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従業員エンゲージメントとは?定義・向上施策・事例を徹底解説

記事掲載日:2025年3月31日 
最終更新日:2025年3月30日

従業員エンゲージメント(Employee Engagement)という言葉は、近年ビジネスシーンで頻繁に耳にするようになりました。しかし、その定義は一様ではなく、企業や専門家によって解釈が異なる場合があります。本質的な意味を理解するために、まずは従業員エンゲージメントの基本的な定義から見ていきましょう。従業員エンゲージメントとは、従業員が組織や仕事に対し、**どれだけ積極的に貢献しようとする意欲を持っているか**を示す指標です。単に「満足している」「会社が好きだ」という状態を超え、組織の目標達成に向けて自発的に行動し、情熱を持って仕事に取り組む姿勢を指します。

従来の従業員満足度調査では測りきれなかった、組織への「愛着」や「貢献意欲」といった心理的なつながりを可視化できる点が、従業員エンゲージメントの大きな特徴です。会社が提供する福利厚生や給与水準といった条件面だけでなく、仕事内容の面白さ、成長の機会、人間関係の良好さなど、多角的な要素がエンゲージメントに影響を与えます。従業員エンゲージメントが高い状態とは、従業員が「この会社で働くことが自分の成長につながる」「自分の仕事が社会に貢献している」と実感し、組織の一員として誇りを持っている状態と言えるでしょう。

従業員エンゲージメントを構成する3つの要素:組織と個人の繋がりを深める

従業員エンゲージメントは、単一の感情や状態ではなく、複数の要素が複雑に絡み合って構成されています。一般的に、従業員エンゲージメントを構成する要素として、以下の3つが挙げられます。

熱意(Vigor)

仕事に対して活力的で、精力的に取り組む意欲

献身(Dedication)

仕事に熱心に取り組み、意義や誇りを感じる

没頭(Absorption)

仕事に集中し、時間を忘れて没頭する

これらの要素は互いに影響し合い、どれか一つが欠けても高いエンゲージメントは実現しません。例えば、仕事に熱意があっても、組織への共感が薄ければ、長続きしない可能性があります。また、仕事に没頭していても、成長の機会がなければ、いずれモチベーションは低下してしまうでしょう。従業員エンゲージメントを高めるためには、これらの3つの要素をバランス良く育むことが重要です。組織は、従業員が熱意を持って仕事に取り組めるような環境を提供し、仕事に誇りを持てるような意義を明確に示し、集中して仕事に取り組めるようなサポート体制を整える必要があります。

Gallup社の調査によると、エンゲージメントの高い従業員は、低い従業員に比べて、生産性が17%高く、欠勤率が41%低いという結果が出ています。また、顧客満足度も10%高く、離職率も24%低いことが示されています。このように、従業員エンゲージメントは、組織全体のパフォーマンスに大きな影響を与えることが分かります。

なぜ今、従業員エンゲージメントが重要視されるのか?背景にある社会の変化

かつては、終身雇用制度が一般的で、従業員は一つの会社に長く勤め続けることが当たり前でした。しかし、近年、労働市場の流動化が進み、転職が珍しいことではなくなりました。特に、若い世代を中心に、より良い条件や成長の機会を求めて転職する人が増えています。このような状況下で、企業は優秀な人材を確保し、定着させるために、従業員エンゲージメントの向上に力を入れる必要性が高まっています。従業員エンゲージメントを高めることは、単に離職率を下げるだけでなく、企業全体の競争力を高めることにもつながります。

また、働き方の多様化も、従業員エンゲージメントが重要視される理由の一つです。テレワークやフレックスタイム制度など、柔軟な働き方が普及するにつれて、従業員は時間や場所に縛られずに働くことができるようになりました。しかし、その一方で、組織への帰属意識が薄れたり、コミュニケーション不足に陥ったりするリスクも高まっています。企業は、多様な働き方に対応しながら、従業員のエンゲージメントを維持・向上させるために、様々な施策を講じる必要があります。例えば、オンラインでのコミュニケーションツールを導入したり、定期的なオンラインイベントを開催したりすることで、従業員間のつながりを強化することができます。

