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事業承継とは?3つの要素や継承との違い・立場別の課題と成功へ導くポイントを紹介

記事掲載日:2025年6月24日 
最終更新日:2025年6月24日

目次

事業承継は、経営権・資産・想いの3つをバランスよく次世代に託す経営課題です。

しかし準備を怠れば、後継者が見つからず廃業に追い込まれたり、引き継いだ後にトラブルが頻発したりと、会社が存続の危機にさらされるおそれがあります。

本記事では、事業承継の3つの要素や継承との違い、経営者・後継者それぞれが直面しやすい課題と解決策などを紹介します。

事業承継を成功させるためには、「ぜひ引き継ぎたい」と思える職場環境の整備も欠かせません。心理的安全性が高く働きがいを感じられる組織づくりは、後継者の意欲や定着にもつながります。

メタメンターの「ウェルビーイング診断」は、従業員のウェルビーイング(心理的、社会的、身体的に満たされた状態を表す概念)を数値化できるツールです。従業員のパフォーマンスや幸福度が組織にどのような影響を与えているかを定量的に示すことで、組織の課題や強みの客観的な把握に役立ちます。

未来を担う人材が「この会社を引き継ぎたい」と心から思える環境づくりの診断ツールとして、ウェルビーイング診断をぜひ下記からお気軽にご活用ください。

事業承継とは?3つの要素と「継承」との違い

中小企業庁によると、事業承継とは「企業の熱い想いや技術を次の世代へつなぐこと」とあります。

参考:事業承継を知る | 中小企業庁

しかし今、日本の中小企業ではそのバトンを渡すべき経営者の高齢化が急速に進んでいるのが現状です。

帝国データバンクの全国「社長年齢」分析調査では、2024年時点で経営者の平均年齢は60.7歳となり、34年連続で過去最高を更新しました。一方で全国「後継者不在率」動向調査によると、後継者不在率は、2024年時点で60代の38%、70代の28.5%、80代以上でも23%と、依然として高い状態が続いています。

こうしたデータから明らかになったのは、多くの企業が後継者探しや育成に苦慮している実態です。企業の存続と地域経済の維持のためにも、事業承継の早期対策と外部支援の活用が急務といえます。

円滑な事業承継につながる3つの要素

事業承継は、大きく「経営権」「資産」「想い(理念や価値観)」という3つの要素から成り立っています。

経営権 ・代表権や議決権のこと
・「誰が意思決定を担うのか」という最も中心的な部分
資産 ・株式・設備・不動産などの有形資産
・顧客との関係やノウハウなどの無形資産
想い(理念や価値観) ・創業者の価値観や経営哲学、地域社会との関係性といった目に見えない部分
・見落とされがちだが、企業の持続可能性に大きく関わる要素として重要

3つの要素をバランスよく次世代に託すことが、円滑な事業承継の成功のポイントです。

事業承継と事業継承の違いは「想いまで引き継ぐかどうか」

「事業承継」と「事業継承」は似た言葉ですが、「想いまで引き継ぐかどうか」という点で違いがあり、意味もが異なります。

事業承継 経営に必要な権限・資産・理念などを包括的に次の世代に引き継ぐこと
事業継承 より形式的な意味合いが強く、会社名や業務そのものの引継ぎに限定されること

「継承」では店舗や設備だけが引き継がれ、経営権は他人に渡るケースもあります。資産だけでなく、経営理念や想いも引き継ぐという「事業承継」の視点が、企業の持続的な発展には欠かせません。

表面的な「継承」だけでなく、創業の理念や長年培われた技術、主要な取引先との信頼関係など、本質的な引き継ぎへの取り組みが、企業の持続的な発展には欠かせないといえます。

では、実際に事業承継を進めるうえでどのような選択肢があるのでしょうか。次の章で紹介します。

後継者で未来が決まる!事業承継の3つの種類

事業承継の種類は、大きく分けて下記の3つです。

  1. 親族内承継
  2. 親族外(従業員等)承継
  3. 第三者承継(M&A)

誰に引き継ぐかという観点から、それぞれの特徴と気をつけるべき点を紹介しています。

種類1.親族内承継

【親族内承継】
子どもや配偶者など、血縁関係のある人物に事業を引き継ぐ方法

ファミリービジネスでは最も一般的な形態で、企業文化や経営理念が継承されやすいのが特徴です。ただし、親族間の利害対立や、後継者に経営の素養がない場合はトラブルの原因にもなり得ます。

