WELLBEING MAGAZINE

従業員のエンゲージメント指標とは?業績向上につながる4つの要素も解説

コラム

記事掲載日:2024年4月7日 
最終更新日:2024年5月9日

従業員エンゲージメント指標とは、従業員の企業への愛着や思い入れを数値化したものです。エンゲージメントが高いほど、企業と従業員双方にとって多くのメリットがあります。

しかし日本のエンゲージメント指標は、世界的にみても最下位レベルとの調査結果が報告されているのも事実です。そこで、本記事では、主に従業員エンゲージメント指標の概要や従業員エンゲージメントが大切な理由を紹介します。

記事の後半では従業員のエンゲージメント向上に成功している企業の事例も紹介しているので、最後までご覧ください。

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従業員エンゲージメント指標とは?

従業員のエンゲージメントとは、下図のように「所属組織への貢献意欲」のことをいいます。

出典:厚生労働省

従業員のエンゲージメント「指標」とは、従業員と企業の結びつきを数値化したものです。具体的には、以下を調査し定量化します。

  • 自分の仕事に満足しているか
  • 企業の目標や価値観に共感しているか など

定量化することにより、企業は従業員のエンゲージメントレベルが客観的に可視化でき、改善の必要性や方向性の検討材料になります。

加えて米国の世論調査Gallup社が2020年に実施した調査によると、従業員エンゲージメントの高い企業やチームは、低い企業やチームに比べて、生産性や収益性に違いが出ていることがわかっています。

従業員エンゲージメントは、組織全体のパフォーマンス向上に大きな影響を与える大切な要素です。

日本のエンゲージメント指標の現状

米国の世論調査Gallup社により2017年に実施された調査によると、日本の「熱意あふれる」社員の割合はわずか6%であり、米国の32%と比べて大幅に低いことがわかりました。

【熱意あふれる社員の割合】

また、エンゲージメント指標に目を向けてみると、日本は調査対象国139ヶ国中132位と最下位クラスです。

参考:「熱意ある社員」6%のみ 日本132位、米ギャラップ調査 – 日本経済新聞

「労働生産性の国際比較2023」日本生産性本部

2023年に発表された「グローバル職場環境調査」でも傾向は変化していません。

しかし、働き方改革の推進や人的資本に関する情報開示の義務化などを受けて、多くの企業でウェルビーイング経営が取り入れられています。ウェルビーイング経営とは、従業員の健康や幸福を重視し、組織全体が心も体も健康で幸せな状態を目指す経営手法のことです。

下記の記事では、ウェルビーイングと企業の関係や効果などについて詳しく解説しています。今注目されているウェルビーングに関して詳細を知りたい方は、ご一読ください。

ウェルビーイング経営で会社が変わる!3つのメリットや成功事例を紹介

従業員のエンゲージメント指標が大切な2つの理由

近年従業員のエンゲージメント指標が注目されているのには、主に次のような理由があります。

  1. 1.労働力不足のため
  2. 2.パフォーマンス向上のため

1つずつ解説していきます。

理由1.労働力不足解消のため

理由の1つ目は、深刻な労働力不足を解消するためです。

近年日本は少子化や高齢化が進み、労働力不足が懸念されています。優秀な人材の確保や中長期にわたり自社で貢献してもらうためには、従業員が仕事にやりがいを持ち、働きやすい環境であることが大切です。

従業員のエンゲージメント指標を把握することで、企業はより効果的な人材管理や組織運営で、持続可能な成長と競争力の強化が期待できます。

理由2.パフォーマンス向上のため

2つ目の理由は、パフォーマンス向上のためです。

従業員のエンゲージメントが高いと、仕事のパフォーマンスが向上することで生産性の向上も期待できます。従業員の満足度とモチベーションの向上は、作業の質と効率の改善に直結すると考えられているからです。

例えば「多様な働き方ができるリモートワークの浸透で、従業員のエンゲージメントが向上した」という調査もあります。

エンゲージメント指標は3種類あります。「どのエンゲージメント指標がパフォーマンス向上のドライバーになっているか」を追うことで、従業員のモチベーションや満足度を高める働き方に焦点を当てることができ、組織全体のパフォーマンスを向上させる施策の立案が可能です。