さらに、グローバル化の進展も、従業員エンゲージメントの重要性を高めています。グローバル企業では、様々な国籍や文化を持つ従業員が一緒に働くことが当たり前になっています。このような多様な人材をまとめて、組織の目標達成に向けて動機付けるためには、従業員エンゲージメントが不可欠です。企業は、多様性を尊重し、すべての従業員が平等に成長の機会を得られるような環境を整備する必要があります。

従業員エンゲージメントを高めることで得られる5つのメリット

従業員エンゲージメントを高めることは、組織にとって様々なメリットをもたらします。ここでは、代表的な5つのメリットについて解説します。

1.生産性の向上

エンゲージメントの高い従業員は、仕事に積極的に取り組み、自発的に改善策を提案するなど、高いパフォーマンスを発揮します。

2.離職率の低下

エンゲージメントの高い従業員は、組織への愛着が強く、長く働き続けたいと考えているため、離職率が低下します。

3.顧客満足度の向上

エンゲージメントの高い従業員は、顧客に対して親身に対応し、顧客満足度を高めます。

4.イノベーションの促進

エンゲージメントの高い従業員は、新しいアイデアや改善策を積極的に提案するため、イノベーションが促進されます。

5.企業のブランドイメージ向上

エンゲージメントの高い従業員は、企業の魅力を外部に発信するため、企業のブランドイメージが向上します。

例えば、あるIT企業では、従業員エンゲージメントの向上に力を入れた結果、離職率が大幅に低下し、優秀な人材を確保することに成功しました。また、従業員のアイデアを積極的に取り入れることで、画期的な新サービスを開発し、業績を大きく伸ばしました。このように、従業員エンゲージメントを高めることは、組織の成長に不可欠な要素と言えるでしょう。

従業員エンゲージメント向上のための具体的な施策:7つのステップ

従業員エンゲージメントを高めるためには、様々な施策を総合的に実施する必要があります。ここでは、具体的な7つのステップについて解説します。

1.企業理念・ビジョンの明確化と浸透

従業員が企業の理念やビジョンに共感し、自分の仕事がどのように貢献しているかを理解できるようにする必要があります。

2.公平な人事評価制度の導入

従業員の貢献度を正当に評価し、公正な報酬を与えることで、モチベーションを高める必要があります。

3.承認・称賛の文化の醸成

従業員の成果や努力を積極的に認め、称賛することで、自己肯定感を高める必要があります。

4.社内コミュニケーションの活性化

従業員同士が自由に意見交換できるような環境を整え、チームワークを強化する必要があります。

5.上司のフィードバック能力の向上

上司が部下に対して適切なフィードバックを行い、成長をサポートすることで、エンゲージメントを高める必要があります。

6.ワーク・ライフ・バランスの実現

従業員が仕事とプライベートを両立できるよう、柔軟な働き方を支援する必要があります。

7.キャリア開発の支援

従業員が自分のキャリアプランを実現できるよう、研修やOJTなどの機会を提供する必要があります。

これらの施策を効果的に実施するためには、まず従業員エンゲージメント調査を実施し、現状を把握することが重要です。調査結果に基づいて、課題を明確にし、具体的な改善策を策定する必要があります。また、施策の実施後には、効果測定を行い、改善点を見つけることが重要です。従業員エンゲージメントの向上は、一朝一夕に達成できるものではありません。継続的な取り組みが必要です。

例えば、あるメーカーでは、従業員エンゲージメント調査の結果、コミュニケーション不足が課題であることが判明しました。そこで、社内SNSを導入し、従業員同士が気軽にコミュニケーションを取れるようにしました。また、定期的にチームビルディングイベントを開催し、チームワークを強化しました。その結果、コミュニケーションが活性化し、従業員のエンゲージメントが向上しました。

