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ポジティブ心理学は、人の強みや幸福といったポジティブな面に焦点を当て、人々の幸福感や充実感を探求する学術分野です。
「ポジティブ心理学」という名前から、幸せな人生を送るには前向きで居続けなくてはならない、と思っている方もいるのではないでしょうか。しかし、ポジティブ心理学を活用すれば、負の感情も認めつつ学びや成長につなげるアプローチが可能です。
この記事ではポジティブ心理学の基本概念を解説し、生活やビジネスでの取り入れ方をご紹介します。記事の最後では、ポジティブ心理学をウェルビーイングやレジリエンス向上に役立てる方法も解説しますので、参考になれば幸いです。
ポジティブ心理学を実践し、改善や成長を目指すためには、まず自身のウェルビーイング(心理的・社会的・身体的に満たされた状態)を正確に把握することが不可欠です。
メタメンターでは、ウェルビーイングを心理的・社会的・身体的の3側面から可視化できるウェルビーイング診断を提供しています。ポジティブ心理学を活用する際にも役立つ診断になりますので、ぜひ下記よりお試しください。
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ポジティブ心理学は、人々の幸福感や充実感を科学的に探求する心理学の一分野です。ここでは、ポジティブ心理学が誕生した背景や、ポジティブシンキングとの違いについて解説します。
ポジティブ心理学が発展した歴史と背景
ポジティブ心理学とは、人間の幸福やウェルビーイングを研究する心理学の領域です。1998年にアメリカ心理学会の会長であったマーティン・セリグマン博士によって提唱されてから、急速な発展を続けています。
従来の心理学は、病的な状態や障がいの治療などネガティブな面に焦点を当てていました。ポジティブ心理学では、人々の強みや可能性などポジティブな面に焦点を当てているのが特徴です。そのため従来の心理学と異なり、ポジティブ心理学では健康な人も対象となります。
ポジティブ心理学で扱うテーマは、レジリエンス(逆境からの回復力)、フロー(現実世界を忘れるほどに別の世界や活動に入り込む体験)などがあります。ポジティブ心理学はすべての人にとって、自分らしい幸せな人生を送る手立てとなります。
ポジティブ心理学とポジティブシンキングの違い
ポジティブ心理学とポジティブシンキングは混同されがちですが、両者には明確な違いがあります。それぞれの特徴や違いについては、下記の表を参照してください。
【ポジティブ心理学とポジティブシンキングの比較】
| ポジティブ心理学 | ポジティブシンキング |
|---|---|
| ・人間の幸福やウェルビーイングを研究する心理学の領域 ・根拠となる心理学的な論証がある ・個人や集団、組織など対象は幅広い ・ネガティブな感情も肯定し、持続的な幸福を目指す |
・物事を明るく前向きにとらえる考え方 ・根拠となる心理学的論証はない ・主に個人が対象 ・ネガティブな感情は肯定的に変換するまたは排除 |
参考:ポジティブ感情と快楽志向 – ウェルビーイングのためのデザイン -| Cute.Guides at 九州大学 Kyushu University
ポジティブシンキングは、あくまで個人の心構えや思考のテクニックです。科学的研究に基づいた学問分野であるポジティブ心理学とは異なります。
不安や恐怖など、ネガティブな感情のとらえ方にも差があります。ポジティブシンキングは、ネガティブな感情をできるだけ排除しようとするのが特徴です。一方、ポジティブ心理学では、人が困難な状況に対処し生き抜くために不可欠な要素とされています。
本来、ネガティブな感情は、未知の危険から身を守るために必要な要素です。ネガティブな感情のなかにポジティブな感情を見いだせれば、思考や行動が柔軟になり、レパートリーが広がります。
例えば、柔軟な思考や行動とは以下のようなものです。
柔軟な思考:物事を多角的にとらえたり、困難な状況を「学びの機会」ととらえ直したりすること
柔軟な行動:いつもと違うやり方を試したり、新しいことに挑戦したりすること
柔軟な思考や行動によってポジティブ感情の好循環を生み出せれば、ウェルビーイングの向上が期待できます。
PERMAとは?ウェルビーイングを構成する5つの要素

ポジティブ心理学では、マーティン・セリグマン博士が提唱した「PERMAモデル」が広く知られています。