親族内承継には、早期の意思確認と、後継者の育成支援が大切です。

種類2. 親族外(従業員等)承継

【親族外承継】
社内の役員や幹部従業員など、親族以外の内部人材に引き継ぐ方法

企業文化や現場の事情に精通しており、従業員からの信頼も得やすい点がメリットです。

ただし、株式の譲渡方法や資金面の整理が複雑になることがあるため、専門家のサポートを受けながら進めるのが安心です。

種類3.第三者承継(M&A)

【第三者承継】
他企業や外部の個人・法人に事業を売却・譲渡する形で引き継ぐ方法

後継者が見つからない場合の有力な選択肢であり、近年では中小企業でも他社に事業や経営権を引き継いでもらう「M&A」を活用する例が増えています。

M&Aは、売却益の確保や雇用維持が図れる反面、企業文化が断絶されない配慮や取引先との関係維持への注意、信頼できる仲介機関の活用がポイントです。

こうしたさまざまな承継方法がある一方で、「そもそも後継者が決まらない」「何から始めればいいかわからない」といった課題に直面する経営者も見受けられます。

次章からは経営者と後継者それぞれの立場に分けて、事業承継の課題を紹介します。

【経営者側】事業承継を難しくする3つの課題

まず、経営者側から見た事業承継の主な課題を3つ紹介します。

  1. 後継者が決まらない・見つからない
  2. 経営権を手放せない
  3. 想いをうまく伝えられない

経営者側の事業承継に関わるさまざまなハードルのなかでも、「後継者探し」「権限移譲」「理念の伝達」の3つは、多くの企業が共通して直面する主要な課題です。解決につながるポイントを交えて紹介しますので、チェックしてみてください。

課題1.後継者が決まらない・見つからない

自分の子や親族に後を継ぐ意思がない、適任者が社内にいないなど、「承継する相手がいない」点は深刻な悩みです。

帝国データバンクが2024年に実施した調査では、全国の中小企業の52.1%が後継者未定の状態にあることがわかりました。

特に高齢の経営者においては、後継者選びが後回しにされる傾向があり、70代代表者のうち28.5%が後継者不在というデータも報告されています。

▼解決につながるポイントはこちら

ポイント1.経営の棚卸をおこない、現状を見える化する

ポイント2.後継者の選定と育成は早期準備で計画的にする

後継者を見つける以前に、「承継したくなる組織かどうか」という視点から、社内の状態を見つめ直す姿勢も必要です。

「心理的、社会的、身体的に満たされた状態」であるウェルビーイングな組織でなければ、「その事業を引き継ぎたい」と心から思える後継者は現れにくいといえます。

そこで後継者が「この組織で働き続けたい」と思える環境を整えるには、まず組織のなかにある不安や不満、停滞感などの「見えにくい要素」の可視化がおすすめです。

例えば、メタメンターの「ウェルビーイング診断」は、従業員の「心理的・身体的・社会的な状態」を数値で見える化し、承継前に「組織の健康状態」を客観的に把握するのに役立つ診断ツールです。

ウェルビーイングと行動分析学を研究されている早稲田大学人間科学学術院 大月教授(臨床心理士・公認心理士)が監修しており、学術的な根拠があるため信頼性の高い診断結果が得られます。

組織の現状を客観的に把握したい方は、ぜひ下記より「ウェルビーイング診断」を気軽にお試しください。

課題2.経営権を手放せない

「まだ自分が元気だから」「任せて失敗されたら困る」といった心理から、引継ぎの準備を先延ばしにするケースも見られます。

事業承継は、ある日突然バトンを渡すものではありません。「少しずつ引き継いでいく」というプロセスを意識することが大切です。例えば「共同経営期間を設ける」「意思決定の場に後継者を参加させる」など、段階的に関わりを深めていく方法が効果的です。

>>>解決につながるポイントはこちら

後継者に任せたい気持ちはあっても、実際に経営の手綱を手放すのは簡単ではありません。そんなときに役立つのが、「段階的な承継の進め方」や「スムーズに任せていくための実践例」です。本メディアでは、事業承継者のお悩みに寄り添った記事を公開していますので、下記からぜひご覧ください。

【経営者必見】事業承継の悩み完全解決ガイド:後継者不足から税金対策まで

「事業承継の悩み」を抱える経営者へ。後継者不足、資金繰り、従業員の理解など課題は様々。解決策と成功事例を紹介し、円滑な承継を支援します。ぜひご覧ください。

記事掲載日:2025年5月19日

課題3.想いをうまく伝えられない

「事業への情熱」や「守ってきたもの」が強い経営者ほど、自分でも無意識に行動指針としている価値観や信念は「言葉にしなくても伝わる」とそれを言語化できていないことがあります。