従業員エンゲージメントを可視化する:測定方法と活用事例

従業員エンゲージメントを向上させるためには、現状を把握し、効果を測定することが重要です。従業員エンゲージメントを測定する方法は、主に以下の2つがあります。

従業員エンゲージメント調査

従業員に対してアンケートを実施し、仕事への熱意、組織への愛着、貢献意欲などを測定します。

定量的指標の分析

離職率、欠勤率、生産性、顧客満足度などの指標を分析し、従業員エンゲージメントとの関連性を調べます。

従業員エンゲージメント調査では、従業員が組織に対してどのような感情を抱いているかを把握することができます。調査結果に基づいて、課題を明確にし、具体的な改善策を策定することができます。一方、定量的指標の分析では、従業員エンゲージメントが組織のパフォーマンスに与える影響を客観的に評価することができます。これらの測定方法を組み合わせて活用することで、より効果的に従業員エンゲージメントを向上させることができます。

例えば、ある小売企業では、従業員エンゲージメント調査の結果、現場の従業員が経営層の考えを理解していないことが課題であることが判明しました。そこで、経営層が定期的に現場を訪問し、従業員と直接対話する機会を設けました。また、社内報やイントラネットを活用し、経営戦略やビジョンを分かりやすく伝えるようにしました。その結果、現場の従業員が経営層の考えを理解するようになり、エンゲージメントが向上しました。

従業員エンゲージメント向上事例:企業規模別成功のヒント

従業員エンゲージメント向上施策は、企業の規模や業種によって最適なアプローチが異なります。ここでは、企業規模別に成功事例を紹介し、それぞれの企業がどのように課題を克服し、エンゲージメントを高めたのかを解説します。

大企業

大企業では、組織が複雑化し、従業員一人ひとりの声が届きにくいという課題があります。ある大手メーカーでは、従業員が自由に意見を述べられるようなプラットフォームを構築し、経営層が直接意見を聞く機会を設けました。また、多様な人材が活躍できるよう、ダイバーシティ&インクルージョンを推進しました。

中小企業

中小企業では、人材や予算が限られているため、効果的な施策を絞り込む必要があります。ある中小企業では、従業員とのコミュニケーションを密にし、個々のニーズに合わせた柔軟な働き方を支援しました。また、従業員のスキルアップを支援するため、研修制度を充実させました。

スタートアップ企業

スタートアップ企業では、変化が激しく、組織が不安定になりやすいという課題があります。あるスタートアップ企業では、企業理念やビジョンを明確にし、従業員が共有できるようにしました。また、従業員の成長を支援するため、メンター制度を導入しました。

これらの事例から分かるように、従業員エンゲージメント向上には、企業の規模や状況に合わせた柔軟なアプローチが必要です。重要なのは、従業員の声に耳を傾け、組織全体で課題を共有し、改善に向けて取り組む姿勢です。

まとめ:従業員エンゲージメントは組織成長の鍵

従業員エンゲージメントは、単なる従業員の満足度向上にとどまらず、企業の生産性向上、離職率低下、顧客満足度向上、イノベーション促進、ブランドイメージ向上など、様々なメリットをもたらします。従業員エンゲージメントを高めるためには、企業理念・ビジョンの明確化と浸透、公平な人事評価制度の導入、承認・称賛の文化の醸成、社内コミュニケーションの活性化、上司のフィードバック能力の向上、ワーク・ライフ・バランスの実現、キャリア開発の支援など、様々な施策を総合的に実施する必要があります。従業員エンゲージメント調査や定量的指標の分析を通じて、現状を把握し、効果を測定することも重要です。従業員エンゲージメントは、組織の成長に不可欠な要素であり、継続的な取り組みが必要です。

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記事監修

WELLBEING MAGAZINE編集部

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