PERMAモデルとは、ウェルビーイングを構成する基本的な5つの要素の頭文字をとったものです。
- Positive Emotion(ポジティブな感情)
- Engagement(没頭体験)
- Relationships(人間関係による充実感)
- Meaning(人生の意味の発見)
- Accomplishment(達成する喜び)
5つすべてがバランスよくあることが理想ですが、特に「人とのつながり」と「意味づけ」は、長期的なウェルビーイングの核になるといわれています。それでは、ウェルビーイングを構成する5つの要素について、詳しく解説します。
Positive Emotion(ポジティブな感情)
ポジティブ感情とは、喜びや感謝、希望など、心地よさを覚える感情のことです。ポジティブな感情にフォーカスすれば、考え方や行動に余裕ができます。結果として、ストレスの軽減や創造性が向上し、心身の健康を維持しやすくなります。
ポジティブ感情を高めるには、小さな幸せを意識的に見つけ出すのが効果的です。具体的には自然のなかで時間を過ごしたり、好きな音楽を聴いたりする方法が挙げられます。
Engagement(没頭体験)
エンゲージメントは活動に深く集中し、時間を忘れるほど夢中になる状態です。フローとも呼ばれており、自己実現や満足感に大きく寄与します。没頭体験により高いパフォーマンスを発揮できれば、自己実現を果たしやすくなります。
活動自体が「楽しい」「やり甲斐がある」という感覚を生み出し、満足度や幸福感が高められるのもメリットです。エンゲージメントを活用するには、趣味や仕事などの活動で適度な難易度の目標を設定するのがポイントです。チャレンジを通じて、没頭体験を積極的に作り出しやすくなります。
Relationships(人間関係による充実感)
人は社会的な存在であり、他人との良好な関係は幸福感を大きく左右する重要な要素です。信頼や愛情に満ちた関係は安心感や支えとなり、逆境に立ち向かう力になります。
リレーションシップを高めるには、友人や家族などとの関係性を深めるのがポイントになります。感謝の気持ちを伝える、共感的な聴き方を意識するなどの取り組みがおすすめです。
Meaning(人生の意味の発見)
人生の意味(ミーニング)は、自分の存在が何か大きなものの一部であると感じることです。人生の意味を見出せば自己の行動に深い価値があると感じられ、充実した日々を送りやすくなります。
人生の意味を見出すには、自分にとって大切なものは何かを考え、それに基づいて行動するのがポイントです。主な例としてはボランティア活動や、価値観に合った仕事などが挙げられます。
Accomplishment(達成する喜び)
成し遂げる喜び(アコンプリッシュメント)は、目標を達成したときの満足感を指します。達成感は自己効力感(自分ならできるという感覚)を高めるのに効果的です。
意義のある目標を設定し達成すると自己効力感が高まり、さらなる成功への動機付けになります。小さな目標から始めて徐々に大きな目標に挑戦すれば、成し遂げる喜びや幸せを実感しやすくなります。
PERMA+4とは、職場での幸福と成果を高める4つの要素

従来のPERMAは、個人の普遍的な幸福に焦点を当てていました。しかし仕事の現場では健康状態やマインドセットなど、より具体的な要素が大きく影響します。そのため、PERMAだけでは職場や組織におけるウェルビーイングを説明するには不十分です。
そこで、現代の職場におけるウェルビーイングとパフォーマンスをより包括的にとらえる目的で、PERMAに4つの要素が追加されました。追加された要素は下記の4つです。
PERMA+4を理解し日常生活や仕事に取り入れれば、より幸せで充実した人生を送る手立てとなります。
参考:フロンティア |PERMA+4: 仕事関連の幸福、パフォーマンス、ポジティブな組織心理学 2.0 のフレームワーク
Physical Health(身体的健康)
身体的健康は、幸福と精神的健康のもっとも重要な要素のひとつです。PERMAモデルを提唱したマーティン・セリグマン博士は、身体的健康が心理的ウェルビーイングに不可欠であると主張しています。
身体的健康は、単に病気がない状態にとどまりません。個人の可能なレベルで、心身ともに最適な状態であることが大切です。
身体的健康を高めるのは、個人のポジティブな健康資産を促進するのが目的となります。健康資産の分類と具体例は下記の表にまとめていますので、参考にしてください。