次の章では、3種類あるエンゲージメント指標について、詳しく解説していきます。

従業員エンゲージメント指標3つの種類

従業員エンゲージメントを測定する際、下記の3つを活用することで、効果的に従業員のエンゲージメントの理解や改善が期待できます

  1. 1.エンゲージメント総合指標
  2. 2.ワークエンゲージメント指標
  3. 3.エンゲージメントドライバー指標

ひとつずつ解説していきます。

種類1.エンゲージメント総合指標

エンゲージメント総合指標とは、従業員の満足度・モチベーション・忠誠心・パフォーマンスなど、複数の要素を総合的に評価したものです。

例えば下記のような質問を投げかけて計測します。

【計測時の質問例】

  • 友人や家族に自社をおすすめしたいですか?
  • 自社で自分の成長を感じられる機会がありましたか?
  • 職場に自分を気遣ってくれる上司や同僚はいますか?

このようにエンゲージメント総合指標を用いることで、従業員の心理的な状態と職場への結びつきの深さを可視化し、組織全体の健全性を評価できます。

種類2.ワークエンゲージメント指標

ワークエンゲージメントとは、「仕事に対するポジティブな態度や心理状態を表す概念」で、オランダ・ユトレヒト大学のシャウフェリ教授らによって確立されました。

また、「ワークエンゲージメント指標」は、厚生労働省によって下記のように定義されています。

ワーク・エンゲイジメントは、仕事に関連するポジティブで充実した心理状態として、「仕事から活力を得ていきいきとしている」(活力)、「仕事に誇りとやりがいを感じている」(熱意)、「仕事に熱心に取り組んでいる」(没頭)の3つが揃った状態として定義される。

出典:第 3章 「働きがい」をもって働くことのできる環境の実現に向けて

ワークエンゲージメント指標を測る代表的な質問には、以下があります。

【ワークエンゲージメント指標を測る代表的な質問】

  • やりがいを持って仕事に取り組めていますか?
  • 仕事に楽しみを見出せていますか?

ワークエンゲージメント指標は、従業員が仕事に対してポジティブな態度を持ち、充実を感じている度合いに焦点を当てた測定です。

種類3.エンゲージメントドライバー指標

エンゲージメントドライバー指標とは、従業員のエンゲージメントレベルを高めるための要因や要素を示す指標のことです。

従業員が組織や仕事に対してより関心を持ち、熱心に取り組むように促す要素を測定するために使用されています。

エンゲージメントドライバー指標の構成は、下記の3項目です。エンゲージメントドライバー指標の構成と内容を、以下の表にまとめました。

【エンゲージメントドライバー指標の構成と内容】

組織ドライバー 企業と従業員の関係を表す指標
(職場環境・人間関係など)
職務ドライバー 当事者意識を表す指標
(職場に対する満足度・難易度)
個人ドライバー 従業員の資質が業務にどのよう及影響を及ぼすかを計る指標

ここまで3つのエンゲージメント指標を紹介してきました。

指標の測定は、あくまでもコミュニケーションを深めるツールとして活用し、数字の向上や実施が目的にならないように注意が必要です。

従業員のエンゲージメント指標につながる4つの要素

従業員のエンゲージメント指標向上につながる要素は大きく次のとおりです。

  1. 1.働きやすさ
  2. 2.ビジョンへの共感
  3. 3.働きがい
  4. 4.入社と現在のギャップ

4つの要素に着目しアプローチすることで、従業員のエンゲージメント指標向上に役立ちます。ひとつずつ紹介します。

要素1.働きやすさ

1つ目の要素は働きやすさです。

働きやすさとは主に次のような要素が挙げられます。

【働きやすさの要素】

  • 職場環境は快適か
  • トップと従業員の間でビジョンの共有ができているか
  • 柔軟な働き方ができるか
  • 仕事とプライベートのバランスがとれているか
  • ハラスメントはないか
  • スキルアップや学習の機会はあるか

つまり、従業員がストレスを感じにくい環境こそがエンゲージメント指標向上に影響するといえます。

要素2.ビジョンへの共感

2つ目は企業が掲げるビジョンへの共感です。

従業員がビジョンに共感し、同じ方向を向いて取り組んでいると企業との間に一体感や信頼が生まれやすくなり、エンゲージメント指標向上につながります。

一方で企業側に求められることは、経営方針やビジョンを明確に打ち出し、浸透するような取り組みです。ビジョンへの共感に取り組んだ成功事例として、後ほど>>事例1.株式会社サイバーエージェント<<で紹介します。