しかし理念や信念は、承継において最も大切な「無形資産」です。家族内だけで話さず、対話の場や第三者との振り返りを活用しながら「言葉にする」ことが継承の要となります。

>>>解決につながるポイントはこちら

なおこうした想いの言語化には、信頼できる対話の枠組みやツールが有効です。

メタメンターがリリース予定の「サクセッサーズ」は、創業者の価値観や経営哲学を可視化・共有できるプラットフォームです。

個人と集団両方の内面を扱う深層心理学「プロセスワーク」をベースとしたチームコーチングによる対話によって、コミュニケーションを深めます。

【チーム間コミュニケーションの例】
・社長と後継者
・社長と番頭さん(お金周りに関係する役員)
・社長と奥さん(経理担当など)
・社長と後継者・奥様(経理担当など)
・社長(父)と専務(母)と番頭さん・後継者

正式リリース後には、こうした「想いの言語化」や「チーム間の対話」をサポートするプラットフォーム「サクセッサーズ」の詳細をご紹介予定です。後継者に想いを託す準備を進めたい方は、ぜひ今後の情報公開を楽しみにお待ちください。

【後継者側】事業承継で直面する3つの課題

次に、後継者の課題を紹介します。

  1. 自分が継ぐべきか悩んでいる
  2. チャレンジの自由がない
  3. 本音で話せる場がない

後継者には「本当に自分が継ぐべきか?」「自信が持てない」などの不安がつきまといます。本章では、承継を前にした後継者のリアルな葛藤を明らかにしています。

課題1.自分が継ぐべきか悩んでいる

「親の会社だから断れない」「プレッシャーが重い」と悩みを抱える後継者も存在します。

自らの意思というより、周囲の期待で継ぐ道を選んだ結果、「本当にこれでよかったのか」と悩む人もいるのが現状です。

また、現場経験はあっても経営全体を担う自信が持てないという声もあります。

こうした迷いや不安に向き合うには、いきなり全責任を負うのではなく、小さな意思決定から経験を積むことが効果的です。

加えて、コーチングや経営塾、後継者コミュニティなど社外の対話と学びの機会を通じて、自分の想いと向き合い、少しずつ納得感と自信を育てていきましょう。

▼解決につながるポイントはこちら

ポイント2.後継者の選定と育成は早期準備で計画的にする

ポイント5.「想い」をチームで共有する文化をつくる

「コーチングには興味はあるけど、コーチをどうやって探したらいいのかわからない」など、コーチングの導入に関してお悩みの方は、メタメンターにご相談ください。国際コーチング連盟認定プロコーチ、GTC認定チームコーチを有する小泉が、お話をうかがいます。相談は無料ですので、以下のフォームからお気軽にご連絡ください。

国際コーチング連盟(ICF)認定PCC取得者に相談できる!

コーチング導入に関するご相談はこちら

課題2.チャレンジの自由がない

後継者が「こんな取り組みをやってみたい」と思っても、現場や親世代の反発にあい、挑戦の余地がないと感じるケースがあります。

既存のやり方や価値観が強く根付き、新しい提案が受け入れられにくい閉鎖的な環境では、せっかくの意欲が萎えてしまうことも珍しくありません。トップダウンだけでなく、小さな成功事例を現場と共有し、信頼を築くプロセスが必要です。具体的なプロセスは、以下をご覧ください。

>>>解決につながるポイントはこちら

課題3.本音で話せる場がない

社長やベテラン社員と本音で話す機会がない、あるいは「甘えていると思われたくない」という悩みも、後継者が抱え込みやすい課題です。

後継者が悩みを一人で抱えた結果「結局は自分一人でなんとかするしかない」という孤軍奮闘の状態に陥りやすくなってしまいます。

一人で悩みを抱えている後継者は「自分だけが苦労している」と感じやすく、やる気やコミットメントが下がる恐れがあります。そのため、後継者が悩みを相談できる定期的な対話の場など、心の支えが必要です。