【PERMA+4におけるポジティブな健康資産の具体例】
| 健康資産 | 具体例 |
|---|---|
| 生物学的資産 | ・体力、健康状態、血圧など |
| 機能的資産 | ・日常生活や職場で必要な動作や作業を遂行できる力 |
| 主観的または心理的健康資産 | ・身体や健康に対してのとらえ方 ・活動に対する活力や自信 ・健康上での不満(痛みなど)の有無 ・自身で健康をコントロールできていると感じる力 |
身体的健康への取り組みは個人だけではなく、職場単位でも可能です。PERMA+4では身体的健康を高めれば、企業で取り組んでいるウェルビーイング推進がより効果的になると示されています。
一般的な健康診断で把握できるのは、健康資産のうち生物学的資産に限られます。身体的健康をより包括的に評価するには、ウェルビーイングを可視化できる診断ツールの活用がおすすめです。メタメンターのウェルビーイング診断なら学術的根拠のある診断結果が得られるため、より深く自分自身の身体的健康を把握できます。
Mindset(マインドセット)
幸せな人生には、努力や練習を通じて才能は伸ばせると信じる「成長マインドセット」も欠かせません。成長マインドセットを持つ人は、固定マインドセット(才能は先天的または固定的なものとみなす)を持つ人より、高いレベルのウェルビーイングとパフォーマンスを示すことがわかっています。
参考:フロンティア |PERMA+4: 仕事関連の幸福、パフォーマンス、ポジティブな組織心理学 2.0 のフレームワーク
成長マインドセットがあれば困難な仕事も「自分を成長させてくれるチャンス」「会社のために貢献できる」などポジティブに考えられるでしょう。逆に固定マインドセットを持つ人は失敗や成功を外的要因によるものとし、困難を避けたり潜在能力を十分に発揮できなかったりします。
ウェルビーイングや組織全体のパフォーマンス向上を目指すなら、成長マインドセットに介入するのが効果的です。
Work Environment(職場環境)
ウェルビーイングとパフォーマンスに関係する要素として挙げられるのが職場環境です。職場環境の改善は、生産性とウェルビーイングを同時に高める有効な手段です。
多くの人は人生の3分の1以上を、仕事や仕事関連の活動に費やしています。職場環境は、幸福度と密接に関係します。働きやすい職場環境は、疲れにくくポジティブな気分を維持するのに効果的です。
快適な職場環境の維持は「信頼できる会社」という印象も与えられるのもメリットです。逆に雑音や換気不良などがあると集中力が低下し、本来のパフォーマンスを発揮できなくなるリスクがあります。
職場環境が幸福度に関係する要素として、認知的、感情的、関係的反応が挙げられます。それぞれの概要と具体例を、下記の表にまとめました。
【認知的・感情的・関係的反応の概要】
| 反応種別 | 概要・具体例 |
|---|---|
| 認知的反応 | ・作業環境が仕事に対する集中力に与える影響 ・室温、換気、騒音など |
| 感情的反応 | ・職場環境に対する感情や気分 ・職場のデザインや自然へのアクセス |
| 関係的反応 | ・職場環境が社員同士のつながりや交流に与える影響 ・オフィスの配置や構造、勤務形態など |
近年多いのが、リモートワークなどチームメンバーが別々の建物で働いているケースです。物理的に関わる機会が減ると、人間関係にも影響する可能性があります。
Economic Security(経済的安定)
金銭問題の解決や経済的な安定は、ウェルビーイングにも大きく関係します。
人は経済的安全(収入、貯蓄、支出のレベルが幸福に与える影響)が満たされていないと、ストレスや不安が増加するためです。
経済的に安定していれば、より明確な人生の計画を立てられます。例えば、結婚やマイホームの購入など、より大きな人生の決断を下しやすくなります。
このように、経済的な安定はもちろん、紹介した+4の要素が一体となって、私たちの仕事と人生の基盤を支えています。
メタメンターのウェルビーイング診断では、+4として定義される4つの重要な要素もすべて含んだ、総合的な診断結果が得られます。ご自身のウェルビーイングを多角的に可視化し、現状把握に役立てたい方は、下記のリンクから無料でお試しください。
