオープンな環境づくり
・匿名で意見を共有できるボックスの設置 など

ポイントは、従業員が「自分の声が聞かれ、評価されている」と感じられる環境づくりです。

そのためにも従業員が自分の考えを自由に表現できる場を設け、モチベーション向上や職場への帰属意識が高まる社風を構築しましょう。

方法2.「自主性」と「裁量」を尊重する環境づくり

次は、従業員の自主性と裁量を尊重する環境づくりです。自主性や裁量を尊重する職場環境は、従業員が自発的に行動し成長する意欲を引き出します。

それぞれのスキルや強みに応じて業務を任せたり、意思決定の一部を従業員に委ねてみましょう。自分の役割に対する責任感と達成感が高まります。

例えば、下記のような方法がおすすめです。

【従業員の自主性・裁量を尊重する方法】

・フレックスタイム制の導入
・従業員自身が目標を設定し、達成に向けて取り組めるようにする
・社員全員が参加可能な「ワークショップ」を実施し、最優秀となったプロジェクトについては新規事業として採用する など

ポイントは意思決定の一部を従業員に委ね、自分の役割に対する責任感と達成感が高まるように促すことです。

方法3.目標達成を共有する仕組みづくり

目標達成を共有する仕組みづくりも、ワークエンゲージメント向上に欠かせません。

目標を共有し、全員がその達成に向けて協力できる仕組みがあると、チーム全体が共通のビジョンをもてます。すると一体感が生まれ、個々のメンバーが「組織の成功に貢献している」という実感が得られます。

例えば、下記の方法で目標達成の共有を促進してみましょう。

【目標達成の共有方法】

・目標を数値化し、進捗状況をグラフやチャートなどで可視化する
・目標達成に向けた進捗状況を定期的に報告し、共有する
・目標達成への評価や報酬制度を整える など

従業員が自己の成長を感じながら、組織の成果にもコミットできるようにサポートするのがポイントです。

方法4.適切なフィードバック

適切なフィードバックは、改善点や達成すべき目標を具体的に伝える機会であり、正しくおこなえば従業員のモチベーションを高め、職場の活力向上が期待できます。

例えば1対1の面談を定期的に実施し、個人の成果を評価しながら次のステップに向けたアドバイスをおこなってみましょう。

フィードバックを適切に実施するための主なポイントは下記のとおりです。

【フィードバックのポイントの例】

・抽象的な言葉ではなく、具体的な行動や結果を例に挙げ、改善点や改善策を提示する
・相手の意見を聞き、お互いが理解を深める「双方向のコミュニケーション」を意識する
・行動直後やプロジェクト終了後など、できるだけ早くタイムリーなフィードバックをおこなう
・改善点だけでなく、良い点も具体的に伝える
・個人の感情的な意見ではなく、客観的な事実を基にフィードバックをおこなう など

「ポジティブな側面」と、「改善点と今後の目標」で、従業員が自分の能力を最大限に発揮し、成長を実感できるようにサポートしましょう。従業員が成長を実感できると、働きがいにもつながります。

さらに詳しくワークエンゲージメントを向上させる方法を知りたい方は、下記の記事もぜひチェックしてみてください。企業文化や戦略立案などについても解説しています。

ワークエンゲージメントを向上させるための取り組みを徹底解説

管理職・人事必見!ワークエンゲージメントを高める方法とメリットを徹底解説。生産性向上や離職率低下につながる実践策を紹介。職場の活性化に役立つ戦略を立て、今すぐ実行しましょう。

記事掲載日:2024年6月3日

ワークエンゲージメントを測定する3つの方法

ワークエンゲージメントの主な測定方法は、大きく下記の3つです。

  1. UWES(Utrecht Work Engagement Scales)
  2. MBI-GS(Maslach Burnout Inventory-General Survey)
  3. OLBI(Oldenburg Burnout Inventory)

