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現代の企業経営において、従業員の健康や幸福(ウェルビーイング)をいかに高めるかが重要な課題となっています。特に高齢化が進む社会では、このテーマは単なる福利厚生の範囲を超え、企業の持続可能性や競争力を左右する要因となりつつあります。そんな中、日本が主導して開発した国際規格ISO 25554:2024が、企業にとって具体的な道筋を示す画期的な指針として注目されています。
ISO 25554:2024とは?
この新たな規格は、 “Ageing societies — Guidelines for promoting wellbeing in communities”(高齢化社会―地域や企業等におけるウェルビーイング推進のためのガイドライン)として、2024年11月12日に発行されました。企業を含むあらゆる組織が、ウェルビーイングを推進するための具体的なフレームワークを提供する内容です。
ISO 25554:2024のポイント
- 組織の規模や性質を問わず活用できる汎用性。
- 健康経営やデジタル技術活用など、日本発の成功事例が盛り込まれている。
- WHOのヘルシーエイジングやSDGsの理念に基づいた設計。
規格では、対象者や推進領域を各組織が明確に設定することを推奨し、具体的なプロセスとして以下を示しています。
- 目標設定(誰を対象に、何を達成するのか)
- 実施プロセス(計測、評価、改善)
- データマネジメントや実施時の留意点
なぜウェルビーイング推進が重要なのか?
ウェルビーイングの向上は、従業員のモチベーションや生産性の向上に直結します。特に高齢化が進む社会では、多様な世代の従業員が働き続けられる職場環境を整えることが、企業の競争力を高める鍵となります。
日本では、健康経営®がその成功事例として注目されています。経済産業省が推進するこの取り組みは、従業員の健康への投資を経営戦略に位置付けることで、持続可能な企業運営を実現するものです。ISO 25554:2024は、こうした取り組みをさらに体系化し、世界中の組織で応用できる形にまとめています。
ISO 25554:2024導入のメリット
ISO 25554:2024を活用することで、企業は以下のような効果を期待できます。
従業員エンゲージメントの向上
ウェルビーイングを重視した施策により、従業員の満足度やロイヤルティを高めることができます。
健康投資の見える化
規格に沿った計測や評価プロセスを導入することで、健康経営の効果を具体的に示すことが可能になります。
企業ブランドの強化
ウェルビーイングに取り組む姿勢が、社会的責任を果たす企業としてのイメージ向上につながります。
多様な人材が活躍できる環境の整備
高齢化や多様化が進む中、柔軟な職場づくりを促進します。
日本規格協会(JSA)グループについて
1945年12月に、標準化および管理技術の開発、普及、啓発などを目的に設立された、一般財団法人日本規格協会を中核とするグループです。
我が国の総合的標準化機関として、JIS、国際規格(ISO・IEC規格)、JSA規格の開発、JIS規格票の発行と販売、国際規格・海外規格の頒布、多彩なセミナーの提供、ISO 9001やISO 14001をはじめとする各種マネジメントシステムの審査登録、各種サービスに関する認証、マネジメントシステム審査員などの資格登録、品質管理検定(QC検定)といった多様な事業に取り組んでいます。
今後の展望
ISO 25554:2024の発行は、ウェルビーイング重視社会の実現に向けた第一歩です。今後は、世界各地の具体的な事例を集めた技術報告書が開発され、さらに活用が広がることが期待されています。また、ウェルビーイング推進はヘルスケア市場の拡大を通じて、関連産業の成長にも貢献すると見込まれています。
ウェルビーイングの向上は、従業員一人ひとりの生活の質を高めるだけでなく、企業全体のパフォーマンスを向上させる鍵です。ISO 25554:2024を導入し、具体的な目標とプロセスを設定することで、より持続可能で競争力のある企業運営を実現しましょう。
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