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ウェルビーイング診断はこちらPERMA+4の要素は、私たちの幸福感を多面的に支えてくれる重要な指標です。では、こうした考え方を実際の暮らしのなかでどう取り入れればよいのでしょうか。ここからは、日常生活に役立つ具体的な実践方法を見ていきましょう。
ポジティブ心理学を日常生活に活用する5つの方法

ポジティブ心理学は、日常生活でも活用できます。具体的には下記の方法です。
上記はすべて、人間関係の改善や自己実現などに効果的です。できそうな内容から、ぜひ取り入れてみてください。
方法1.日々の小さな幸せを見つける
始めにご紹介するのが、日々の小さな幸せを見つける方法です。日常にある小さな幸せを意識するのは、ポジティブ心理学の基本的な実践方法です。
意識的にポジティブな体験に焦点を当てると、感謝の気持ちが育まれます。手軽に取り入れられる生活習慣としては、下記の取り組みがおすすめです。
・おいしい食事を味わう
・自然に触れる
・寝る前にうれしかったことを1日1つ書き出す
感謝の気持ちを育めば、PERMA+4の要素であるポジティブ感情を高められます。
方法2.人とのつながりを大切にする
ポジティブ心理学では、人とのつながりを大切にするように推奨しています。感謝の気持ちを表現すると、ストレスの軽減や心の健康に良い影響を与えると研究で明らかになっているためです。
他者との良好なつながりにより、PERMA+4の要素であるR(リレーションシップ)を高められます。信頼関係を構築するには、相手の話を注意深く聞いて感情を共有するのが重要です。
感謝や尊敬といったポジティブな感情を、積極的に相手へ伝えるのもおすすめします。自分の感情や考えを素直に伝えると、相手とのより深いつながりが育まれます。幸福な人生を送るには、相手に対する共感や感謝、正直なコミュニケーションが不可欠です。
方法3.目標や挑戦要素のある趣味を見つける
目標や挑戦要素のある趣味を見つけるのも、人生の幸福度を高めてくれます。目標を設定し適度な挑戦要素がある趣味は、E(没頭体験)やA(成し遂げる喜び)、Mindset(マインドセット)を高めます。
趣味は内発的動機づけ(興味や楽しさなどが行動の原動力になっていること)が強く働きやすい活動です。つまり「自分がやりたいからやる」状態といえます。内発的動機づけが強いと活動に集中でき、フローに入りやすくなります。
適度な挑戦要素のある趣味は、自己成長の喜びや満足感を得られるのもメリットです。頑張って目標を達成した経験は、成長マインドセットを身に付けるのに役立ちます。フローに入りやすいおすすめの趣味は、下記のとおりです。
・スポーツ
・パズル
・絵画
・楽器演奏 など
義務感や承認欲求が動機となっている趣味は、長続きしない傾向にあります。自分がやってみたいと思った趣味を選ぶのが良いでしょう。
方法4.自己理解を深める
ポジティブ心理学を最大限活用するには、まず自分自身を知ることが重要です。自分の価値観や強み、何に喜びを感じるのかを深く理解することで、自分にとって本当に幸せな状態を具体的にイメージできるようになります。
ポジティブ心理学におけるPERMA+4モデルの要素のなかでは、特にP(ポジティブ感情)やM(人生の意味)が、個人の価値観や強み、興味といった自己理解と密接に関係しています。
自己理解を深めるには、モチベーショングラフの作成とコーチングの活用をおすすめします。モチベーショングラフとは、過去の出来事とそれに対するモチベーションの高低をグラフ化したツールです。心の動きを可視化し、自己理解を深められます。
コーチングは、対話を通じて個人の自己理解を深め、自らの問題解決能力や目標達成能力を高めるプロセスを指します。コーチからの質問やフィードバックを通じて自己認識を高め、目標達成に向けた行動が促されるのがメリットです。
コーチングを通して自身の強みやポジティブな側面に気づき言語化できれば、自己肯定感を育めます。自己肯定感が高まれば、日々のポジティブ感情(P)を増やすことにも直結します。
モチベーショングラフやコーチングの概要や活用術について具体的に知りたい方は、下記の記事を併せてご覧ください。
自己理解を深め目標達成!コーチング×モチベーショングラフ活用術
「コーチング」と「モチベーショングラフ」で自己理解を深めませんか?目標達成を加速する方法を解説。過去を分析し、未来を描きましょう。自己実現への道を切り開く第一歩を。
記事掲載日:2025年4月28日
方法5.マインドフルネスを取り入れる
