WELLBEING MAGAZINE

【事例付き】ワークエンゲージメントを測定する3つの方法!活用ポイントも解説

コラム

記事掲載日:2024年5月29日 
最終更新日:2024年7月26日

ワークエンゲージメントとは、仕事への愛着や思い入れを表す概念です。

ワークエンゲージメントが高い状態は、従業員の満足度が高く、生産性の向上や離職率の低下にも影響があるといわれています。そのため、定期的に測定することが望ましいです。

そこで本記事では、ワークエンゲージメントの測定方法や測定後の活用ポイント、ワークエンゲージメント向上に取り組み、成果を出している企業の事例などを紹介します。

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ワークエンゲージメントとは?

ワークエンゲージメントとは、仕事への積極的な姿勢や献身度を表す概念です。

厚生労働省では、下記のように定義しています。

ワークエンゲージメントは、仕事にやりがい(誇り)を感じ、熱心に取り組み、仕事から活力を得ている状態を指し、個人と仕事との関係に着目しています。

出典:ワークエンゲージメントとは|厚生労働省

ワークエンゲージメントは、オランダ・ユトレヒト大学のシャウフェリ教授らが確立した概念として広く知られています。

また、ワークエンゲージメントは後述する「従業員エンゲージメント」や「従業員満足度」と比べて、仕事を楽しんでいる「快」の感情と、活動が活発であるという点を重視しているのが特徴です。

加えて問題の予防だけでなく「問題がない従業員も自分自身を成長させたり、キャリアを発展させたりするのに役立つ」と考えられています。

【ワークエンゲージメントが高い人のイメージ図】

出典:ワークエンゲージメントとは

ワークエンゲージメントは、従業員にとっても企業にとっても関心が高く、仕事のパフォーマンスとも良い関係があるため、積極的に取り組みやすいテーマです。

今すぐ、ワークエンゲージメントの測定方法が知りたい人は「ワークエンゲージメントの3つの測定方法」をご覧ください。

ワークエンゲージメントを構成する3要素

ワークエンゲージメントは、次の3要素で構成されています。

1.活力
2.熱意
3.没頭

3要素を図で表すと下記のとおりです。

出典:活力 熱意 没頭|厚生労働省

「ワークエンゲージメントが高まっている状態」を、それぞれの要素ごとにまとめました。

【ワークエンゲージメントを構成する3要素と高いときの状態】

要素 高まっている時の状態
活力 ・仕事に対するエネルギーが高く、精神的な回復力に富んでいる
・主体的に仕事に取り組み、難しい問題にも持続的に挑戦できる
・仕事中のストレスを軽減し、より充実した職務体験が可能
熱意 ・仕事に意義を感じ、新たな課題に取り組む熱意が保持できる
・業務への興味や好奇心が高まり、自発的に質の高い製品やサービスを創出する努力ができる
・関連する他の製品やサービス、部署に対しても関心が広がる
没頭 ・時間が経つのを忘れるほど集中している
・作業の質と速度が上がり、間違いが少なくなる傾向がある
・集中していないときに比べて、作業の速さ・効率が大幅に向上する

ワークエンゲージメントの3要素が揃うということは、従業員の仕事に対する満足度が高まり、生産性向上につながる状態です。つまり、「職場でワークエンゲージメントを育むことが、組織全体を成功へ導く鍵となる」といえます。

下記の記事では、従業員のエンゲージメント向上がもたらす効果や日本の現状などを解説しています。併せてご覧ください。

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記事掲載日:2024年4月7日

ワークエンゲージメントと関係の深い5つの概念

次に、ワークエンゲージメントに関連する5つの概念を紹介します。

  1. ウェルビーイング
  2. 従業員エンゲージメント
  3. 従業員満足度
  4. ワーカーホリズム
  5. バーンアウト

ワークエンゲージメントと関連が深い概念を知っておくことで、従業員の心理状態が多面的に把握でき、より深い理解につながります。1つずつみていきましょう。

概念1.ウェルビーイング

ウェルビーイングとは、「心理的」「社会的」「身体的」の3つが満たされた状態で、ワークエンゲージメントの上位概念の位置付けです。

仕事に限定せず、人間として心も体も幸せな状態を指します。したがって、従業員のウェルビーイングが高まると比例してワークエンゲージメントも向上する、と考えられます。

社内のウェルビーイング向上のポイントを下記の記事で詳しく解説しているので、関心のある方はご一読ください。

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記事掲載日:2024年4月7日

概念2.従業員エンゲージメント

従業員エンゲージメントとは、所属している組織の方向性を理解し、貢献意欲を示したものです。

【従業員エンゲージメントのイメージ】

出典:ワークエンゲージメントとは

ワークエンゲージメントが「個人」と「仕事」に焦点を当てているのに対し、従業員エンゲージメントは、「個人」と「組織」の関係に着目しています。

概念3.従業員満足度(ES)