要素3.働きがい

3つ目は仕事に対しての働きがいを感じているかどうかです。

厚生労働省の定義では、「働きがい」は下記の3つがそろった状態を指します。

【働きがいの3要素】

  • 活力
  • 熱意
  • 没頭

下図のように、働きがいを感じていると、働きがいを感じていない場合に比べて従業員の仕事への意欲が高い傾向があります。

【「働きがい」「働きやすさ」と仕事への意欲との関係】

出典:働きやすい・働きがいのある 職場づくりに関する調査 報告書

なお、調査では「働きがい」や「働きやすさ」があるほうが、離職率も低いことが報告されております。従業員が働きがいを感じながら仕事をすることは、企業が持続可能な成長を遂げるために不可欠な要素です。

要素4.入社時と現在のギャップ

要素の4つ目は、入社時と現在のギャップです。

入社時と現在のギャップが少ないほど、従業員エンゲージメント指標は高い傾向にあります。従業員が、「聞いていた話と違う」と感じてしまうとエンゲージメントは下がり、離職へとつながる要因になりかねません。

そこで、ギャップの差が生まれないように入社前の丁寧な説明はもちろん、入社後も1on1による対話・コーチングなどで関係を深めることが大切です。

従業員エンゲージメント指標測定の2つの方法

従業員エンゲージメント指標の測定には2つの方法があります。

  1. 1.従業員エンゲージメントサーベイ
  2. 2.従業員パルスサーベイ

従業員の心理状態と職場環境の質を評価することで、従業員と企業の双方にとってより良い職場を実現することが目的であり、アンケートが目的にならないようにしましょう。

方法1.従業員エンゲージメントサーベイ

従業員エンゲージメントサーベイとは、エンゲージメントを評価するためにおこなうアンケート調査のことです。

従来の従業員満足度調査に比べ、より企業と個人の双方的な関係性にフォーカスしているのが特徴です。調査の目的と内容を下記にまとめました。

【従業員エンゲージメントサーベイの概要】

目的 調査内容(一例)
従業員エンゲージメントの可視化 ・企業の成功に向けて積極的に貢献したいか?
・職場内に信頼できる上司や同僚はいるか?
・仕事を通じて日々の成長を実感しているか?

参考:経済産業省主催 経営競争力強化に向けた人材マネジメント 研究会

調査をおこなうことで、従業員と企業とのつながりの強さや愛社精神を定量的に把握できます

方法2.従業員パルスサーベイ

従業員パルスサーベイとは従業員に対し、現在の心理状況や直属の上司、職場に対する満足度など、時期や範囲を限定した調査方法の1つです。

人の脈拍を打つように頻度高く、社員の意識状態を測るサーベイという意味合いからパルスサーベイと呼ばれています。調査の目的と内容は下記のとおりです。

【従業員パルスサーベイの概要】

目的 調査内容(一例)
・従業員のエンゲージメントや満足度の把握
・改善点を見つけるためのデータを収集
・今日一日を振り返ってどのような気分ですか?
・ 先週やり遂げた仕事を誇りに思いますか?
・今週、上司はあなたをサポートしてくれましたか?
・あなたの上司は、あなたの話を聞いていますか?
・あなたの職場では、自社の掲げる行動指針が体現されたと思いますか?
・今の職場に満足していますか?

これらの方法に加えて、エンゲージメントの上位概念にあたる「ウェルビーイング」を把握することも効果的です。

ウェルビーイングとは、肉体的、精神的、社会的に満たされた状態を指しエンゲージメントの上位概念にあたる考え方です。そのため「ウェルビーイングを上げれば、エンゲージメントも自然と向上する」と考えられています。

また、心理的ウェルビーイングとエンゲージメントには相関があることもわかっています。

次の章では、ウェルビーイングを可視化できるサービスについて詳しく解説します。

ウェルビーイングが可視化できるツールとは?