後継者の孤独を解決する具体策に関しては、以下を参考にしてください。

▼解決につながるポイントはこちら

ポイント3.専門家との連携で安心の事業承継を実現

ポイント5.「想い」をチームで共有する文化をつくる

こうした課題を乗り越えるには、どのような準備や取り組みが効果的なのでしょうか。ここからは、具体的な事業承継を成功させるポイントを紹介します。

事業承継を成功へと導く5つのポイント

現経営者・後継者双方が押さえておきたいポイントは、以下の5つです。

  1. 経営の棚卸をおこない、現状を見える化する
  2. 後継者の選定と育成は早期準備で計画的にする
  3. 専門家との連携で安心の事業承継を実現
  4. 組織のウェルビーイングを整える
  5. 「想い」をチームで共有する文化をつくる

事業承継を成功させるためには、現経営者・後継者それぞれの立場で「準備」と「関係性の構築」を進めることがポイントです。

ポイント1.経営の棚卸をおこない、現状を見える化する

事業承継の出発点は、自社の現状を正しく把握し承継に向けた土台を築くことです。

【経営者がやるべきポイント】
・経営者の頭のなかにある情報の言語化
・財務・人事・業務フローなどの見える化
・専門家のサポートを活用し、課題と強みを客観的に整理

【後継者が取り組むべきポイント】
・見える化された経営資料をもとに、事業全体の構造や意思決定の流れを学ぶ
・経営層の視点で、どの情報が重要かを意識しながら分析してみる
・自社の「強み・弱み」を把握し、改善や成長の視点を持つ
・必要に応じて、財務諸表や組織図などの基本資料に慣れる
・不明点は遠慮せず質問し、経営者や現場と積極的に対話する

経営の棚卸を通じて、経営者と後継者で現状認識を共有しましょう。

ポイント2.後継者の選定と育成は早期準備で計画的にする

事業承継は、数年単位で準備すべき長期的プロジェクトです。早く動くほど選択肢と余裕が増え、後継者も現場経験を通じて経営の視点を育てやすくなります。

【経営者がやるべきこと】
・引退時期の大まかな目安を設定し、逆算して育成計画を立てる
・後継候補者を複数想定し、それぞれの適性や意欲を見極める機会をつくる
・育成対象者に経営の意思決定や会議に段階的に参加させる
・自社の将来像を言語化し、どのようなリーダーを育てたいか明確にする

【後継者が取り組むべきこと】
・自分が「なぜ継ぐのか」を言語化し、意思を固める
・経営やマネジメントに必要な知識・スキルをリスト化し、計画的に学ぶ
・社内外の研修や経営塾、他社訪問などに参加して視野を広げる
・意思決定のシミュレーションや小規模なプロジェクトを任せてもらう
・現場社員やキーパーソンとの信頼関係を意識的に築いていく

後継者の選定と育成は、「誰に」「どのように」託すかを明確にするプロセスです。早期の計画が、承継の質を左右します。

ポイント3.専門家と連携する

事業承継に際し、制度面の課題は法律・税務などの専門家と連携しましょう。

ただし事業承継の成功には、前述したように理念や想いといった「無形資産」の継承も欠かせません。そのため、後継者の判断や方針のぶれ、社員や顧客の混乱を防ぐためにも、無形資産の承継に関わる専門家に相談するのがポイントです。

無形資産は、士業や制度の枠組みだけでは対応できない領域のため、対話支援の枠組みや関係性に着目したサポートが必要となります。

【経営者がやるべきこと】
・信頼できる士業(税理士・弁護士・中小企業診断士など)だけではなく、無形資産の承継に関わる専門家とも継続的な関係を築く
・相続・贈与・株式譲渡などに関する基本的な知識を持ち、適切なタイミングで相談する
・専門家を巻き込むことで、後継者が安心して承継できる体制をつくる
・承継に向けた課題(例:議決権集中・相続税対策など)を専門家とともに整理する

【後継者が取り組むべきこと】
・承継に関係する基本用語(事業譲渡・持株会社・相続税など)を学ぶ
・専門家との打ち合わせに同席し、どのように意思決定がおこなわれているかを観察する
・将来の相談の窓口としての役割を見据え、信頼関係をつくっておく
・わからないことを素直に質問する姿勢を持ち、学ぶ姿勢を示す
・専門家とのやり取りをメモ・記録し、承継後にも活かせるようにする