従業員満足度(ES)とは、職場における従業員の満足の度合いを示す指標です。仕事内容や環境、同僚や上司との人間関係、報酬・昇進の公平性などで測れます。

ワークエンゲージメントが会社に対して「能動的」なのに対し、満足度は「受動的とイメージするとわかりやすいかもしれません。

ちなみに従業員満足度が高い従業員は、モチベーションが高く仕事に対する熱意があり、より良いサービスを提供しようと努めるため顧客満足度(CS)をもたらす、とも考えられています。

概念4.ワーカーホリズム

ワーカホリズムとは、「強迫的かつ過度に一生懸命働く傾向」を意味し、「仕事中毒」などともいわれています。

ワーカーホリズム状態の人は、仕事以外の活動・趣味・家庭生活を犠牲にしてまで仕事に打ち込む傾向が多いです。

本人は楽しんでいるつもりでも、知らない間にストレスの増加や健康問題、対人関係の問題を引き起こす可能性があるため、軽視できません。健康を損ねたただの没頭では、ワーカホリックになりいずれバーンアウトにつながるおそれがあります。

概念5.バーンアウト(燃え尽き症候群)

バーンアウト(燃え尽き症候群)は、エネルギーが失われていくかのように、仕事に対する意欲や関心を失っていく症状のことです。1974年にアメリカの精神心理学者フロイデンバーガーが提唱しました。

バーンアウトに陥る原因として考えられる一例は次のとおりです。

・長時間労働
・高いノルマ
・仕事に献身的に没頭したにもかかわらず、本人が期待した結果が得られなかった

バーンアウトは、ワークエンゲージメントの対極にあたる概念ともいえます。

ワークエンゲージメントの3つの測定方法

ワークエンゲージメントの測定方法として、次の3つの方法を紹介します。

  1. UWES
  2. MBI-GS
  3. OLBI

1つずつ見ていきましょう。

方法1.UWES(Utrecht Work Engagement Scales)

UWESは、ワークエンゲージメントを測定するための最も広く使用されているツールの一つで、活力・熱意・没頭の3つの要素を評価する方法です。

下位因子を17項目質問し、回答は7段階からおこないます。下図は質問項目の一例です。

【仕事に関する調査の質問項目の一例】

出典:第3章 「働きがい」をもって働くことのできる環境の実現に向けて|厚生労働省

回答結果の3要素ごとの平均値を、ワークエンゲージメントの数値としています。なお、質問の詳細を知りたい方は、 ワーク・エンゲージメント(UWES)でご覧ください。

ただし、目的が学術研究ではなく実務の一環として用いる場合には著者に連絡が必要なので、事前に著者へ連絡をしましょう。

方法2.MBI-GS(Maslach Burnout Inventory-General Survey)

MBI-GS(Maslach Burnout Inventory-General Survey)は、ワークエンゲージメントの対極である「バーンアウト」の測定に使用されています。

バーンアウトの場外を数値化し、数値が低いほどワークエンゲージメントが高い状態と判断する測定方法です。MBI-GSは、下記の項目をもとに16の質問に回答します。

【MBI-GSの測定項目】
・疲弊感
・シニシズム(仕事に対して無関心・冷めている・否定的な態度のこと)
・職務効力感

下記は質問の一例です。

【MBI-GSの質問例】
・「1日の仕事が終わると疲れ果ててぐったりすることがある」
・「自分がしている仕事の意味や大切さがわからなくなることがある」

日本語版のMBI-GSについては、日本語版バーンアウト・アセスメント尺度(BAT-J)からご覧ください。(※ただし、目的が学術研究ではなく実務の一環として用いる場合には、著者に連絡が必要)

方法3.OLBI(Oldenburg Burnout Inventory)