マインドフルネスとは自己の思考や感情、身体感覚に対して注意を向け、その瞬間を判断せずに受け入れる状態のことです。ストレス軽減や注意力向上、感情調節の改善など多方面に効果があり、Physical Health(身体的健康)を促進できます。
マインドフルネスは、自身の思考や感情をより深く理解するのにも効果的です。エモーショナル・インテリジェンス(自己や他者の感情を理解し適切に管理する能力)が向上し、人間関係にもよい影響をもたらします。
マインドフルネスとコーチングを組み合わせるのもおすすめの方法です。双方の効果が最大限に引き出せ、よりウェルビーイングな状態を目指しやすくなります。
マインドフルネスの概要やコーチングへの活用方法について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
心と体をつなぐ:マインドフルネスとコーチングのパワフルな交差点
マインドフルネスとコーチングが交差するところで、心の平穏が生み出す高効果コーチングの力を解明します。
記事掲載日:2023年7月12日
ポジティブ心理学をビジネスに応用する5つの方法

ポジティブ心理学をビジネスに応用する方法は、下記の5つが挙げられます。
ポジティブ心理学の活用は職場での人間関係やモチベーションの向上、チームの生産性を高めるのに効果的です。ご紹介する5つの方法が、より良いビジネスライフを送る手立てになれば幸いです。
方法1.レジリエンス(折れない心)を高める
まず紹介するのが、ウェルビーイングな状態の実現に欠かせないレジリエンス(折れない心)を高めることです。PERMA+4モデルのMindset(マインドセット)では、職場においてポジティブなマインドセットを築くための要素としてレジリエンスが含まれています。
参考:フロンティア |PERMA+4: 仕事関連の幸福、パフォーマンス、ポジティブな組織心理学 2.0 のフレームワーク
実際にポジティブ心理学のアプローチで、新人看護師のレジリエンスを高めるプログラムを作成し実践した研究があります。プログラム内容はポジティブ感情や自身の強みなどに目を向け、心理的回復力を促進させるものでした。
研究結果では、プログラムによるレジリエンスの有意な向上が認められました。つまり、ポジティブな感情によって心理的成長が促進されればレジリエンスも高められる、といえます。
参考:新人看護師のレジリエンスを高めるための、 ポジティブ心理学を応用した介入プログラムに関する研究|東京医療保健大学 紀要 第1号 2020年
方法2.傾聴力を高める
傾聴力は、ビジネスのあらゆる場面において重要な要素です。傾聴とは、相手の話を真摯に受け止め、相手の立場や気持ちに共感しながら聴くことを指します。
傾聴力を高めると相手から信頼され、PERMA+4モデルのR(人間関係がもたらす充実感)を高められます。傾聴によって相手の本音を引き出せれば、良好な信頼関係を構築できるのもメリットです。
人間関係が良くなれば、ストレスが軽減しポジティブな職場環境を構築しやすくなるため、リラックスして仕事ができるようになり、パフォーマンス向上も期待できます。特に、上司が傾聴の姿勢であれば部下は自分の意見が尊重されていると感じ、安心して働きやすくなります。
傾聴力を高めるには、会話で下記のポイントを意識してみてください。
・会話を遮らず、内容を理解するための質問をする
・表情やしぐさなどにも着目する
・適度なタイミングで共感を示す相槌を打つ
職場で傾聴を活用する方法や、傾聴力を高めるトレーニングについて詳しく知りたい方は、下記の記事を併せてご覧ください。
職場で傾聴を活用する方法。傾聴姿勢を持続させるコツ
傾聴の姿勢を学び、ビジネスパーソンのコミュニケーション力を向上させる方法を紹介。信頼関係構築のコツや日常での実践テクニックを解説します。相手を深く理解し、人間関係を豊かにするために、今すぐ始めましょう。
記事掲載日:2024年9月9日
方法3.具体的で測定可能な目標を立てる
目標を設定し小さな成功体験を積み重ねるのは、仕事のモチベーションや自己効力感を高めるのに効果的です。ポジティブ心理学において自己効力感は、レジリエンスと同様にポジティブなマインドセットを築くための要素とされています。
参考:フロンティア |PERMA+4: 仕事関連の幸福、パフォーマンス、ポジティブな組織心理学 2.0 のフレームワーク