法律や税務だけでなく、無形資産の継承まで含めた総合的なサポート体制を築きましょう。

ポイント4.組織のウェルビーイングを整える

承継の土壌は健全な組織状態=ウェルビーイングが整っていることが大切です。従業員が疲弊した現場では、継がれる意思も育ちません。

ウェルビーイングとは、従業員一人ひとりが「身体的・心理的・社会的に満たされた状態」を指し、組織全体の活力やチームワークの向上にもつながります。

【経営者がやるべきこと】
・組織の状態(人間関係・モチベーション・心理的安全性)を可視化する
・定期的な1on1や職場環境アンケートを通じて、声を拾い、改善に反映する
・従業員のやり甲斐や希望を把握し、組織の「在り方」を整える
・後継者がスムーズに信頼を築けるよう、社内への紹介や関係性づくりを支援する

【後継者が取り組むべきこと】
・自らも「ウェルビーイング」に関心を持ち、健全な職場づくりに参加する
・現場の声を吸い上げ、経営者に橋渡しする役割を意識する
・「聞く力」を育てるために、傾聴のスキルや対話の習慣を身につける
・自らが次期代表となる想定のもと、組織との信頼構築に努める

組織の現状を可視化してウェルビーイングの実現を目指すなら、メタメンターが提供する「ウェルビーイング診断」がおすすめです。

ウェルビーイング診断は、従業員の心理的・社会的・身体的な側面を統合的に評価・数値化できるため、課題を可視化でき、具体的な改善策を立てる際に役立ちます。

以下の理由から、学術的な根拠がある診断結果が得られるのも特徴です。

  • 早稲田大学人間科学学術院 大月教授(臨床心理士・公認心理師)が監修
  • BPSモデルと心理学・政府データの知見をもとに開発されている

5分程度の回答で、信頼性が高い診断結果が得られる「ウェルビーイング診断」は、下記からどなたでもお気軽にお試しいただけます。

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ポイント5.「想い」をチームで共有する文化をつくる

経営者の想いや価値観を共有する文化の育成は、事業承継を成功させるうえで大切です。理念が言語化されていないままでは、後継者が何を軸に意思決定すべきか迷い、周囲との連携も不安定になります。

だからこそ、経営者の頭のなかにある「守ってきたもの」「大切にしている判断基準」を言葉にし、組織内で共有する姿勢が欠かせません。

【経営者がやるべきこと】
・会社の歴史と展望を時間軸で整理して想いを可視化する
・「創業の想い」「大切にしてきた判断基準」など、言葉になっていない価値観を伝える
・経営の右腕である番頭役や、現場を支えてきた奥様など、ともに歩んできたメンバーと語る時間を持つ。また彼らとともに、会社が大切にしてきたものをチーム全体に伝えていく場を設ける
・創業の背景や転機となった出来事を振り返り、「何を大切にしてきたか」を再確認する
・未来に向けたビジョンや「次の世代に託したい想い」を整理し、後継者に共有する
・後継者と社員が自然に会話できるよう、関係性のハブになる

この過程は「経営権の引き渡し」に対する心理的ハードルを下げる効果も見込めます。

「意思決定の背景や目的」を後継者が理解すると経営判断を徐々に委ねやすくなり、経営権の移行が自然な形で進んでいきます。

会社の歴史と展望を時間軸で整理する際は、メタメンターが提供する事業承継のための短期変革プログラムがおすすめです。

年表ワークを通じて過去の物語と未来のビジョンを結び直し、承継に向けた「対話の土台」を引き出します。関心のある方は、国際コーチング連盟認定プロコーチ、GTC認定チームコーチを有する小泉が代表を務めるメタメンターまで気軽にお問い合わせください。

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【後継者が取り組むべきこと】
・経営者から受け取った「想い」を、自分の言葉で社内に伝える
・経営ビジョンや中長期の方針に、自分なりの意味付けを加えて発信する
・チームメンバーと将来について語る時間を持ち、共通認識を育てる
・社内外で「なぜこの会社を継ぐのか」を発信し、共感を生み出す
・サクセッサーズのようなプラットフォームを活用して、継承の軸を整理する

なお、下記の記事では「想いの共有」を成功させるための進め方や、言語化・共有の具体的な工夫について紹介しています。併せてご覧ください。

事業承継を成功に導く!ビジョン共有の羅針盤:課題解決と実践ステップ

事業承継におけるビジョン共有は成功の鍵。後継者に向けて、課題と解決策、具体的なステップ、成功事例を紹介。未来を拓くビジョン共有で、企業成長を実現しましょう!