OLBI(Oldenburg Burnout Inventory)もMBI-GSと同じく、ワークエンゲージメントの対極にあるバーンアウトを測定する方法です。

OLBIの測定結果が低いほど、ワークエンゲージメントが高いと診断できます。

OLBIは、下記の項目をもとに16の質問に回答する測定方法です。

【OLBIの測定項目】
・疲弊感
・離脱

【OLBIの質問例】
・「仕事の前にすでに疲労感がある」
・「仕事にうんざりしている」

なお、OLBIは今のところ日本語版に翻訳されていません。診断についてはthe Oldenburg Burnout Inventory−German version邦訳の信頼性と妥当性の検討を参考にしてください。

ワークエンゲージメント測定後の2つの活用ポイント

ワークエンゲージメントの測定方法がわかったところで、次に測定結果を活用する2つのポイントを紹介します。

  1. 関係者間の認識を合わせる
  2. 類似概念との差を明確にする

あくまでも測定が目的にならないように、関係者が自社の方向を一致させるのがポイントです。

ポイント1.関係者間の認識を合わせる

活用ポイントの1つ目は、関係者間の認識を合わせることです。

ワークエンゲージメント測定をおこない、組織内でワークエンゲージメント向上に向けた取り組みをおこなう際、関係者間で「エンゲージメント」の認識が異なっているケースが少なくありません。

認識がずれたまま取り組みを進めると、対立を引き起こしたり、成果が出なかったりするおそれがあります。

対策として、社内のワークエンゲージメントの定義を決めておき、当事者間で認識の差異を埋めることが大切です。

ポイント2.類似概念との差を明確にする

ワークエンゲージメントを測定した結果を上手に活用するには、類似する概念との差を明確にしておかなければなりません。

例えば、下図のように活動水準が高い状態であっても、仕事への態度が「否定的」か「肯定的」かで中身がまったく異なる場合があるので、一面だけ見て決めつけないように意識することが大切です。

出典:日本の労働者にみられるワーカホリズムの 生成機序とその帰結|リクルートワークス研究所

適切な対応策をおこなうために、複数の測定方法で多面的な測定を心がけましょう。

そこで、ワークエンゲージメント測定と併せておすすめなのが、株式会社メタメンターが提供する、ウェルビーイング診断です。

ウェルビーイング診断は、下図のように「心理的」「社会的」「身体的」の3つの側面から総合的にウェルビーイングを数値化できます。

多角的かつ客観的に診断できるので、より従業員の理解を深めたい場合に最適です。

【メタメンターによるウェルビーイング診断の特徴】

信頼性 早稲田大学人間科学学術院 大月教授(臨床心理士・公認心理士)が監修
簡便性 直感で回答できる(5分以内)ため、回答者への負担が少ない
網羅性 対人支援サービスや福利厚生の刷新などの前後で測定することで、どのように変化したかがわかりやすい

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ウェルビーイング診断をおこなった後の活用法についても下記の動画で解説していますので、ぜひご覧ください。

ワークエンゲージメント3つの活用事例

ここからは、ワークエンゲージメントの向上に取り組み、成果を出している企業の事例を3つ紹介します。

  1. 株式会社サイバーエージェント
  2. 旭化成株式会社
  3. ソフィアメディ株式会社

事例1.株式会社サイバーエージェント

出典:株式会社サイバーエージェント

株式会社サイバーエージェントは1998年に設立され、2000年に上場を果たし急速な成長を遂げた企業です。その一方で、退職率が30%を超えていたり、役員間の理念共有が不十分だったりと課題も多くありました。

ワークエンゲージメント向上の取り組みとして会社のビジョンを明文化し、ビジョンに共感する人材を重視した採用を実施することで、離職率を2022年時点で8.4%まで下げることに成功しました。

【株式会社サイバーエージェントの課題・取り組み・成果】

課題 ・退職率が30%を超えていた
・役員間の理念共有が不十分だった
取り組み
(一例)
・会社のビジョンを明文化した
・採用はビジョンに共感する人材を重視
成果 ・離職率は2022年時点で8.4%
・GEPPOという簡易アンケートを用いて従業員の声を聴き、経営課題に反映されるようになった

この他にも、社内の懇親会や部活動を支援することで、従業員間の関係性が強化され、組織全体のエンゲージメントとパフォーマンス向上につながっています。

参考:働き方・休み方改善ポータルサイト|厚生労働省

事例2.旭化成株式会社

出典:旭化成株式会社

旭化成株式会社は、社員と組織の活力向上・成長のために、それまで実施していた意識調査に代えて2020年から活力と成長アセスメント(KSA)という独自の調査を開発・実施しています。