ポジティブ心理学では、達成可能でありながらも挑戦的な目標の設定が推奨されています。目標を設定する際は、SMART基準(具体的・測定可能・達成可能・関連性があり・時間的な制限がある)を用いるのがおすすめです。目標の進捗を定期的に確認し、必要に応じて調整する柔軟性も重要です。
方法4.ポジティブなフィードバックを心がける
ポジティブなコミュニケーションは、チームの生産性向上にも寄与します。ポジティブ心理学の研究で、感謝の気持ちを表現することが、ストレスを軽減し心の健康に良い影響を与えるとわかっています。
ポジティブなフィードバックはチームメンバーの意欲を引き出し、創造性を促進するのにも効果的です。明確かつ建設的なフィードバックや、オープンな意見交換を奨励する雰囲気づくりを意識してみてください。
方法5.作業環境を整える
PERMA+4モデルでは、新たにWork Environment(職場環境)が要素として追加されました。職場環境の整備は、生産性とウェルビーイングを同時に高める有効な手段といえます。
環境整備によって余計な刺激を減らせば、集中力を保ちやすくなります。オフィスのデスクや作業スペースを整理整頓し、必要なものだけを手元に置くようにしましょう。短時間の休憩を挟むのも、集中力を保ちたいときにおすすめの方法です。脳の疲労を回復させ、集中力を維持できます。
ポジティブ心理学を活用したウェルビーイング向上にはウェルビーイング診断が効果的

PERMA+4モデルで示される包括的なウェルビーイング向上を目指すなら、メタメンターのウェルビーイング診断が効果的です。
例えば身体的健康一つとっても、健康診断のデータだけでは個人の主観や環境要因まで把握しきれません。それは、マインドセットや経済的な安定といった他の+4の要素についても同様です。
メタメンターのウェルビーイング診断なら、+4つの重要な要素も含めて網羅的に評価した診断結果を得ることができます。

ウェルビーイング診断は、心理的・社会的・身体的の3つの側面からウェルビーイングも可視化できるため、多角的に自分の現状を把握することが可能です。

学術的な根拠のある診断結果を、5分ほどの所要時間で得られるのもメリットです。メタメンターのウェルビーイング診断は、早稲田大学の大月友教授が監修しています。

ウェルビーイング診断は、ポジティブ心理学を活用した取り組みを評価する際の客観的な指標として有用です。ウェルビーイング診断は無料でご利用いただけるので、以下からお気軽にお試しください。
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ウェルビーイング診断はこちらまとめ:ポジティブ心理学を幸福で豊かな人生を歩むのに役立てよう

ポジティブ心理学は、単にポジティブでいようとするマインドとは異なります。ネガティブな感情も認めたうえでポジティブな感情とのバランスを取り、ウェルビーイングを目指すのが特徴です。
従来のPERMAモデルに加えて追加されたPERMA+4を活用し、職場におけるウェルビーイングと仕事のパフォーマンスも把握して、ウェルビーイングを目指しましょう。
自分の現状把握には、目に見えないウェルビーイングの状態を可視できるツールの活用が効果的です。メタメンターのウェルビーイング診断は、心理的・社会的・身体的な側面からウェルビーイングの状態を可視化できるので自己を客観視する際の指標としても役立ちます。
取り組みによる変化が実感できれば、ポジティブ心理学が目指す「より幸せで充実した人生」を目指しやすくなります。診断は無料でできますので、下記のボタンからぜひお試しください。
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記事監修
ICF認定PCCコーチ/代表取締役社長 小泉 領雄南
2011年にGMOペイメントゲートウェイに入社。2016年、子会社の執行役員 経営企画室長に就任し、2020年の上場を経験。 早稲田大学MBA在学中にコーチングを本格的に学び、翌年メタメンターを設立。 国際コーチング連盟(ICF)が認定するPCCコーチ(500時間以上の豊富な実績が求められるICFの専門資格)として、MBAホルダーおよび上場企業の経営企画経験、そして元ICFジャパン運営委員としての知見を活かし、事業承継に関わる経営者・後継者向けコーチングを専門におこなうほか、コーチ・カウンセラー向けのウェルビーイング診断やCRMサービスの開発にも取り組む。





