WELLBEING MAGAZINE

【論文まとめ】格差は主観的なウェルビーイングに影響を与えるのか

アカデミア

記事掲載日:2024年5月26日 
最終更新日:2024年6月6日

こんにちは、メタメンターのウェルビーイングに関する研究論文を読んで、ウェルビーイングについて学術的に深く理解していこうという企画第二弾です。

本論文は、所得格差が個人の幸福感や生活満足度に与える影響を明らかにし、社会政策の改善に向けた具体的な示唆している政策立案者にとって必読の内容です。2018年の論文です。(引用*: 浦川邦夫*(2018), 格差は主観的なウェルビーイングに影響を与えるのか, 日本労働研究雑誌 60 (1), 31-43.

ぜひ、皆様の参考になれば幸いです。興味が湧いたらぜひ原著も読んでみてください。

概要まとめ

イントロダクション

  • ウェルビーイング、特に主観的幸福感(SWB)に着目し、公共政策や社会制度の評価への貢献と、日本におけるSWBへの影響要因を探求。

研究内容

  • 所得格差が主観的ウェルビーイング(SWB)に悪影響を及ぼす。
  • 自身の所得が相対的に低い場合や、居住地域の所得格差が大きい場合、生活満足度や健康感が低下。
  • 不安定な就業状態にある人は、これらの影響を受けやすい。

結論

  • 所得格差が主観的なウェルビーイングに大きく影響することが確認された。
  • 特に相対的に低い所得や地域の格差が生活満足度や健康感を低下。
  • 格差是正やウェルビーイング向上を目指す政策が重要。

イントロダクション

本論文では、ウェルビーイングの概念を中心に据え、個人の主観的な幸福感や生活満足度がどのように形成されるかを探りました。ウェルビーイングは「個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態」と定義されています。

本研究では特に、主観的ウェルビーイング(Subjective Well-being、SWB)の重要性に焦点を当て、公共政策や社会制度の評価にどのように寄与するかを考察する。SWBは個人の感じ方や捉え方に基づいて測定され、幸福感や健康感、生活満足度などがその尺度となります。日本においては、所得格差や居住環境、働き方の格差が個人のSWBにどのように影響を及ぼすかが重要な論点となっています。

本研究は、見過ごされがちな人々の性質や行動原理の発見につながり、公共政策の改善や社会構築に向けた重要な知見を提供することを目指しています。

研究内容

  • ウェルビーイングの定義と重要性
    • ウェルビーイングとは何か?:ウェルビーイングの概念とその多様な定義を紹介。
    • 主観的ウェルビーイング(SWB)の測定方法:SWBの具体的な測定指標や方法を解説。
  • 所得格差と主観的ウェルビーイング
    • 相対所得仮説の検証:他者との比較に基づく所得格差の影響を検証。
    • 所得格差の心理的影響:所得格差が心理的な健康や幸福感に与える影響を探る。
  • 居住地域の格差とウェルビーイング
    • 地域の所得格差の影響:居住地域における所得格差が住民のウェルビーイングに与える影響を分析。
    • 居住環境の質と幸福感:居住環境の質が個人の主観的ウェルビーイングに与える影響を評価。
  • 非市場財の貨幣的価値の測定
    • 非市場財とは何か?:非市場財の定義と例を紹介。
    • 主観的ウェルビーイングを用いた評価手法:非市場財の貨幣的価値をSWBのデータで測定する方法を解説。
  • 主観的ウェルビーイングと経済的成果
    • ウェルビーイングと労働生産性:SWBが労働者の生産性や健康に与える影響を分析。
    • 経済的アウトカムの予測因子としてのSWB:SWBが将来の経済的成果の予測因子としてどのように機能するかを探る。
  • 政策的示唆と今後の研究課題
    • 政策立案へのインプリケーション:所得格差是正やウェルビーイング向上に向けた政策提言。
    • 今後の研究展望:SWB研究の今後の方向性や期待される研究課題を提示。

結論

本研究の結論として、所得格差が主観的なウェルビーイングに与える影響は大きく、特に自身の所得が他者と比較して相対的に低い場合に生活満足度や健康感が低下することが確認されました。居住地域の所得格差も同様にウェルビーイングに影響を与え、不安定な就業状態にある者ほど影響を受けやすいことが示されています。これらの結果は、政府や地域社会が所得格差を是正し、主観的ウェルビーイングの向上を目指す政策を実施する重要性を示唆しています。

また、主観的ウェルビーイングのデータを活用することで、非市場財の貨幣的価値を評価し、公共政策の効果を測定する新たな手法が提案されています。

今後の研究では、主観的ウェルビーイングの向上に寄与する具体的な政策手段の開発や、経済学や社会学、心理学などの学際的アプローチを通じた包括的な理解が求められます。これにより、より公平で幸福な社会の実現に向けた施策が進められることが期待されます。

参考文献

浦川邦夫(2018), 格差は主観的なウェルビーイングに影響を与えるのか, 日本労働研究雑誌 60 (1), 31-43.

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