KSAにより、職場対話や取り組みの実施が従業員の活力に肯定的な影響を与えることが統計的に確認できました。

【旭化成株式会社の課題・取り組み・成果】

課題 ・従業員意識調査の有効活用
・従業員意識調査の目的が不明瞭
取り組み
(一例)
・従業員からのフィードバックをもとにした新たな意識調査「KSA」を作成
・調査結果をもとに各職場でフィードバックをおこない、改善アクションを計画・実施
成果 ・職場の対話実施率や取り組み実施率が向上
・職場対話や取り組みの実施が従業員の活力に肯定的な影響を与えることが統計的に確認できた

この他にも、マネジメント層に対して、組織開発や職場支援のための研修を実施するなどして、管理職が組織開発の主体となり活動している特徴があります。

参考:働き方・休み方改善ポータルサイト|厚生労働省

事例3.ソフィアメディ株式会社

出典:ソフィアメディ株式会社

ソフィアメディ株式会社は、日本の高齢化と在宅療養ニーズの高まりにともない、医療職の身体的・精神的負担の大きさが課題でした。

そこでウェルビーイング推進グループを設置し月1回サーベイを実施することで、従業員の不満を早期に対処し、退職率の低下につなげることに成功しました。

【ソフィアメディ株式会社は課題・取り組み・成果】

課題 ・高い離職率
・自己犠牲的な労働姿勢
取り組み
(一例)
・ウェルビーイング推進グループの設置
・月1回実施するサーベイを通じて、従業員の仕事の負担感や人間関係の問題を速やかに察知
成果 ・従業員の不満を早期に対処し、退職率の低下につながった
・従業員と管理層間のコミュニケーションが活発になり、より建設的な意見交換がおこなわれるようになった

ウェルビーイングに焦点を当てた取り組みは、従業員の仕事への誇りや仲間との信頼関係を強化し、結果的に顧客へのケアの質の向上につながっています。

参考:働き方・休み方改善ポータルサイト|厚生労働省

なお下記の記事では、魅力あるエンゲージメント向上に取り組んでいる企業の事例や施策を詳しく紹介しています。併せてご覧ください。

【課題別】従業員エンゲージメント向上の成功事例7選!7つの施策も徹底解説

従業員エンゲージメントを高めるには、成果が出ている企業の事例を見るのがおすすめです。本記事では、課題別の事例やおすすめの施策などを解説します。

記事掲載日:2024年4月7日

ワークエンゲージメントが向上するメリット

最後に、ワークエンゲージメントが向上するメリットを簡単に紹介します。

ここでは「生産性の向上」「離職率の低下」「従業員満足度の向上」の視点でメリットを挙げてみました。

【ワークエンゲージメントが向上するメリット】

メリット 詳細
生産性の向上 ・従業員のワークエンゲージメントが向上すると、生産性向上が期待できる
・従業員が幸せな状態で仕事をした場合、生産性31%アップ、売り上げ37%アップ、創造性が3倍になると発表されている
離職率の低下 ・エンゲージメントの高い職場環境は離職率が低く、従業員が仕事に対して満足してやりがいを感じているのが特徴
従業員満足度の向上 ・仕事に対する情熱と所有感を持ちやすい
・自分の責任を積極的に果たそうとする

このように、ワークエンゲージメントの向上には多くのメリットがあります。紹介した測定方法や測定結果の活用方法をもとに、ワークエンゲージメント向上を目指しましょう。

まとめ:測定結果を活かしてワークエンゲージメントを高めよう

今回は、ワークエンゲージメントの測定方法を3つ紹介してきました。

1.UWES
2.MBI-GS
3.OLBI

ワークエンゲージメントの測定の前には、関係者でワークエンゲージメントの定義を一致させておくことが大切です。成果が出ている企業の事例などを参考に、自社に合った施策でワークエンゲージメントの向上を目指してください。

株式会社メタメンターでは、ウェルビーイングを可視化できる診断ツールを提供しています。ワークエンゲージメントを高める施策の一つとしてお使いいただくと、従業員のモチベーションと満足度が可視化できて効果的です。

下記から、現状把握や施策の効果検証に役立つウェルビーイング診断が5分でできますので、ぜひ気軽にお試しください。

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記事監修

代表取締役社長 小泉 領雄南

2011年にGMOペイメントゲートウェイ入社。2016年にGMOフィナンシャルゲート執行役員に就任し、2020年に上場。2021年、早稲田MBA在学中にコーチングに出会い、翌年メタメンター設立。2023年に国際コーチング連盟日本支部運営委員に就任。