記事掲載日:2025年5月28日

事業承継に役立つ!押さえておきたい3つの支援制度

最後に、事業承継に役立つ代表的な支援制度を紹介します。

  1. 自社株の税負担を軽くする「事業承継税制」
  2. 成長に向けた投資を支援する「事業承継・引継ぎ補助金」
  3. 専門家の力を借りられる無料相談窓口

税制・補助金・相談窓口と、事業承継の不安を和らげる3つの頼れる制度です。

※本記事の内容は、2025年5月時点の情報です。

支援1.自社株の税負担を軽くする「事業承継税制」

会社の株式を親族に譲渡する際、相続税や贈与税の負担を軽減するのが「事業承継税制」です。

事業承継税制は、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(円滑化法)に基づく認定のもと、会社や個人事業の後継者が取得した一定の資産について、贈与税や相続税の納税を猶予する制度です。

この事業承継税制には、会社の株式等を対象とする「法人版事業承継税制」と、個人事業者の事業用資産を対象とする「個人版事業承継税制」があります。

引用:事業承継税制特集|国税庁

制度を活用すると、一定の条件のもと株式にかかる税金の納付を先延ばしでき、最終的に免除される場合もあります。例えば、贈与税は100%、相続税は最大80〜100%の免除が認められるケースなどです。

2027年末までの「特例措置」は期限が設けられており、対象となる企業は早めの対策が必須です。制度の適用には認定手続きが必要であり、計画的な準備と専門家の支援が不可欠です。

支援2.成長に向けた投資を支援する「事業承継・引継ぎ補助金」

事業承継をきっかけに経営改革や新しい取り組みをおこなう中小企業を支援する制度として、「事業承継・引継ぎ補助金」があります。

親族内、社内承継、M&Aのいずれにも対応しており、例えば下記が対象となる場合があります。

  • 新規設備の導入費
  • 移転費用
  • 専門家への外注費
  • M&Aの仲介費 など

補助率は対象経費の1/2〜2/3で、上限額は最大600万円です。ただし、公募のタイミングや対象経費の内容は年度ごとに変わるため、詳細は中小企業庁や経済産業省の情報を確認しましょう。

参考:中小企業庁

支援3.専門家の力を借りられる無料相談窓口

事業承継には、法律、税金、雇用、経営判断など複雑なテーマが絡みます。

例えば「株式の分配方法」「相続税対策」「従業員の雇用維持」「経営方針の引き継ぎ」など、専門性の高い課題をまとめて相談できる窓口として活用できるのが「よろず支援拠点」や「事業承継・引継ぎ支援センター」です。

国が中小企業の事業承継を後押しするために設置している公的な窓口であり、無料で専門家のアドバイスを受けられるため、初めて承継を考える企業にとってまず立ち寄るべき出発点としておすすめです。

拠点は全国に設置されており、地域密着型の支援が受けられます。

まとめ:事業承継は「対話」から!年表ワークで歴史を共有し、組織の今を見える化しよう!

事業承継は、会社の未来と地域経済の継続性を左右する経営上の一大テーマです。「急に引き継ぐもの」ではなく、数年かけて準備を重ねていくことで、経営を安定させながら進めることができます。

本記事で紹介した5つのポイントや支援制度を活用し、自社にふさわしい事業承継を検討していきましょう。

社員が誇りを持てる「継ぎたくなる会社」づくりも、今すぐ始められる取り組みの一つです。ウェルビーイングを可視化できるウェルビーイング診断を利用して、従業員の現状把握から、課題の発見、課題を解決する施策立案を進めていきましょう。

事業承継には、現経営者の想いを後継者や従業員と共有して経営に反映させることも重要です。「とはいえ、想いを言語化するのは難しい」「現経営者に教えてほしいけれど、何から聞けばいいかわからない」と感じる方に一度お試しいただきたいのが「年表ワーク」です。年表ワークは、事業の歴史や未来を可視化し、関係者間で共有するうえで大変有効なツールです。

年表ワークの詳細やご質問などございましたら、以下のフォームよりお気軽にご連絡ください。

承継に向けた対話の土台を引き出す!

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記事監修

代表取締役社長 小泉 領雄南

2011年にGMOペイメントゲートウェイに入社。2016年、子会社の執行役員 経営企画室長に就任し、2020年の上場を経験。 早稲田大学MBA在学中にコーチングに出会い、翌年メタメンターを設立。 現在は、ICF認定PCCコーチとして、事業承継に関わる経営者・後継者向けコーチングを行うほか、コーチ・カウンセラー向けのウェルビーイング診断やCRMサービスの開発にも取り組む。元ICFジャパン運営委員。

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