3つの測定方法の特徴などを表にまとめました。

【3つの測定方法の特徴】

測定方法 開発目的 評価要素 質問項目数 特徴

UWES

ワークエンゲージメントの測定 活力・熱意・
没頭
17項目・9項目・3項目 ・最も広く使用されている
・さまざまなバージョンあり

MBI-GS

バーンアウト症候群の測定 疲弊感、シニシズム、職務効力感 16項目 バーンアウトの測定を通して間接的にワークエンゲージメントを評価

OLBI

バーンアウトの測定 疲労、疎外感(ポジティブ・ネガティブの両方を評価) 少ない項目数でシンプル ポジティブとネガティブの両方を含み、バランスの取れた評価が可能

なお、質問の詳細を知りたい方は ワーク・エンゲイジメント(UWES)から確認してください。(※ただし、目的が学術研究ではなく実務の一環として用いる場合には、著者に連絡が必要)

ワークエンゲージメントの測定方法や測定後の活用方法の詳細は、下記の記事で解説しているので併せてチェックしてみてください。

【事例付き】ワークエンゲージメントを測定する3つの方法!活用ポイントも解説

ワークエンゲージメントの測定には3つの方法があります。本記事では、ワークエンゲージメントの要素や関連が深い概念・測定後の活用ポイント、企業の事例などを紹介しています。

記事掲載日:2024 年5月29日

ここまでワークエンゲージメントについて紹介しましたが「自社でどのような取り組みをすればいいかわからない」という方もいるのではないでしょうか。次の章では、株式会社サイバーエージェントの事例を紹介します。

ワークエンゲージメント向上に取り組む企業事例

出典:株式会社サイバーエージェント

株式会社サイバーエージェントは1998年に設立され、2000年に上場を果たし急速な成長を遂げた企業です。その一方で、退職率が30%を超えていたり、役員間の理念共有が不十分だったりと課題も多くありました。

ワークエンゲージメント向上の取り組みとして会社のビジョンを明文化し、ビジョンに共感する人材を重視した採用によって、離職率を2022年時点で8.4%まで下げることに成功しました。

【株式会社サイバーエージェントの課題・取り組み・成果】

課題 ・退職率が30%を超えていた
・役員間の理念共有が不十分だった
取り組み(一例) ・会社のビジョンを明文化した
・採用はビジョンに共感する人材を重視
成果 ・離職率は2022年時点で8.4%
・GEPPOという簡易アンケートを用いて従業員の声を聴き、経営課題に反映されるようになった

この他にも、社内の懇親会や部活動を支援することで、従業員間の関係性が強化され、組織全体のエンゲージメントとパフォーマンス向上につながっています。

参考:働き方・休み方改善ポータルサイト|厚生労働省

他社の取り組みから自社の課題を見直し、効果的な改善策を導入するヒントを得てみましょう。ワークエンゲージメント向上に取り組む企業の事例をさらに知りたい方は、下記の記事で紹介していますのでご覧ください。

【事例付き】ワークエンゲージメントを測定する3つの方法!活用ポイントも解説

ワークエンゲージメントの測定には3つの方法があります。本記事では、ワークエンゲージメントの要素や関連が深い概念・測定後の活用ポイント、企業の事例などを紹介しています。

記事掲載日:2024 年5月29日

まとめ:ワークエンゲージメント向上で組織力を強化しよう!

ワークエンゲージメント向上は、企業の持続的な成長に不可欠です。加えて生産性の向上や離職率の低下など、さまざまなメリットが期待できます。

企業は、従業員にとって働きがいのある職場環境を整えて組織力を強化し、長期的な成長と競争力向上につなげていきましょう。

従業員の心の状態を可視化し、より効果的なワークエンゲージメント向上や組織活性化の施策をサポートするツールとして、「ウェルビーイング診断」がおすすめです。

ワークエンゲージメントの上位概念である「ウェルビーイング」を定量的に測定できるため、従業員の「心理的・社会的・身体的」な状態を総合的に把握するのに役立ちます。

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記事監修

代表取締役社長 小泉 領雄南

2011年にGMOペイメントゲートウェイ入社。2016年にGMOフィナンシャルゲート執行役員に就任し、2020年に上場。2021年、早稲田MBA在学中にコーチングに出会い、翌年メタメンター設立。2023年に国際コーチング連盟日本支部運営委員に就任。

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