前章でお伝えしたように、ウェルビーイングとは従業員エンゲージメントの上位概念です。そのためウェルビーイングの向上は、従業員エンゲージメントの向上にもつながります。

ウェルビーイングを可視化すれば、従業員の心身状態の現状把握や、エンゲージメント向上施策の妥当性判断に活用できます。

例えば、メタメンターが提供しているウェルビーイングが可視化できるサービスでは、下記のように診断結果が数字で客観的に捉えられます。

▼ウェルビーイング診断結果画面

メタメンターによるウェルビーイング診断の特徴は以下です。

【メタメンターによるウェルビーイング診断の特徴】

信頼性 早稲田大学人間科学学術院 大月教授(臨床心理士・公認心理士)が監修
簡便性 直感で回答できる(5分以内)
網羅性 対人支援サービスや福利厚生の刷新などの前後で測定することで、どのように変化したかという変化も可視化できる

5分以内という短時間で診断が終了するので従業員の負担にもなりませんし、従業員のコーチングにも活用できます。

ちなみに、こちらの動画ではウェルビーイング診断の特徴と効果的な活用方法を解説していますので、併せてご覧ください。

早稲田大学の大月教授の監修する「ウェルビーイング診断」は無料でお使いいただけます。診断を受けてみたい方は、ぜひ以下からお気軽にご利用ください。

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従業員のエンゲージメントが向上した2つの成功事例

ここで、従業員のエンゲージメント向上に取り組み、成功している企業の事例を2つ紹介します。

従業員のどのような満足感ややりがいを引き出したのか、対人支援の参考などにお役立てください。

事例1.株式会社サイバーエージェント

株式会社サイバーエージェントでは、経営トップの強いこだわりと粘り強い発信・浸透を通じて、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の浸透・エンゲージメント強化を実現しました。

【取り組み内容の一例】

  • 創業者自身の目標を言語化
  •  従業員が金銭報酬にのみ焦点を合わせるのではなく、協力し合い、自発的にビジョンの実現や新規事業の創出に取り組むことを考え、組織の使命や価値観を定めた
  • 価値観を冊子化し配布。従業員の目に入る位置に張り出す
  • 従業員に受け入れられやすいネーミングをつけた
    あした会議(競走形式の創出企画)
    ヒストリエ(社史)

2020〜2021年に世界で実施されたエンゲージメント調査では、「働きがいを感じる」と回答した割合は日本全体で56%でした。それに対し、サイバーエージェントでは「働きがいがある」と答える社員は87%にもあがっています。

経営トップの明確なビジョンが言語化され、意識的に従業員に共有された結果、多くの社員が共感し、情熱を持って働ける環境が形成された好例といえます。

参考:経済産業省主催 経営競争力強化に向けた人材マネジメント 研究会

事例2.Google LLC

Google LLCでは、自社の重要情報や経営目標について積極的に共有・開示することで、従業員のエンゲージメント強化につなげています。

【取り組み内容の一例】

  • TGIF(全社員ミーティング)を毎週実施。トップマネジメント自ら、社全体のビジネス状況や開発中の製品情報などを説明。全社員対象の質疑応答が可能
  • 四半期毎にCEOが「企業全体目標」と「主要な結果」を設定・公開している
  • 毎年、世界中の従業員を対象にした調査(Googleガイスト)を実施。調査結果を重要視しており、統計的に分析されて、対策の検討に活かされている

組織の透明性は信頼を築き、従業員が企業の一員としての強いアイデンティティを促進します。全員が一丸となって経営目標の達成に向けて動く、エンゲージメントの高い職場環境を作り出しているのです。

参考:経済産業省主催 経営競争力強化に向けた人材マネジメント 研究会

サービス利用などでニーズに応じた支援をしよう

従業員エンゲージメントは、従業員と企業の双方にとって重要な数値です。

どのエンゲージメント指標が従業員のパフォーマンス向上のドライバーになっているか追いながら、ニーズに応じた支援をおこない従業員満足度の向上を目指しましょう。

従業員のエンゲージメントの上位概念として、ウェルビーイングがあります。「ウェルビーイングが向上すれば、自然と従業員のエンゲージメントも高くなる」と考えられており、従業員エンゲージメント向上にもつながる重要な概念です。

メタメンターでは、ウェルビーイングを可視化できる診断ツールを無料で提供しています。ウェルビーイングを可視化して、従業員の現状把握や施策の検証をおこないたい方はぜひご活用ください。

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